二章ー8 貴族
「あ〜〜疲れた!」
「なんか、依頼よりも、歩いたりするほうが疲れるよね・・・。」
あれから二人はギルドでCランクの依頼を受け、速攻でそれを片付けてきた。
「しっかしさっきのカエル、本当に気持ち悪かったんだけど・・・。」
しかし、速攻で片付けてきたと言っても、かなり濃い時間となってしまったようだ。
「でも、それ、全部僕に任せて、自分は遠くから眺めてただけだよね・・・。」
「何よ! 私にあんな変なのと戦えって言うの!?」
「・・・はぁ。」
こうしてまた不毛なやり取りが静かに終わった。
こっちはもうかなり憔悴しているというのに、彼女はとても元気そうだ。
「あとどれくらいでBになれるかしらね?」
「いや、まだ一つ目だからなぁ・・・。まだまだかかりそうだけど・・・。」
相変わらずフィーネルは気が早く、もうBランクの話をしている。
Cランクになれただけでも奇跡的だったのだが・・・。
(そういえばあの人、イケメンだったな・・・強かったし・・・。)
そうしてユウは深呼吸を一つ。
(あぁ・・・なんか自然を感じるなぁ・・・それと、ちょっと焦げたような匂いも・・・ん?)
「なんか、変な臭いしない?」
「そうね・・・」
二人は周囲を見回す。
しかし、臭いのもととみられるものは一向に見いだせなかった。
「うーん・・・気の所為じゃない?」
そういった矢先、爆発音がした。
「な・・・何だ!?」
すると、二人から見てやや進んだ先で、良くない色の煙が僅かに上がっている。
「多分あれね。」
「そうだね・・・じゃなくて! 早く向かわないと!」
「はいはい。」
向かった先で待ち受けていたのはーータイヤなどが大破した大きめの馬車と、それの所有者と見られる男性、そしてそれに襲いかかっている魔物。
また馬車は、壊れているのも問題なのだが、肝心の引き手、つまり馬か何かが逃げ出したのか姿が見えず、そして後方がやや燃えてしまっている。
「く・・・来るな!!」
そんなことよりも何よりも、一番心配になってしまうのが男性であり、一人で善戦したのだろう、小刀のみを構え、魔物と対峙している。
魔物の一体が飛びかかった!
男はやはり怖かったのか小刀を地面に落とし、ギリギリで避けた。
だが、そこでもう体力の限界が、地面に手を付きもう戦う気力すらないようだ。
「・・・」
そうして背ががら空きの男へ、また魔物が飛びかかる。
クラスレッド・ウェスト
「< 赤魔術・水壊 >」
飛び上がった魔物及び周囲の魔物に向かって水の弾丸が発射され、華麗に尚且つ素早くそれら化け物を撃ち抜いた。
また男性は、突如魔物がやられたのを見て安心しきったのか、天を仰いで、遂に地面にへたり込んだ。
「大丈夫ですか?」
「・・・ありがとうございます。私はバクというものです。・・・ところで、あなた方は一体?」
「あっ、僕たちは冒険者です」
「僕たち?」
何故彼が首を傾けているのか、それは未だ、現場に来ているのがユウだけだからである。
すると、あちらから足音が。
(フィーネルかな?・・・まったく、早く来ればいいのに・・・)
しかし、この予想は外れる。
やってきたのは馬だった。
恐らくこの馬車を引いていた個体だろうが、主人の危険のときには直ぐに逃げ出して、それが終わると飛んで返ってくるなんて・・・と、この馬の賢さに改めて自然の凄みを感じていると、ようやくフィーネルがやってきた。
「えっと、彼女が僕のパーティーメンバーのフィーネルです」
「どうも」
その後、イヤイヤ言うフィーネルをなだめ、馬車の修繕等々を行った。
「では、本当にありがとうございました」
「いえ」
「じゃあね」
こうしてあっさりと彼と別れた。
すると、ユウは何か変な魔力を感じた。
見るとーー
(・・・小さな狼?)
しかし何となく、感触のないような感じがして、はぐらかされているような感じがして、少しだけ気持ち悪い感覚だ。
なので念のため、そちらへと魔術を行使。
クラスレッド・クイック
「< 赤魔術・速射 >」
しかし、バッチリ狙ったはずだが、それは地面に当たった。
(・・・あれ? やっぱり気の所為か?)
「何やってるの?」
「・・・あ、ごめん」
こうして、僅かな違和感を抱えながらギルドへと向かった。
〜ラック領〜
「まぁ、楽にしていてくれて構わない」
「あっ・・・・・・どうも」
豪華な部屋、上品な香りの紅茶、そして高そうなカップ。
それを持つユウの手は震えている。
フィーネルは平気そうだが・・・。
と、自然な感じで変な場所、そして変な人と話しているが、何故こうなったのか、ここまでの経緯を話そう。
まず、なんとかギルドについたユウたちは依頼の完了報告をして、その後適当に宿を取り、その日を終えた。
翌日、昼前のギルドにて、昨日の馬車の彼がギルドへとやってきた。
要件を聞いたところ、馬車の中身がとても大事なものだったらしく、それを守ってくれたユウたちに直々に感謝をしたいと、彼の雇い主が言っているらしい。
それを受けて、色々と詳細を聞こうとしたが、執事のような人たちにみるみるうちに包囲され、そしてここまで連れてこられたのだ。
「いやぁ~しかし、本当に助かったよ。あれがなくなったら、私は死んでいた・・・かも」
そしてこの男性は、ラック伯爵、貴族様だ。
なのでこちらはかなり緊張している。
「ほんと、貴族は難しいね〜」
「・・・でもあれ、燃えてましたよ?」
「いや、内側にも特殊なコーティングがされててね」
「・・・なるほど」
まあどうやら中は無事だったらしいので、それはよかった。
そういえば、馬車を修繕するときも、そこはやらなくていいと言われたな、ということを思い出した。
(中身を教えてくれなかったし・・・気になるな・・・)
「とにかく、本当にありがとう!」
「じゃぁさ、あんたに聞きたいことがあるんだけど」
と、貴族相手に対しても臆せず、というか失礼だが、やはりタメ口で話し掛ける。
「ん? なんだい?」
「王族のことよ」
「・・・王族?」
ラック伯爵の顔つきが変わる。
もしかしたら、地雷に触れてしまったのかもしれない。
しかし二人は彼の変容を見て、これは何かあると、逆に確信する結果となった。
「えっと・・・王様のことが聞きたくて!」
「あぁ・・・なるほどね」
そして語りだした。
語ると言っても、たった一、二言に過ぎないがーー。
しかしここから、ようやくこの、二等世:プロドシアの攻略が始まった。
[雑談]インフルがわりと重症で、まだ症状が・・・。
あと、タイトルそろそろ決めないと・・・。
[ブクマしましょう!!]。
[予告]次回の更新は、22日を予定しています。




