二章ー9 下っ端
「国王様・・・とても聡明な方でした。昔、魔物が突如大量発生してね・・・何人もの人がその被害にあった。そこで、真っ先に動いたのが国王様だった。しかも自ら戦地に赴いて、魔物を次々と。だから国民からの信頼も凄くて」
ユウはただ頷く。
ここまではとても良い話なので、いい気分で聞くことができた。
ただふと、先日国王と会った時のことを思い出す。
(この前会ったときは、なんか典型的な悪い王様って感じだったけどなぁ・・・)
では何故そうまでなってしまったのか、その答えはすぐに得られた。
「しかし、いい時代もそう長くは続かず・・・姫様がお生まれなさったタイミングです。国王様は、姫様のことをとても大事になさっていました。ですが、何故かそこから政治がだんだんと、国民のために行われなくなってきて、更に追い打ちをかけるようにして、王妃様が病で若くしてお亡くなりになられ・・・・・・今に至ります。それで姫様は、呪の子だの、悪魔だの、嫌な異名をつけられてしまって・・・。彼女は決してそういう人間ではないのですが、噂は怖いもので・・・」
と、ここで話は終わり、ラック伯爵は紅茶を飲み干した。
(なるほど・・・姫様が生まれて、国王にも明確な弱点ができたわけだ。それを利用して、魔王は国王を操っている・・・とか? うーん・・・)
ユウもまた、紅茶を口へと運び、そして考える。
また、フィーネルも、図々しくもお茶菓子のおかわりを要求。
(フィーネル・・・・・・太るぞ)
ユウは心のなかで、彼女に忠告した。
すると、何故か彼女の足がだんだんと近づいてきてーー。
「ーー痛!」
「フンッ!」
足を踏まれた。
彼女の気まぐれか、はたまた思考が読まれたのか・・・。
「と、説明はこんなところでいいか? 私も詳しいと言う訳ではなくてね」
「・・・あっ、えっと・・・はい。ありがとうございました」
「参考になったのなら幸いだ。っと、そろそろ私は失礼しよう。仕事があってね。君たちはどうする?」
「あっ、僕たちもこれで。ありがとうございました」
お茶菓子を食べ続けているフィーネルを引っ張りながら、なんとかラック領を出た。
〜宿〜
「次は姫様に会ってみましょうよ」
「そうは言ってもねぇ・・・」
現在、宿にいる。
なぜならユウは、ようやく緊張から開放され、そして心落ち着ける場所へ来たかったのだ。
「そんな事するよりも、城に乗り込んじゃえばいいんじゃない? そのほうが早く終わるし」
「・・・あんた、やっぱり馬鹿? もうちょっとこの国のことを考えなさいよ! ・・・それに噂だと、アフォス公爵っていうめっちゃ強い人が守ってるらしいわよ」
「・・・そうなんだ」
(たしかに、ギルドであったあのイケメンもかなりの強さだったからな・・・警戒したほうが良さそうだ)
「それに、国王が操られてるだけなら、それを処理してもまた別の誰かが操られるでしょうね。イタチごっこってやつね」
「じゃぁ、国王から魔王の気配を感じたのは、国王が魔王っていう訳では無いの?」
「そうだったら私、もう国王殺ってるわよ」
(そうだったのか! ・・・お恥ずかしい)
ユウはてっきり、国王が魔王なのかと思っていたが、それは違うらしい。
そうであったなら、ターゲットが明確で良かったのだが、やはりそううまくはいかないらしい。
「っと、そろそろギルドへ行きましょう」
〜南沼地〜
「はぁ・・・なんでこんな依頼・・・」
「私、絶っっっっ対やらないからね」
「はぁ・・・」
汚れきった沼地、何かが出そうな、というよりも、もう既に出てしまっている。
ゲコッゲコッ
カエルがーー。
ゲコッゲコッゲコッゲコッゲコッゲコッ
大量に。
「なんでも、この前あんたがカエルを瞬殺したのを見て、依頼したらしいわよ」
と、木の上からフィーネルが。
