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異世界チートは標準装備〜ピンチでも、ピンチじゃなくても起死回生〜  作者: 悠悠ー自適
二章 二等世:プロドシア篇
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二章ー3 魔術、そしてお弁当

〜更に翌日〜

 朝方、訓練場に忍び寄る、怪しい人影が一つ、中の様子をうかがっている。

 視線の先、訓練場のその扉は昨日のまま大きく破損している。


「扉・・・直ってないな・・・。でも、中に誰もいなさそうだし、今日は大丈夫だろう。」


 外から見るに、今日こそは誰もいないようである。

 よって、身構えず、安心して中に入ろうとしたその時ーー後頭部に衝撃が!

 

「痛い!」


 しかし今日は痛みだけ、それがこびり着いてくることはなかった。

 だが何故此奴が背後から襲来したのか、後ろを見るとーーやや不機嫌そうな顔をした彼女の姿があった。

 犯行動機を聞くに、「なんか・・・変態みたいであれだったから、投げた。」らしい。 



 さて、気持ちを切り替え今は訓練場の中、しかし今日は木剣を与えられていない。


「あの・・・」

「今日は軽く魔術をやるわよ。」

「えっと・・・魔術で何するんですか?多分、危険ですよ。」

 

 危険、といっても色々あるが、つまり手加減が苦手だから、備品やらを破壊してしまう恐れがある、ということを言いたいのだ。

 そもそも室内で果たして使っていいものなのか、といった疑問もある。

 だが、「大丈夫でしょ。」の一言で片付けられてしまった。


「それよりもあんた、適正は?」

「・・・てきせい?」

「・・・まさか、適正も知らないの?」

「えっ?」 

  

 残念ながら、そのようなものはまるでご存知ない。

 なぜなら誰もそういったシステムのことを教えてくれなかったからだ!と、心のなかで叫ぶ。

 

「はぁ・・・まったく、なんであたしが説明しなきゃいけないのよ!」

「説明、してくれるの?」

「そりゃぁ・・・いや、べっ、別に、私の特訓のためだから。まったく、何考えてるの!」

「えっ?・・・えっと、なんかごめん。」

 

 ということで急遽、”適正”についての講義が始まった。


「まず、魔術は主に、攻撃特化の< 赤魔術 >、回復や防御などの補助専門の< 白魔術 >、そしてよくわからないけどいろいろと特殊な< 黒魔術 >の三種類に分けられるの。これらを基本三系譜と言うわ。主に適性があるのは赤か白ね。黒なんて、実際使ってるやつなんて、見たことないわ。」

「・・・」

「何、その顔?」


 「実は僕、それ使ったことあります。」と、心内で密かに自慢したが、どうやら顔に出ていたらしい。


「なんか気に食わないけど・・・まぁいいわ、続けるわよ。魔術には、さっきの3つの括りの他に、属性でも分けられるの。基本的には基本五属性と言われる炎・水・雷・風・地よ。他にも例外的なやつはあるけど・・・多分縁のない世界だから。」


(僕は、炎か雷が、かっこよくて好きかな。・・・でも、水も捨て難い・・・。)


「聞いてるの?」

「・・・えっ?あっ、聞いてます。」

「・・・それで、その系譜と属性の組み合わせは、人それぞれなの。だからそれを適性と呼んでいるわ。」

「・・・なるほど。」


 知らなかった、教えてくれてありがとう、と思った。

 しかしここで、ある疑問が生じる。


(マギナさんの< 灰魔術 >って何だ?さっきの括りに入ってない・・・よな。あと、僕は赤・白・黒全部いけるけど・・・これはレアケースなのか?)


