二章ー13 闇への階段
〜王室〜
「それで・・・儂を襲った犯人は見つかったのか?」
国王がそう問いかける。
「いえ・・・申し訳ございません」
「異世界から来た彼らも、ギルドに登録して情報収集をしているようですが・・・」
部屋には他にも数人いるが、若い男が一人と姫が代表して、順に答える。
「・・・そうか」
国王はそれを聞いて、何か少し考えた後、短く返事をする。
そもそも期待してなかったのか、心做しか返事が軽く感じられた。
「まぁいい。アフォス家の護衛がついているからな、わざわざ襲いに来る馬鹿はいるまい」
そう言って国王は、強気に笑う。
護衛、というのは先程の若い男と、そしてこの部屋にいる残りの者たちだ。
但し、少数精鋭なのか、合計してもたったの四人だ。
「これからも、尽力いたします、陛下」
「うむ」
その後も少々姫と男とが会話をしていたが、国王はやはり興味がないのか、それには参加せず、ただ座って、子犬だろうか、艶のある黒く美しい毛並みをゆっくりと撫でている。
「ーーお父様、私は少し用事があるので、このへんで失礼致します」
「・・・そうか。護衛はーー」
「大丈夫ですよ。では」
そうして姫は、一人部屋から出ていった。
「・・・彼女の護衛を」
「御意」
姫が出て行ってすぐ、国王は姫を護衛するよう命じた。
それにより、若い男を除いた三人が、静かに部屋を出た。
「さて・・・儂も行くとするか」
〜エヴィリオ領・領主邸宅〜
かなり日も落ちて、どこかへ忍び込むのにはもってこいの頃合い。
街では数人の、その生業の者たちが行動を開始した。
そしてユウも、それに乗じて領家へとこっそりこっそり近づき、二回の空いていた窓から侵入した。
「・・・ふぅ。さてと、じゃぁ探そう」
「それで、手始めにどこを探しますか、兄貴?」
屋敷内にはまだ沢山の人が居り、素早くこっそり影の方に潜んでいると、独り言に反応する者が。
どうやら同業者らしく、同じく気配を消して潜んでいたらしい。
また、フードで顔を隠しており、加えて声も中性的で、性別は判別できない。
そしてここでは便宜上、同業者Dとする。
「そうだな・・・まずは執務室的なところと、あとは宝物庫的なとこかな。無難に」
普通なら、いろいろ突っ込んだり反応したりするところであるが、驚くべきとこにユウは、自然に同業者Dと会話をする。
「なるほど! 同意見です!」
「よかった。行こう!」
そして最後には、意見が一致、二人で行動を開始した。
しばらくして、執務室は同じフロアに、それもスタート地点からすぐ行ったところにあった。
「・・・まずは執務室」
「あるといいですね」
人がいなくなったのを見計らい、そしていざ、ドアを開ける。
ドアを開けてすぐのユウの感想はーー。
「狭いな」
「・・・ですね」
そこは思ったよりも狭く、そしてしっかり整理整頓されていた。
また、あまり人の痕跡がなく、本当にここを使っていたのかと疑ってしまうレベルだ。
見た感じ、もうすでに期待薄だが念のため、二人協力して部屋を荒ら・・・捜索する。
するとふと、ユウは机の上に置かれている、古い日記へと注意が向けられた。
「何だこれ・・・?」
そして自然に、それを手に取り、開こうとするとーー。
「ここ、違うみたいですね」
同業者Dも捜索を終え、なにもないから次へ行こうと催促する。
それに気を取られ、ユウは日記を開くのを寸前で断念、そして自然にそれを便利袋へと投げ込む。
「ですね。・・・次行きましょうか」
こうして、大した収穫もなしに、二人はこの部屋をあとにした。
「あの〜、あなたの名前は何て言うんですか?」
「・・・ん? えっと、ユウって言います」
「そうなんだ~」
そんな会話をしながら移動していたため、思いの外早くついたように感じられた。
途中、ヒヤリとした場面はあったが、いよいよ宝物庫だ。
「宝物庫だ!」
と、同業者Dは子供のようにはしゃいでいるが、それも無理はない。
開けてびっくり、先程の執務室とは違い、かなりデカイ。
これはかなり期待が持てるが、果たして・・・。
捜索開始から早10分、既にがっかりムードが流れていた。
「この部屋・・・豪華だけど、広いけど・・・でも、あるのは漫画ばっかり・・・」
そう、ここには本棚しかない、漫画しかない。
ちらちら金庫が見え隠れするが、しかし大したものはなく・・・。
(これ・・・誰が描いたんだよ?)
