一章ー46[一章完結] 黒
クラスレッド・アネス
「ゆうちゃん、信じてるからね< 赤魔術・荒風 >」
フォームド
「期待に応えます< 具象剣 >!」
なんとここで、マギナが広範囲風魔術により辺り一帯を暴風帯にする。
「うおっ!なんだ?目眩ましか!?」
クロノもこれは予想外のあまり、驚きそして強風から自分の目を防御する。
クラスホワイト・ハイフライト
「< 白魔術・高速飛行 >」
だがそんな中、荒れ狂う風の中を、ゆうはそれすらも利用して飛ぶように、いや、実際飛んでいるのだが、自由自在に駆ける駆ける。
その速さの尋常さは、本人が一番分かっているだろう、そしてそれは長くは続かないことも重々承知だろう。
(速攻で決める!)
どんどんどんどん加速して、そしてその手に持つ剣は常にクロノを狙っている。
(この速さ・・・異常、だな。これじゃコイツの能力なんて一つも使えやしない・・・。まったく・・・こういう剣使いが一番嫌い、てか、うん、嫌い。)
一方のクロノはようやく不利になってしまい、だが案外焦ってはいない。
(さてと・・・そろそろ俺の能力も、披露しちゃいましょうかね?それとも・・・)
そうしてクロノは、その鎌の権限を解き、次のモーションへと入ろうとしたその時、探知していたゆうの反応が突如自分の真横に出現する。
焦って体ごと横の方へとやると、そこには確かにゆうの姿が、それも、従来の姿とはかなり様相の変わっている、ただ純粋な黒を呈する剣を握っている。
さて、流石にこの距離で攻撃されたらまずいと思い、何とか反撃しようとする。
しかし、
(体が・・・動かない。)
横を向いたところより先、指の一本たりとも動かなくなってしまった。
「鬼哭啾啾怨怨として、而して生者の光とならん。」
(何だ?・・・詠唱か?だとしたら、なんて不気味な、不気味な魔力なんだ・・・。)
得も言われぬ不気味さを感じ、だがしかし、自身はそこから一歩たりとも動くことはできない。
そしてクロノはどうすることもできないまま、ゆうの詠唱は最終段階へと移る。
ブラック・スィモス
「セツさん・・・< 黒魔術・紫怨斬斬 >」
彼女の名前を呟いて、そして黒剣は更に漆黒の魔力を吸収し、一段と不気味さが増す。
いよいよ攻撃っといった局面で、しかしゆうは、なんと剣の権限をそこで解除させた。
これにはクロノも理解が及ばなかったが、瞬間、クロノは腹部がヒヤッとした感覚に襲われる。
不思議に思ってそこを見て、そして気づいたーー「敗北した」と。
「・・・・・・いつの間に?・・・いや、いい。」
ゆうに問い掛けるも結局自己完結し、そして地面に倒れた。
途端、暴風が収束し、平穏がそこに戻ってきた。
「ふぅ・・・。」
ゆうもようやくまともに息ができ、そして得も言われぬ開放感に包まている。
(セツさん・・・。もう、意識が戻っててくれたら、嬉しいな。・・・でもなんか、もう大丈夫な、そんな気がする。)
と、遠くの空を見て、物思いにふけっていると、
「ゆうちゃん、お疲れ〜!」
そこへ、出番がなくて悲しんでいるクルースと、元気一杯のマギナがやってきた。
「えいっ!」
「うわっ!」
「お疲れ様〜。本当にありがとうね。」
それは一瞬の出来事だったが、マギナはゆうに抱きつき、リラックスモードに突入しつつある。
「ちょっ・・・いや・・・マギナさん・・・。」
「ん?照れてるの?ゆうちゃんは可愛いね〜。」
そんなこんなでようやく終結し、団欒とした感じの空気が流れているが、ここで、
「では、あなたが例の犯人でいいんですね?」
クルースが倒れているクロノに問う。
「・・・・・・それは多分、神の仕業だ。」
「まだそんなことを・・・」
「嘘じゃないさ。神はいる。それに記憶は殆どないし、意識もその時は殆どなかったが、お前の言う二人のうちのどっちかが、なんか特異点的なあれらしい。詳しいことは分からんが、それだけは確かだ。」
このように、斬られている人間とは思えない程たくさんと喋る。
「・・・ちょっと内容が不明瞭で、矛盾してますが・・・。」
