二章ー7 イケメンと、ワガママと
フィーネルのわがままに、受付嬢及びユウが困っていると、そこへイケメンがやってきた。
「・・・何よあんた?」
「失礼、私はアントラスという者です。僭越ながら、冒険者をやらせていただいております。以後お見知りおきを。」
そう言って、そのイケメンは美しいお辞儀をしてみせた。
そして、フィーネルをなだめ、自然な感じで事情を聞き出した。
また、周囲の女性たちの視線が集まりだし、受付嬢もようやく開放されたというような、安心した様子になった。
「なるほど・・・何か特別な事情がありそうですね・・・。それに、あの御方の目的にも影響しそうですし・・・。」
「・・・それはどういう・・・?」
「失礼、何でもありません。」
何か、とても大事なセリフを言ったように聞こえたがしかし、それも軽く流される。
「ですが、そうですか・・・ふむ・・・。では、こうしましょう。私と貴女、一対一で模擬戦をして、見事私を撃破することができた暁には、貴女とお連れの彼、二人共Bランクへと昇格させてあげましょう。」
「ーーっ!」
「アントラス様! それはいくらなんでも・・・。」
「まぁ、いいじゃないですか。・・・もし本当に彼女が私以上に強いのだとしたら、低ランクのままにしておくのは余りにももったいない、と私はそう思いますが。」
かなり私的な意見にも聞こえなくもないのだが、強ち間違ったことは言っておらず、また、そうでなくともルックスでそれっぽく聞こえてしまっているためすんなりと了承された。
そして、フィーネルはそれに直ぐ様食いつく。
「言ったわね?」
「えぇ、二言はありません。」
「随分と余裕じゃない! あんた・・・強いの?」
と、ここまでずっと挑発的な態度を取り続けるフィーネルに、流石にこれ以上は看過できないと思い、釘を刺す。
「これじゃまるで、僕たちが悪者みたいになってるんだけど・・・」
ユウは半ば、どうせ言ったところで殆ど意味がないと諦めていたがしかし、思わぬ返答が得られた。
「・・・わっ、そんなの分かってるわよ! 途中から段々気づいてたわ! ・・・でも、何か、もう引けなくなっちゃって・・・ごめん。」
流石の彼女も全部が全部本心ってわけでもないようで、もう収拾がついていないようだ。
その証拠に、台詞の最後はもう殆ど聞こえなうような程の小さな声であった。
これがずっと本心でやっている訳では無いと分かり、少し安心した。
と、ここでさっきの質問に対する返答が得られる。
「そうですね・・・強い、と一言で言っても、いろいろな強さがありますからね・・・。ただ、私が一つ言えることは、私は負けないということです。これはどうしようもない事実なのです。私のこの剣は、そしてこの技は・・・全てあの御方の為にーー。」
揺らぎのない目、確固たる意志、そういったものを感じた。
そしてユウは、彼は強いと、そう思った。
「ルールですが、私以外を傷つけないこと、ものを壊さないこと、そして死にそうになったら、直ぐ降参すること・・・これくらいですかね。」
しかしそうは言うものの、かなりの余裕を見せ、フィーネルも少しイラッときたようだ。
「では、始めましょうか。」
そうして始まると同時に直ぐにフィーネルが仕掛けた。
クラスレッド・クイック
「< 赤魔術・速射 >」
それはまっすぐとそして素早くアントラスへと向かって行く、が、彼が軽く手を払っただけで、消滅してしまった。
「はじめから本気を出していただかないとーー」
クラスレッド・ブレイズ
「< 赤魔術・豪炎 >」
間髪入れず、高火力技を叩き込む。
(なるほど・・・さっきのはこれのための・・・)
しかしアントラスは冷静に、そしてそれへ対抗するべく魔術を行使する。
クラスレッド・ファイア
「< 赤魔術・火炎 >」
そうして彼が発動したのは、炎属性の基本魔術、威力がまるで劣るものだった。
これにはフィーネルも、
「!? 舐めてるの?」
「いえ・・・すぐ分かります。」
そう言う通り、その余りにも小さい炎は、大きい大きい炎へ向かっていき、そして競り勝った。
また、それの一部は炎を抜け、フィーネルへと到達した。
「くっ・・・」
肩をやや掠っただけだが念のため、フィーネルは< 白魔術 >により回復した。
次に、再度別種の< 白魔術 >を行使した。
どうやら何か木刀に細工をしたようだ。
そして
「・・・構えが変わった。」
木刀を静かに構える。
(これは・・・危ないですね。)
「< 断絶の ・・・」
と、そこで彼女の攻撃は止まった。
フィーネルは、突然立ったまま硬直し、そして倒れた。
「・・・何だ?」
ユウも、何が起きたのかさっぱりと、といった感じだ。
「なるほど・・・これは普通の木剣ですね。魔術で少々何かしたみたいですが・・・それでもこんなものであそこまでやるとは・・・。」
いつの間にかアントラスはユウの背後へと移動しており、その手には何故かフィーネルの木刀が握られていた。
「・・・強い。」
そしていつの間にか、フィーネルはムクッと起き上がり、そう呟いた。
「そうですね、貴女、かなり強いですね。Dランクではもったいない。」
またアントラスも、そう言って彼女の方へと近づき、木剣を彼女へ返した。
「・・・彼女と彼をCランクに! 責任は私が。」
「はっ、はい!」
「えっ?」
「かなり楽しめました。またいつか、君たちに会えるのを期待しています。」
どうやら少しは認めてもらえたようだ。
とは言っても、自分は何もしていないのだが・・・。
「・・・最も、そう遠くないでしょうが。」
ポツリと何かを言って、アントラスはギルドを去っていった。
「・・・では、依頼を受注しますか?」
「あっ・・・お願いします。」
こうして、ギルドでの騒動は、一段落した。
[雑談]インフルにかかってしまいました・・・。
皆様もお気おつけください。
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[予告]次回の更新は、19日を予定しています。