そんな感じで呆れている。
そして結局ーー。
「ここも違う・・・」
「ですね」
ここでも見つからなかった。
「・・・まさか別の場所か? さっき途中でちらっと探し回ったけど・・・」
「そうですね・・・。私もお目当てのものはなく・・・もう何処にもいないようなので、残念です」
「そうですか・・・・・・? あなた・・・誰ですか?」
そしてようやく、ユウは自身が見知らぬ人物と、ずっと会話を続けていたことに気がついた。
「あっ・・・えっと・・・さようなら!」
そう尋ねられた同業者Dは、顔は見えないが急に顔色が変わり、焦りだし、そして突如としてその場から姿を消した。
「・・・え? ・・・どこ行った? ・・・・・・もしかして、僕遂に幻覚が、イマジナリーな同業者が!?」
一瞬理由がわからず、結局さっきまでのは自身の作り上げた幻覚だったと、そう思うことにした。
「・・・さてと、早く撤収しよーー」
そうしてもうここには何もなさそうなので、早々と撤収しようとしたその時、何かにつまずいた。
「痛てて・・・何だこれ? ・・・取り敢えず、やられたので一発やり返します」
そう言って、それを蹴った。
本人的には手加減したつもりだったが・・・残念。
思いの外いろいろと壊してしまった。
本棚やら金庫もどきやら、結構破壊してしまい、そしてそれなりに大きな音も立ててしまった。
これはまずいと思った。
恐らく不審に思った誰かが駆けつけるに違いない、と。
だから尚の事、早く撤収しようとした。
しかし、そうはしなかった。
なぜならーー。
「・・・これ・・・階段? ・・・地下へ?」
アンラッキーが導く解決への糸口。
目の前に、色々と破壊した先に、地下へと繋がるらしい階段が、突破口が。
ユウは勿論、それにつられさっさと暗闇へと降りていった。
(あっ! 片付けるの忘れた・・・。まぁいっか!)
しばらく暗闇が続き、そろそろ心細くなってくた頃合い、僅かな光を捉えた。
「・・・何だ・・・これは?」
〜ラヴィア城・某所〜
「これは国王様。この度は時間を取っていただき誠にありがとうございます」
「構わん。それよりも早く本題に入ってくれ」
「勿論ですとも」
そうして男は、やけにニヤつきながら話し始めた。
「本日も、よい娘を沢山揃えております」
そして手を二度ほど叩く。
すると奥から、同じく下品な風体の男が二人、リードのようなものをジャラジャラと引っ張りながらやってきた。
続いて、それに繋がれている、雑な布を纏った年若い少女たちが強引に部屋の中へと連れられてきた。
それを見て、男はまたニヤついた様子で国王に話しかける。
「いかがでしょうか? なかなか今回は、上質なものばかりで」
そうして国王の顔色を窺う。
「・・・・・・」
しかし、国王が黙るとすぐさま次のアクションを起こした。
「この娘などどうでしょうか? 国王様がお好きそうですが」
と、一人の娘に近づいて、怯えきった彼女の顔面の、下部に手を当て、再度顔色を窺う。
「・・・うむ、なかなか良い娘ではないか」
そう言って、国王もそちらへと歩む。
「なんだ? 怯えているのか? 安心せよ。儂がたっっっぷりと可愛がってやろうではないか!」
「ひっっ!」
「是非そうしてください!」
国王の機嫌が直り、男もそれを維持しようと、同調を怠らない。
「全員貰おう。現金はここにある」
「なんと! 決断とお支払いがお早い! ありがとうございます」
国王は、現金をどこからともなく取り出し、それをドサッと男へと渡す。
男はそれを、欲深きその腕で抱きかかえる。
すると、上機嫌になった男は饒舌に語りだす。
「実は先日我が領、エヴィリオ領内でよい娘を見つけましてーー」
[雑談]最近魔術使ってないな・・・大丈夫です! そのうち。
[ブクマしましょう!!]そろそろ欲しいかも、です。
[予告]次回の更新は、7日を予定しています。