どうやら徹底的にカエルとは関わらないらしい。
「いいけど・・・こいつらでかすぎるし・・・服とかめっちゃ汚れるんだが」
「文句言ってないで、はやくやっちゃってよ!」
木の上に逃げた仲間、目の前にいる大量のカエル(大型)。
思うに、おそらく今が異世界ライフにおいて、一番輝いていない瞬間だろう。
「そういえば・・・人生って、凄く地味なんだよね・・・。忘れてたけど」
そう悲観する時間すら、カエルは与えてくれないらしい。
大音量の集合体がこちらへと向かってくる。
木の上にいるフィーネルは、耳をふさぎ、目をつむり、よそを向いている。
(僕だって、目をそらしたいんだけど・・・)
しかし、自衛のためだ、しょうがないので魔力を練る。
クラスレッド・アネス
「< 赤魔術・荒風 >」
前方に強烈な風を吹かせる。
それにより、カエルは一斉に後方へと吹き飛ばされる。
そして
クラスホワイト・シェルター
「< 白魔術・土堅牢 >」
カエルの飛んだ先に、土で作られた簡易的な収容施設が生成、カエルは次々とそこへインした。
(うん、キモい)
それに尽きる。
蠢くカエルたち、あの中のカエル濃度は計り知れないが、もし万が一誰かが入りでもしたら、トラウマ間違いなしだ。
「お疲れ。木の上って、結構腰とかが痛くて・・・」
そう文句を言いいつつ、ガサッと木の上からおりてきた。
「・・・そろそろ僕も怒るからね」
彼女は相変わらずのようだ。
そこで、いつもよりも強く出てみた。
「あっ、そうなんだ」
しかしそういえば、貴族にも図々しい態度ができる奴だということを失念していた。
それ故軽い脅しなど、そよ風に過ぎなかった。
「はぁ・・・」
(なんか、そろそろこのストレスをどうにかしたい・・・)
「で、あんた、あのカエルどうするのよ?」
「えっ? あぁ、後は焼却するだけだよ」
「・・・あんた、ストレスたまり過ぎじゃない?」
(・・・)
ユウはなんとか怒りを沈める。
すると突然フィーネルは、あちらを指さして言う。
「なんか、人の群れが襲われているわよ」
「・・・じゃぁ助けようよ!」
こうしてまた、二人は人助けへと走る。
「姫様に近づくな!」
勇敢な戦士がその怪しい男へ斬りかかる。
しかし、
「ノロマだなぁ」
「何っ!?」
怪しい男は丸腰で応戦。
剣を回避、そして戦士の間合いへと入り込み、そこで小競合う。
すると、遂に男は剣を略奪、戦士へ反撃に出る。
「グアッ!」
「まったく・・・雑魚が!」
戦士は一人、出血し地面に倒れた。
「た・・・隊長!」
「きっ、斬りかかれ!」
一人がやられた恐怖で、全員が一斉に斬りかかる。
「お前ら命は大事にしろよ」
誰一人その男に攻撃を当てることは叶わず、静かに散った。
男は剣を捨て、次に馬車に乗っていた、姫様の元へと向かった。
「よぉ姫様ぁ。あんた、俺のこと覚えてるか?」
「しっ・・・知らないわ」
「そうか・・・知らないか・・・。じゃぁ思い出させてやるよ!」
「・・・っ」
男は強引に、姫の腕を掴み、何処かへと連れ去ろうとする。
必死の抵抗を見せる姫、しかし力量差は歴然である。
「何してるんだ!?」
そこへユウが現れる。
「何だぁ? ・・・ただのガキか。ガキは大人しくーー」
と、男は台詞の途中で倒れた。
「何こいつ? ・・・ただの雑魚じゃん」
どうやらフィーネルが斬ったらしい。
そして男もまた、斬られたことによるショックで、一時的に気絶しているようだ。
しょうがないので二人は、男が起きるのを待つことにした。
[雑談]こういう盛り上がらないけど大事なところって、結構難しい。
主にモチベの管理が。(作者もはやく『 起死回生ノ一手 』の発動シーン書きたい!)
[ブクマしましょう!]
[予告]次回の更新は、25日を予定しています。




