二章ー1 記憶
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「ゆうちゃん!」
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「ゲートが、今ーー。」
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「セツ・・・さん?」
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「これが私の能力、その名もーー」
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「俺が・・・お前をーー。」
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「お前・・・を・・・・・・」
「おはようございます」
「・・・・・・えっ・・・と、あっ・・・おはようございます。っと、ここは?」
「< 竜の巣 >ですが」
「竜の巣・・・? ・・・あれ? メイサさん? ん? あれ・・・さっきまで何かと・・・あれ? 僕、いつの間にここに来たんだ?」
先程までのは夢だったのか、はたまたまた別の何かなのか、頭がうまく働かない。
「すまない、君をここに連れてきたのは私なんだ。」
「クル・・・いや、えっと・・・リースさん!」
感動の再開ーーのハズだったのだが、残念ながら、パット名前が出てこなかった。
一瞬クルースと言い間違えそうになったが、何とかそれを取り繕った。
「もしかして・・・また誰か、魔王かなんかにボコボコにされたのを、助けてもらった・・・とかですか?」
「いやいや、そうじゃないさ。連れてきたと言っても、転送の間からここまでの距離だけだよ。帰ってくるなり意識を失うもんだから、凄く心配したんだよ。」
「ほぇ〜、それはありがとうございました。」
どうやらまた迷惑になってしまったようだが、やはりさっぱりと覚えておらず、つい腑の抜けた返事をしてっしまう。
「ところで、起きてすぐで悪いんだけど、何があったのか、よければ教えてくれないかな?」
ご尤もだ。
突如現れて、突如気絶するなんて、そうそう起きることでもなければ、自身ですら状況を理解できていないのだ、他人なら尚更だろう。
さて、それに答えるべく、今度は順序立てて思い出すことにした。
「えっと・・・確か、セツさんのお見舞いをしてから、マギナさん達のところに向かって・・・それから変なやつと戦って・・・なんとか勝って・・・あれ? その後は・・・どうしたっけ?」
まさかこの年で物忘れか、と思ったが、どうしても思い出せないので、すっと端末*を取り出し、そっとログを見てみる。(*端末:初めに支給されたもの、ステータス等々を表示してくれるやつ、表記端折られがち)
しかし、
「なんかバグってる・・・読めん!」
何故かクロノとの戦闘終了直後から、先程意識が戻ったところまでの間のログが、まるまる読み取れない。
いつかありがたく使わせていただいた、この便利機能をもってしても、残念ながら一部の記憶が戻らなかった。
内心焦っているのだが、ここでどうかしたのか、とクルースに問われ、つい、何でもないですと一言。
だがその後、やはり打ち明けようと思い、正直に物忘れを打ち明ける。
「まさかその年で物忘れですか ご愁傷様です」
「・・・はい。」
やはりメイサの辛辣な一言が飛んできた。
普段の如く、抑揚のないような声であるが、久しぶりであるからか、記憶の中の彼女の声よりも更に冷たいように感じられた。
「・・・なんか、光がパァーッとなったとこまでは覚えているんですけど・・・そういえば、なんか凄い事言っていたような?」
「・・・なるほど。」
多分今の「なるほど」は分かっていない「なるほど」だと察したが、それは自分の語彙力及び記憶力の低さが招いてしまった悲劇なので、静かに受入れた。
「う〜ん・・・もしかしたらだけど、記憶に干渉できる攻撃を受けたんじゃないかと思う。」
「記憶に干渉?」
「そうだ。これはかなり高度なもので、なかなかできる人はいない、かなりのレアものだ。恐らく相手もかなりの手練だったのだろう。最後の悪あがき、といったところか・・・。」
「なるほど・・・。」
今の「なるほど」もまた、よく分かっていないときのそれであるが、相槌がないよりはマシだといった判断であった。
「まぁでも、だからこそ、その記憶を取り戻すのは最早必須だ。」
「必須・・・? 確かに自分のものを取り戻すのは当たり前ですが・・・」
「そうだね、それは当然だ。だが、やはり強者との実戦の経験ほど貴重で、且つ自分を成長させてくれるものはない。それだけで、生存率がぐんと上がることもあるしね。」
リースの熱弁のお陰で、良いか悪いかは別として、なんだがそんな気、つまり、記憶を封印されてしまい、そしてその記憶を取り戻すことで一段と強くなれる、そんな気になった。
そして同時に、この理論でいけば、自分が物忘れしたのではないということになり、一先ず安堵した。
「そうだ! 突然だけど、与えた任務については覚えているかい?」
「えっと確か・・・勇者・賢者・聖女を探せ!みたいなやつですよね。」
「そうだ。そして、その中の一人である賢者は、恐らく君の記憶を復元することができる。」
「なるほど・・・。」
「だから、まず最初に賢者を探してほしい。と言っても、それで見つかるのなら、苦労しないんだけどね・・・。今、うちの精鋭達が先代以前の文献の解読を絶賛進めているところだから、それが終わりしだい任務開始だ。」
(文献・・・? どこにでもそういうのはあるんだなぁ。確かクルースも言ってたな。・・・ホント、それを書いた人たちって凄いな。)
歴史をつくった人と同じくらい、それを後世に伝えた人というのは凄い人なのだと、そう思った。
「ということで、いつまでかは分からないけど、取り敢えず君に休暇を与える!」
「休暇・・・と言われても・・・。」
「休めるときに休んでおいたほうがいい。」
「そう・・・ですか・・・。いや、そうですね。そうします。」
最初は暇そうで、あまり乗り気ではなかったが、貰えるものは貰っておこうと思い、休暇を受入れた。
ただ、そんな古い文献を読み解くのに、一体どれくらいかかるのだろうといった疑念が生じたが、それでもここは異世界、然程焦りは感じなかった。
「では、また。」
「うん。解読が終わりそうになったら連絡するから、それまではこっちのことは気にしなくて良いよ。」
「ありがとうございます。」
そうして部屋を出た。
さて、リースは彼が部屋から出たのを確認して、
「メイサ、彼の事、どう思う?」
「そうですね 僅かながら 彼から神に近しい気配を感じました」
「そうか・・・僕もだ。彼が行った世界の名前は何だっけ?」
「三等世:アルです」
「・・・そうか。」
リースは何か難しい表情で、ただメイサの報告を聞く。
「加えて精神への干渉の痕跡も確認されました」
「なるほど・・・・・・やはり、彼には記憶を取り戻してもらわないと・・・。」
「では私はこれで」
そしてメイサは淡々と報告を終えて、部屋から去っていった。
「そこに・・・”アル”に・・・何かあるな。その世界に、もしかしたら、入口か・・・いや、起源のーー」
リースの呟きは、一人静かな部屋の、隅の沈黙へと還った。
[雑談]どうも、二章がスタートしました。
始めはやや展開遅めかもしれませんが・・・どうぞお付き合いください。
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[予告]次回の更新は、11月1日を予定しています。




