一章ー44 超神的
思いがけず、ゆうから一撃をもらったクロノは、ようやく初めて本気で嫌そうな、そんな気色をみせた。
「・・・ゆう、ちゃん?」
「・・・何したの?それ・・・能力?固有の?」
「っとまぁ・・・普通に。」
戦いの最中にもかかわらず、ゆうは相手の質問に対して答える。(到底答えには程遠いが。)
クラスホワイト・モーメントヒール
「< 白魔術・瞬間回復 >」
その後少々、クロノはゆうとやり取りをしつつ、だがしっかりと傷を癒やす。
高度な術式のためその効果は凄まじく、瞬間的に出血が止まり、次いで切り口が塞がった。
しかし服に付着した自身の血液は依然残ったまま、クロノはそれをぼやっと見つめる。
「まさか、あんなんをくらうなんて・・・能力の誤作動か?別の条件があるとか・・・いや、抜け道があった・・・それか、低速には対応しない?いや、これはない。だったらなんで・・・?まさか、遅いように見えて実は超高速だったとか、か?いや・・・」
そして、敵三人を前に、しかしそれを気にする様子もなく熟考タイムに入る。
ゆうはそんな彼の姿を見て、「なんて集中力だっ!」といった感想をいだき、その場にただ直立している。
だが、マギナは違った。
折角の好機、これを逃すという選択肢はなかった。
先程の屈辱を果たすべく、そして奴を倒すべく、魔力を纏い、いざ、クロノの元へと駆け行く。
先程と負けず劣らずのスピードで、どんどんクロノへと迫って行き、
「< 魔技・剛柔脚 >」
顔面めがけて蹴り一閃、のハズだったが・・・。
クロノは一切の視線を彼女に送ることなく、ただ一言。
ペリオタクト
「< 速度制限 >」
すると、やはりマギナは一瞬動きが完全に停止し、その後後ろへと、低速ではあるが、引っ張られる。
残念ながら、マギナの奇襲は失敗であるが、クロノはやや嬉しそうな顔をする。
「能力は正常らしい。もしかして、さっきのはバグとか誤差の範囲の何かか?」
と思うのも束の間、すぐ後ろには既にゆうが、さっきとおおよそ同じ体勢で、剣を振り上げている。
ペリオタクト
「って早いな!・・・遅いけど。< 速度制限 >」
クロノは焦ることなく能力を発動、そしてゆうの剣は、やはり一瞬だけ静止する、が、しかしーー。
「止まらないっ!」
しかし残念ながら、それが止まってくれることはなく、だが薄々気付いていたため紙一重で交わすことに成功した。
だがゆうもそれで終わり、というわけではなく、攻撃の手を緩めず、そしてマギナも復活し、二人の強者がクロノを襲う。
「右から新入りっ!左からぁ〜は、魔術のお方。」
二人の息つく暇もないような、高火力な攻撃が続き、だが何とか何とか交わし続ける。
(これは判別が肝だな。魔術の方が来たら能力使って、新入りが来たら逃げる・・・よしっ!)
ペリオタクト
「うおっ、新入り!次は魔術か< 速度制限 >!お次はやっぱり新入り来て・・・っと復活速いな。
ペリオタクト
< 速度制限 >新入り新入り魔術!新入りーー」
二人が猛攻を続けるも、なかなかヒットせず、何も生まない時間がただただ流れていくーー。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
すると、ようやくクロノの息が上がる。
「流石に・・・二人相手は・・・キツイ。無限に続くリズムゲーかなんかやらされてる感じだわ・・・。ちょっ、一回タンマ。」
このように、相手は一時中断を求めるが、しかし二人は止まらない。
また彼へと駆けて行く、が、
「二人共、一旦やめましょう。」
クルースの一言で、二人は静止する。
「どうしたの?クルース?」
「わざわざ死ぬ可能性を上げないでください。」
「でも・・・」
「まったく・・・しっかり自分の体をよく見てみなさい。」
やや反抗するマギナの体を指差す。
「・・・えっ、何?怖!」
マギナはクルースに体を指差され、反射で両腕で自分の、主に胸部をガッと隠す。
「違います。誤解です。なんで戦闘中にセクハラしないといけないんですか・・・。」
「ホントだよ!」
「だからそうするはずないって言ってるんですよ。そうじゃなくて、自分の体をよく見てください。」
「体?」
マギナは仕方無しに、足元の方へと視線を移す。
すると、そこには深くはないが、確かに切り傷のようなものがいくつか見えた。
「これは・・・!」
「相手のあの能力は、恐らくあの鎌とセットなのでしょう。通常スキルにしては、破格の性能ですからね。確かに先程は、鎌を構えずに能力を行使していました。なので一瞬そうではないと思いましたが、貴女の切り傷を見て、ようやく分かりました。あれは鎌とセットの能力ですね。というか鎌とあのスキル、二つで一つの能力とでもいいましょうか。そして、能力を使用前か使用後か、そのどちらかの、ほんの僅かな間で顕現させ、防御と同時に攻撃もしていたのでしょう。」
「・・・凄!考察凄!」
マギナは、クルースが早口だったのもあり、あんまり理解できなかったが、取り敢えず同調だけしておく。
そして、喋り終えて満足したクルースは、話し相手をチェンジする。
「・・・っと、最後に聞きますが、あなたが二人を?」
「だから違うって。」
「まだそんなことをーー」
「いいから最後まで人の話聞けって。」
なんか、軽く逆ギレされた。
そして、つらつらと何か喋りだした。
「まず、俺は異世界から来た。んで、ここらをずっと今までブラブラしてたんだが、昨日くらいに、変なのに干渉されてな、それで、一瞬意識も体も持ってかれたんだよ。んで、気付いたら今にも、というか既に攻撃されてたってわけ。」
それだけ喋り、再度黙る。
どうやらそこで終わりのようだ、が、マギナ達はあまり信用していないようだ。
「・・・では」
クルースが再度質問しようとした、ちょうどその時、思わぬ追加情報がもたらされる。
「神ってやつにな。」
「神ーー!」
これには全員が反応する。
(神・・・・・・確か情報でも、神にやられたと。しかし、神とは一体・・・。ですが、あのティタンが現れたのも、これの伏線だった・・・と考えられなくもない。だが、あまりにも壮大かつ不明瞭、まさに、超神的な話なので何とも・・・。いや待てよ!確かギルドが厳重保管している、最古の文献にはーー。それにギルドマスターもーー。)
クルースは、思考をどんどんと加速させ、結論の一歩手前までたどり着いた、その時ーー。
「まぁでも・・・お互いここで終わりってわけにもいかないよな・・・はぁ。じゃぁ、とりま決着つけさしてもらいましょうか。」
[雑談]休みがほしい・・・。
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[予告]次回の更新は、25日を予定しています。