「まさか、こんな事を知らないなんてね・・・まったく、誰よ、適当な説明したやつわ。」


 そう言われたので、リースの顔を思い浮かべながら、「犯人はコイツです・・・というか説明スキップされました。」と、軽く呪った。


「それであんた、< 赤魔術 >は使えるの?」

「まぁ、よく使います。」

「良かった・・・それじゃ今日は、低威力の速度特化型魔術の撃ち合いってことで。」

「んぇ?」

クラスレッド・クイック

「< 赤魔術・速射 >」


 やはり突然始まった訓練、しかしこれが意外と楽しくてつい白熱、無事に備品をいくつか壊した。




〜数日後・訓練場〜

「今日でいよいよ最後ね。」

「うん・・・ん?そうなの?」

「だって私、今日で休暇が終わって、明日から復帰するから。」


 ついさっき、連絡がきたらしい。

 思えばこの一週間、本来ならやることもなく暇なはずだったが、彼女のお陰で案外楽しく過ごすことができた。

 そして、因縁のライバルーーあの訓練用人型ロボ?の頭部ーーとも出会うことができた。

 因みに今日の奴との戦いは、遂にこちらに軍配が上がった。

 有終の美、とでも言おうか、お陰で記憶が美化され、そいつのことを今では親友だとさえ思っている。


 と、思い出に浸っていると、彼女が優しく袖を引っ張ってくる。


「?どうしたの?あっ、はやく始めたいとか?」

「・・・いや・・・今日はいい。」

「あっ、そうなの?」


 どうやら今日は、訓練する気分ではないようだ。

 その後も彼女は袖を引っ張りつつも、ただ黙り続けた。


「・・・・・・あの・・・一週間付き合ってくれて・・・その・・・ぁりがとぅ。」


 ためてためて、ようやく声を絞り出したようで、最後のセリフが消えかかっていたが、それでも感謝の気持ちは十分すぎるほど伝わった。

 と言うよりは、まさにツンデレとも受け取れる何か、素晴らしい何かを今、目の前で体感し、最早宇宙を感じている。


「それで・・・えっと・・・時間的にはちょっと早いけど・・・お弁当作ってきたから・・・。」

「・・・」

「・・・・・・食べる?」


 「勿論!!!」と、心のなかで何度叫んだだろうか。

 しかし、あまりの衝撃に、言葉が喉に支えてうまく出てこない。

 なので、応急処置として、体全体を使って全身全霊で感謝の意を示した。


「・・・良かった。」


 それが何とか伝わったらしく、無事、お弁当イベを発生させた。


「えっと・・・あんまり期待しすぎないでね。」


 普段とはうって変わって、やや恥じらいを見せている。

 

「・・・」


 これに魅せられ、現在幸せに包まれている。

 加えて、味も控えめに言って絶品だった。

 こうしてお弁当イベをしっかりと完遂したのであった。



 さて、幸せな時間は過ぎるのが早いもので、現在は下に残る僅かな余韻に浸っている。

 すると、彼女は改めて、話しを切り出す。


「最後に・・・なんだけどーー」


 この出だしに、「まさか・・・」と、かなりの期待と夢を


「私、あんたのこと結構好きだから。」

「・・・」

「一応・・・言っただけ。」


 それだけ言い残し、少女は訓練場を去った。

 

「・・・・・・・・・これ現実?」




〜寮・自室前にて〜

 現在、自室前にいる。

 先程の青春イベントの惚けがまだ抜けていない様子であるが、それでも何とかここまで辿り着いた。

 

「フィーネル、フィーネルか・・・。」 


 何度も呟いている「フィーネル」というのは、彼女の名前である。

 思えば名前を聞いていなかったと、これはまずいと感じ、お弁当の際になんとか聞き出した。


 さて、ようやく部屋に戻るべく、扉のロックを解除し、いざ扉に手をかけたその時、


「  物事の本質、情報の取捨選択  」


 後方から、さっぱり聞き覚えのない、男性の声がする。


「  王が吉、姫は凶、  」


 続けてまた何か聞こえてきた。

 しかし急いで、ぱっと振り返るも、そこには誰もいない。


「・・・気の所為か。」


 取り敢えず、寝ることにした。

[雑談]祝日に休みをもらえる世界に転生したい・・・。 

[ブクマ&評価しましょう!!]宜しくです。

[予告]次回の更新は、7日を予定しています。

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