零章ー4 初・異世界攻略
〜転送の間〜
「ユウ君、大丈夫かな?」
「恐らくもう帰ってきます」
「いや、そんなまさ「帰りました~」」
と、メイサの見立て通り、早くも帰ってきた。
「もう終わったの!?」
「はい・・・なんか異世界って、不思議ですね・・・」
そう言って、先程の出来事を思い出す。
〜五等世(異世界)〜
(な、なんだ?何なんだ?)
と、その視線の先には・・・変質者がいた。
その格好はとても奇っ怪で、上はタンクトップ、下はジーパンという、ほぼ休日のお父さん(でさえもしないかもしれないが・・・)コーデである。
その圧倒的インパクトに、目が離せずに凝視していたところ・・・絡まれた。
「何だお前、私のファンか?」
「ごめんなさい」
全力で立ち去ろうとした。が、直ぐに、そうできない事情ができてしまう。
「フッフッフ、何を隠そう、私こそが魔王だ!」
突如、自分が魔王だと言い始めた。
部下もなし、魔力も思ったより全然なし、威厳もその他諸々なし。
「おい貴様、名前は何だね?」
「・・・」
「そうか、答えたくないなら・・・」
(えっと、僕はこいつを倒せばいいのか?)
地獄の特訓の直後に見ると、この自称魔王は、最早動物か何かのように思えてきた。
しかし、無視し続けると、いつのまにか戦いを挑まれていた。
本当は戦いたくないが、仕事なので、また、ある意味では危険因子に間違いないので、取り敢えず、戦闘態勢を取る。
「私の超・魔王力を見せてやろう!」
「はぁ・・・」
そしてーー
結論から言おう。
圧勝した。
弱すぎて呆れるほどだった。
(なんだかなぁ~)
簡単すぎて、味気なさを感じていると、例の端末が光りだした。
そして、ステータスの時と同様、画面が表示された。
五等世クリア報酬
・各能力微アップ
・スキル:魔術強化Lv1
・スキル:反・魔王力Lv1 のどれか1つ
「ナニコレ? えっ、どれか1つくれるのかな?」
悲しみに暮れていた心が潤っていくのを感じる。
正直ワクワクした。
これぞ、究極の下げてから上げる戦法。
それと同時に、どれにするか悩みだした。
(やっぱスキルは欲しいよな。だって、入手方法分からんし)
そう、予備知識はまるでゼロ。
果たしてどちらがいいかなんて、さっぱり分からない。
では、どっちにするか。
(反・魔王力は、魅力的だけど、正直未知数だし、多分魔王にしか適用されないだろうし・・・その点魔術強化は常にバフをかけてくれる、はずだ)
しばらく悩んだあと、ようやく決心がついた。
「よし! 魔術強化を取ろう!」
しかし、決まったは良いが、また別の問題があった。
(どう取ればいいんだ?)
選択方法がわからない。
なので、取り敢えず画面を触ってみる。
「えいっ!」
ピロン!
”スキル:魔術強化Lv1を獲得しました”
どうやら無事獲得できたらしい。
すると、”帰還します”と画面に表示された。
その後、光に包まれ無事に帰還した。
〜転送の間〜
(死にたくはないけど・・・これもこれでやだな)
「どうだった? 初異世界は?」
「あ、えっと、凄い簡単でビックリしました」
リースは嬉しそうに微笑む。
メイサは普段通り、クールである。
「でもまぁ、大体仕事の内容はわかったでしょ」
「はい。異世界行って、ジーパン魔王を倒せばいいんですよね?」
「ジーパン?」
「あっ、何でもないです」
あまりのインパクトに、つい言ってしまった。
「では、これからユウ君に与える任務について説明する」
「・・・任務?」
「任務とは 探索を行う理由であり 探索者ひとりひとり違う任務が与えられています 身内同士であっても 絶対に口外しません」
メイサが補足する。
(今回のはガチっぽいな)
自然とこちらも真剣になる。
「それは、とある人物を探し出すことだ」
「とある人物?」
「それは、勇者、賢者そして聖女だ」
魔王が現れると、例外はなく、それと同時に魔王に抗う力を手にするものが誕生する。
それが、勇者・賢者・聖女と呼ばれる者たちだ。
一つの世界に一人ずつ誕生する。
そして、何事にも必ず”源”が存在する。
この任務の目的は、その力の源となる、”根源”の存在を探し出し、仲間にすることである。
「この任務は、はっきり言って難易度は最高クラスだ。受けてくれるかい?」
スケールが大きすぎて、少々頭が混乱する。
不安も勿論ある。
でもーー
「やります」
反射的に答えてしまった。
もしかしたら、心のどこかで、スリルを望んでいたのかもしれない。
そう思い、自嘲するようにフッと笑う。
するとリースは「良かった」と言って、笑う。
「じゃあ、あとはその端末に表示される指示に従って、困ったことがあったらいつでも言ってね」
そして、リースは何処かへ向かうべく、歩き出した。
「どこへ行くのですか」
「いや、なに、私も任務をや「盆栽なら今度買ってください」」
リースは、「なぜそれを・・・!」と戦慄している。
一方のメイサは、いつのも如く無表情であるが・・・なんとも形容し難い”恐怖”のようなものを瞳の奥に感じたのは、きっと私だけではないだろう。
そしてまた始まった、お説教タイムが。
特訓期間中も、リースは何度もお説教をされていたらしい。
メイサは常時無表情だが、その圧倒的な語彙力と、正確無比な指摘&正論で、致命傷を与え続けてくる、らしい。
リースは、絶望している。
死んだ魚の方が、まだ生気を感じる・・・。
その後、(かろうじて)一命をとりとめたリースは部屋から出ていった。
「ではユウ様 私もこれで 御用ならばいつでも」
続いてメイサも出ていった。
(行っちゃった。てか端末の指示に従えって、どういう事だ?)
一人ぽつんと取り残され、どうすればいいのかと考えていると、画面が表示された。
”任務:三等世「アル」を救え”
(三!?さっきのが五だったから、難易度が一気に上がりそうだな・・・)
でも、それよりも、好奇心を抑えることはできない。
「よし、行こう!」
いざ、再び異世界へーー
思い切って、ジーパン魔王に話しかけてみた。
「あの・・・」
「なんだ?私のファンよ!」
熱量が凄い・・・
「えっと、どうしてそんな格好なんですか?」
「ふむ、それはだな・・・私が噛ませ犬だからだ!」
「・・・!」
「私は所詮、作者の都合のいい玩具なのだよ!」
「あっ・・・」
(誰だって、苦労してんだな・・・。)