「現に、俺が使っていたあの鎌も、その神のもの、神の能力だ。」
これほどまでに堂々と、自身を持って言っているのにも拘らず、何故かとても胡散臭く感じるのは何故だろう。
「そんな話ーー」
「いや、そうかもしれない。」
クルースが全力で否定しようとした途端、しかしマギナはそれを肯定した。
「私、ギルドマスターから話は聞いたことあるし、確か古い文献にもそういう記述があったはず。・・・だからって、分けじゃないんだけど・・・その話、信じるよ。」
「いいんですか?本当に?」
「うん・・・。だって、あんなに手加減してもらっちゃったんだ。もう、認めるしかないよね。」
「手加減?」
「そう、手加減。」
どうやら彼は、手加減してくれていたらしく、それにまるで気づいていなかったゆうと、薄々感じていたクルースは、だがどちらもその事実に驚愕する。
「まぁ、僕はいいですけど・・・多分、セツさんもそう言うと思うから・・・。」
「・・・はぁ。分かりました。」
こうして二人も彼を信じるという、犯人が神であるという方向で一致した。
するとマギナは徐ろに、白魔術で彼の出血を止め、ある程度の応急処置を施した。
こうして両者は完全に和解した、ゆうはそう思ったのだが、
「そういえば・・・今なら魔術、当たるよね?」
「「・・・え?」」
その一言に、その場にいた全員の口から疑問詞が飛び出した。
「・・・今和解したばかりでは?それに貴女、ついさっき、魔術程度では〜何てこと言っていたじゃないですか。」
「そうだね・・・でも、少なくとも高火力型で、更に出力上げた私の魔術なら少しは通るみたいだし・・・それに切り札もあるし・・・ね。」
これには一同絶句して、そしてゆうとクルースは自然に彼女とクロノとから距離を取った。
「あの〜」
クラスレッド・サンダサンダー
「< 赤魔術・激雷 >」
依然として横たわっているクロノが何かを伝えようとするも、残念、それは叶わなかった。
彼女の宣言通り、高火力の魔術が出力マックスで放たれーー無事制裁が加えられた。
「うわぁ・・・。」
ゆうは、彼の何ともいたたまれない様相に、最早感嘆するしかなかった。
「ふぅ・・・。」
一方のマギナは、何か達成感のようなものを感じ、何とも清々しい様子だ。
「・・・あれ、仲間ですよね?」
「・・・多分?」
「恐ろしいです。」
と、仲間の狂気に恐怖する。
しかしこの後、もっと恐ろしいものを目にすることになるのだがーー。
すると、
「何だ?」
突如、ゆうが何かを察知した。
しかし何なのかは掴めず、あたりをキョロキョロと見回す。
そしてふと、空を見上げるとーー。
「どうしたの?」
「いや・・・空が・・・。」
「空?」
皆上を見上げる。
「!何か・・・いますね。」
そこには何か、どこか神々しいような何ががいた。
それはゆったりと舞い降りてきて、その顔までもがはっきりと分かる距離まで来た。
その風貌は、”美”そのものであり、しかしどこか無機質な、温かみの感じられないようである。
「不気味ですね。」
クルースは、臨戦態勢をとる。
また各々、最低限の準備をする。
すると、
「セカイヲ チョウワ シマス」
こちらを見下げ、無機質な声で一言。
すると、クロノがそれに反応する。
「あれは・・・まさか・・・。」
「あれは・・・あれが・・・神、なのか?」
瞬間、辺りが光に包まれてーー。
[雑談]これにて一章完結しました。
皆様、ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
「ここで終わり?」などなど思った方もいるかと思いますが、そのもやもやは、きたるべき日の為にとっておいてあげてください。
一章は個人的趣味が暴発した結果生み出されてしまった産物なのですが・・・。
ただ、やりたいことは大体できたので、うまく次に繋がってくれる、はずです。
二章からも、気合を入れて頑張りますのでどうぞこれからも宜しくお願い致します。
[ブクマ&評価しましょう!!]話の区切れ目、今がチャンスだ!
[予告]次回の更新は、29日を予定しています。




