一章ー41 阿吽の呼吸と、、
アスレフト・グレイ
「< 灰魔術・鏡加速 >」
灰色の、何か小さいものがマギナの 打ち出された。
それは速攻で相手の肩を貫いた。
相手は思わず患部を抑えるが、なかなか失血が収まらない。
次に、それは少しばかり加速して、背後の木の幹にヒット、そこで反射して再度、今度は足を撃ち抜いた。
そしてまたそれは地面で反射し、再度加速して、敵へと向かってゆく。
といった具合に、この工程が超高速でおよそ100回繰り返された。
それが終わる頃には、周囲の地面やら木やらは、まるで月にあるクレーターのような、そういった小さな歪が大量にできてしまっていた。
「これなら・・・」
クルースも、初見であり何が何だか分からない、といった、最早凄過ぎてため息さえ漏らしているが、致命傷は避けられないだろうと、延いては、自分たちの優勢は確実であると感じている。
しかしマギナは、あまり満足がいっていないのか、少々唸っている。
「さっきから何なんですか?情緒不安定何ですか?さっきのアイツと言い、今のあなたと言い・・・大丈夫ですか?」
クルースはこのように、心配に聞こえなくもないセリフを発すが、残念ながら無視されてしまう。
そしてマギナはまだ唸り続けている。
「う〜ん・・・もしかして、効いてない?」
何を根拠にそう発言しているのかは分からないが、クルースはこれに関してはやや懐疑的な目で見る。
「そんなまさか」クルースがそう思った矢先のこと、
イクス・ドレプ
「『 支配神鎌 』」
〜ギルド本部・マスタールーム〜
マギナらが戦闘を開始してまもなく、同じくテレスも動き出した。
そして現在は、ギルド本部の、その中でも格別格調高い”マスタールーム”に来ている。
そこは、まるで議員やそういった人物の、よく見るような部屋になっており、しかし一度左側へと視線を移せば、特徴的な大きな窓を見ることができる。
「ーー報告は以上です。如何なさいますか・・・ギルドマスター。」
テレスはこのように、いつもよりもやや丁寧に発言する。
だが、返事はなかなか帰ってこない。
”ギルドマスター”と、そう呼ばれた男は今どういった心情なのだろうか、折角の大窓に暗幕がかけられているため、闇が上手いこと彼の顔を隠し、それを推察することは難しい。
すると男は、小声でテレスに語りかける。
「いえ・・・ここはSランク冒険者がランク冒険者が一丸となって、ことに当たるべきです。」
しかし男は一度だけ首を振る。
そしてまた、何か言葉を発する。
それを受けて、
「・・・分かりました。では、彼に期待することにしましょう。」
〜XX(座標不明)〜
「危なかった・・・本当に・・・。」
そこには、服を少々血で汚しているものの、だが健として立っている、少年の姿があった。
「本当に、これないと死んでたわ。本当に。」
「あれは危険です!」
クルースがこのように警告した矢先、その警告通りに、事は動いた。
クラスホワイト・フィジカルブースト
「< 白魔術・身体強化 >」
先手必勝と言わんばかりに、マギナの背後に瞬時に移動し、振り向きざまに鎌を一振り。
その切っ先は、迷うことなくマギナの首へと向かっていった、が、ギリギリ、間一髪のところで魔術の構築が間に合い、後ろにのけぞり回避。
さらに態勢がキツイ中、倒れざまのカウンター。
クラスレッド・ケブラ
「< 赤魔術・雷落 >」
術式の構築は完璧だったが、しかしそれは発動せず、その隙をつかれ、左に一撃をくらう。
クルースがすかさず射撃、命中することこそなかったが、結果としてマギナを助けることに成功。
相手は大きく跳躍し、またマギナらとの間隔が広がる。
その隙にマギナは、< 白魔術・治癒 >で回復、みうみるうちに止血され、もうすっかり全快した。
「術式の構築が完了する前に、破壊された・・・。その後の攻撃も、身体強化してなかったら腕が吹き飛んでた・・・。う〜ん、なかなかやるな〜。」
「術式の破壊ですか?」
マギナは瞬時に相手の攻撃を見極め、それを共有する。
「迷ってる暇はないよ、さぁ!」
そうして二人は縦一列になって、今度はこちらから、少年へと向かって行く。
ブースト
「(詠唱破棄)< 身体強化+ >」
するとマギナがここで、詠唱破棄の身体強化を発動させる。
踏み込む際の、地面をえぐるような音が周囲に木霊し、そして相手に突っ込んでゆく。
クラスレッド・アネス
「< 赤魔術・荒風 >」
突風、相手と自分との間に発生させた風は、少年を空高く舞い上げたがしかし、マギナの体を浮かせることはなかった。
なんとか体制を立て直そうとするその少年の目に映ったのはーー準備万端にバズーカを担ぐ、クルースの姿だ。
「これはまずっーー」
バレットシステム シフト・アクセラレーション
「< 弾道制御 <(連続詠唱)> 命令:加速 >」
ジャストなタイミングで即撃速射、驚くほどの阿吽の呼吸で、相手に些細な隙さえ与えず、そして恐らく本人にとっても最高クラスの速度での砲撃。
流石の相手も、セリフすら完走できず、焦りの表情が窺える。
だがそれでも、
「危なかったー。」
黒い煙を身に纏わせながら、と言うよりも、煙に纏わり付かれているだけだが、墜落したが、何故だかピンピンとしている。
そして極めつけは最後のセリフ棒読み、、これには流石の二人もちょっと思うところがあったようでーー。
「ほんっっっっっとに全然効かないね。ちょっとイライラしてきたよ〜。」
語尾等々は変わっていないが、確かに微かなフラストレーションが感じられる。
「あぁもうっ!・・・しょーがない!私もとっておきの”あれ”、使っちゃうか!」
「・・・分かりました。」
マギナはなにか考えがあるようで、一人盛り上がっているが、クルースはやはりテンションが低い。
そして最後に「やり過ぎは勘弁してくださいね・・・。」と小声で呟いた。
「あのー!もーいいですかー?」
戦いの最中、あろうことか一人話に置いてかれてしまった少年、サトル・クロノ(自称)、が棒読みで話し掛ける。
それに反応して二人はそちらへと視線を向ける、と、
「って、良くても悪くても・・・不意打ちするからどっちでもいいんですけど。」
そして少年は、その鎌を後ろに思いっきり引いて、勢いをつけて
軌道は先程とまるで同じコースだが、
しかし、マギナはそれが首に届く寸前に、手でそれに触れる。
「そんなことをしたら・・・」
クロノはかなり驚いているも、やはりその手を離さない。
「まぁ、強い方が先に片付いてラッキーってことで。」
クロノはこのように、勝ちを確信そしてフラグを立てていく。
すると案の定、
「嘘だろっ!!」
[雑談]来週末まで忙しいので、誤字脱字増えてるかも・・・。
[ブクマ&評価しましょう!!]う。
[予告]次回の更新は、16日を予定しています。




