二章ー17 追伸
〜日中・ギルドにて〜
ギルドにつくと、何やらユウ宛に、お手紙が届いている、と。
差出人は姫様だったため、すぐにそれを受け取り、内容を確認した。
「えっと・・・ユウ様へ・・・本当ならばまた、以前のように直接会いに行きたかったのですが、今は少々やることができてしまったため、お手紙を書かせていただきました。まずはじめに、ユウ様(以下略)はやく会いに行けるよう頑張ります。またデート行きましょうね。」
と、ただ何も考えずに文章を読み上げていたユウだったが、最後までいったところでようやく内容が頭に入ってきて、そして今すぐにでもこの場から逃げたいくらい恥ずかしくなった。
わざわざ手紙をよこすようだから、何事かと思ったが、まさかのラブレターであった。
幸い誰にも聞かれていないはずだが、それでも恥ずかしい。
しかし、恥ずかしいと思いつつも、別の面では彼女への感謝の気持も湧いてきた。
(・・・やっぱり、折角の異世界なんだから、別にここが凄く夢のない世界でも、こういうのがあるだけで、まだモチベーション・・・とは違う気もするけど、でもなんか、やる気とかでるし、あと沈んでた気持ちが幾分かマシになった気がするし・・・うん・・・よし。)
こういった”日常”的な、少し緊張が解ける瞬間は、たとえ一瞬だとしても、かなり心が安らぐ。
今まで思い詰めていたような気がしたが、なんとなくそれも楽になった気がする。
「・・・ん? 追伸?」
その手紙をありがたく、ぼんやりと見つめていると、まだ裏にも続いているのを見つけた。
「追伸・・・最近、お父様が密かに誰かと連絡を取り合っていて・・・。詳細はわかりませんが、もしかしたら内通者のようなものがいるのかもしれません。若しくはなにか企んでいるのかもしれません。ユウ様も、特に貴族には気をつけてください。」
安らぎも束の間、不穏な情報が現れた。
(企んでいる、か・・・。変なことをする前に、はやく蹴りをつけたいな。どうしようか・・・)
思い浮かぶのは昨日の、絶望と、そして無力な自分。
何か終わってからでは遅いのだ、と。
異世界に来て、力は手に入れたものの、それは単純な戦闘力に過ぎない。
裏でコソコソやられたら、それこそ手のうちようがない。
悩むユウ。
するとまた、その下にあった追伸という文字を発見した。
「・・・また追伸だ。」
まだなにかあるのか、と身構えて読み進める。
「えっと・・・今度はデートじゃなくて、その先でもーーーーって!?」
主につっかかったのは”その先”だ。
これはどういう捉え方をすればいいのか、という一点だけがユウの心を妙にかき乱す。
そしてこれのお陰で完全に、その瞬間は汚い大人たちのことなど頭から抜け落ちた。
「それはどういう・・・ん?」
ドキドキを感じていると、水を差すように、なにか怪しげな気配を感じ取った。
いかがしようかと思ったが、取り敢えず釣り上げることにした。
まずは自然な感じで、人気のない怪しい路地裏へと入った。
そして突然足を止め、振り返らずに問う。
「誰だお前?」
「・・・まさか、私の尾行に気づくとは。」
「いや、バレバレです。」
すると背後に、なんとなく普段から尾行とかしていそうなしていそうな風体の男が現れた。
ユウは特段この男に対して脅威を感じなかったが、念のため術式の構築を開始した。
「なるほど・・・抵抗するというのか。」
「あっ、そうですね。」
「まったく・・・面倒なガキだ。だが、まぁ魔術の構築には時間がかかるからな。その前に潰せばいいだけだ。」
そう言って男は、ユウを遠距離タイプとみなし、さっさと近距離戦に持ち込むべく、意気揚々と速攻で近づいてきた。
そしていよいよ男が間合いに入ったあたり、しかしユウは魔術を発動しない。
「やはり! 所詮はガキか・・・。」
男は勝ちが確定したかのようにニヤッと笑って、忍ばせていたナイフにかなりの速度を持たせてユウへ
しかし次の瞬間、男の負けが完全に確定した。
「・・・! 消えっーー」
そしてユウは、男の背後に移動しーー拳で思いっ切り殴った。
拳と言ってもただの拳ではなく、先程ハッタリのために使った魔力がそのまま乗った拳だ。
思い切り、とは言っても、流石に死んでしまわないようにある程度手加減はした。
が、男は勢いよく壁という壁を破壊しながら吹き飛んでいく。
「やば・・・」
ユウは急いで男の元へと向かう。
幸い男はまだ意識があるので一安心だ。
「良し! 意識はあるな!」
「・・・よし、じゃない・・・」
「まぁまぁ。それよりも、君に命令したやつは誰?」
意識はあると言っても、かなりダメージを負っているのは確かなのだが、そこを軽く流して、単刀直入に黒幕を聞く。
ただ、聞いてみたものの、なかなか口を割らないだろうとは思った、のだが・・・。
「・・・国王様だ。」
「だから何ですぐ黒幕言っちゃうの? 僕は助かるけど。」
全体的にこの世界の奴らは口が軽いようだ。
「・・・クソッ、殺すなら殺せ!」
「いや・・・流石に。それよりも・・・まぁ、僕になにか用があるっていうのなら、こっちから行ってやるか!」
ユウはそうして、負傷している男を放置、そのまま城へと向かった。
放置も十分ひどいとは思うが・・・。
〜ラヴィア城〜
そしてようやく夜に至る。
「やっぱりデカいな・・・。さて、行きますか。」
ユウは、もう今日にでもこの世界を攻略するつもりで城に乗り込んだ。
(王はいるだろうか?)
彼はただ、王に会うという、それ以上でもそれ以下でもなく、ただそのためだけにここへやってきた。
また、あまり道に迷う様子もないのは以前に一度、偵察に来たからだ。
(・・・もうすぐ! 確か、この部屋に!)
そうして一つの扉の前で立ち止まる。
「・・・ここだな。」
扉に手をかけ、ゆっくりと、ゆっくりと力を込めていく。
ドアはだんだんと、少し軋むような音を出しつつ、それでも十分静かに開いていく。
(・・・人だ! 王か!?)
僅かな隙間から、人影を発見。
恐らくゆっくり開けても気づかれてしまう。
ならば、と、思い切り良くドアを一気に開けた。
同時に、穏やかな夜風が柔らかくユウの肌を撫でた。
(・・・風?)
そして、唯一開放された窓の際に、やはり人が。
国王ではないかと疑い、警戒し近づく。
「今宵はとても静かで、夜風もちょうどよく、最高の夜でしたのに・・・残念です。」
[雑談]ようやく・・・。
[ブクマしましょう!!]
[予告]次回の更新は、16日を予定しています。




