一章ー33 特別指定モンスター
「あれは・・・頭・・・か?」
峡谷から突如として姿を表した、謎の巨大な何か。
到底何であるかを理解することはできない。
「あれは・・・生物?魔物?・・・それとも人間?」
徐々に姿をあらわにしたそれは、恐らく人間で言うところの、後頭部及び首の裏の部位であろう。
そしてその見えている部分だけで既に、以前戦ったフルメタルベアのそれとは比較にならないほど大きい。
「いや、流石に・・・あれは・・・。」
ゆうは戦慄し、呆然とする。
「・・・あれは恐らく、ギルド本部特別指定モンスター。」
「本部・・・指定・・・?」
「神代の時代、起源の三柱たる神に叛逆し、地底に封印された、神ならざる神・・・その名もティタン。」
「ーー!」
「・・・フルメタルベア、倒したそうですね。あれは言わば、奴らの家畜のようなものです。」
(ティタンってことは、巨人ってことだよな?・・・ていうかあの硬そうな熊が家畜?・・・・・・あんなの食べて美味しいのか?)
間が抜けた感想、そう思うかもしれないが、実際あのとてつもなく硬い体を傷つけることができるのは、そもそもAとランク冒険者でも、ほんの上澄みしかできない。
それを食料扱いするのだから、大きさからも想像はつくと思うが、恐ろしいほどの力を秘めているということが分かる。
「はぁ・・・。」
クルースは溜息をつく。
そして、ゆうの方を見ずに、ただ前を向きながら問い掛ける。
「どうします?逃げますか?それとも・・・」
「勿論、戦います!」
ゆうは躊躇うことなく、まっすぐ言葉を返した。
クルースはそんなゆうを見て、フッと笑った。
「・・・そうですね・・・・・・やりましょうか。」
二人はこの瞬間、初めて息があった。
そして二人、異形のそのとてつもなく巨大な体を見る。
「ではまず、状況を整理します。本来ならそんな悠長にやってはいられませんが、今回は色々と特別です。」
流石に戦い慣れしているだけあって、切り替えが早く、統制力もあるようだ。
「まず、あれは化け物です。」
「化け物って・・・簡潔ですね。」
「そうですね・・・ですが事実なので。あれについては、我々S級冒険者も文献等を読んでいたため少し認知している程度、もっと言えば架空の存在だと認識していました。」
(架空の・・・ね。・・・てか文献書いたやつ凄いな!)
「次に、あいつの能力等についてです。現在見えているのは頭部など、ほんの一部に過ぎません。ですがそれでもかなりの大きさがあります。またあれは、理由は不明ですが、突然現れ、そしてあの大峡谷を恐らく歩行しています。もし歩行しているのが事実なら、大峡谷の未知の深さよりも、あの化け物のほうが巨大であるということになります。すなわちそれは、大峡谷と同様、規格も含めて完全に計り知れないものへとなります。」
(あそこを歩いているって・・・本当にどんだけ大きいんだ?・・・でも、縦に対する横は小さいな・・・。)
ゆうはやはり、少々緊張感が欠けているのだろうか、気にするところが斜め上である。
「では、作戦を立てます。先程も説明したとおり、恐ろしいほどの巨体であり、単純な力比べなら勝負にもならないでは済まないほどの力量差があります。なので我々は遠くから、威力の高い魔術等で攻撃します。幸い、体の大半は大峡谷の中にあり、また急所と成り得る頭部は無防備なままに外に出ているのでそこを狙います。」
「つまり・・・あれに向かって全力の、最高火力の攻撃を繰り出せばいいってことですか?」
ゆうが作戦を纏める。
しかし、すぐに「違います。」と一蹴されてしまう。
「全力の最高火力では、全く足りません。・・・・・・”royal-hit”・・・」
「?」
「・・・着いてきてください。」
そう言い残し、クルースは大峡谷を歩行している、その得体のしれない巨体に背を向けて、突如走り出した。
ゆうもそれについて行く。
〜崖の上〜
少しした後、森や大峡谷、そしてやつを見渡すことのできる崖に到着した。
「結構距離離れてますね。」
「これくらいが丁度いいです。」
そしてクルースは、何やら準備を始めた。
「何しているんですか?」
「・・・・・・そこで、見ていてください。」
クルースは、今度はそれだけ言い残し、崖の先へと足を一歩、二歩と進める。
その後息を整え、そしてーー
「弾丸装填・・・魔力装填・・・確認」
突如一人で話し出したと思った矢先、見ると、またもいつの間にか、そして今度は超巨大な大砲が出現した。
「・・・!!いつの間に!」
驚くゆうなど気にも止めず、クルースは続ける。
次に、魔力を再度、その砲弾へと込めた。
バレットシステム
「行ってきなさい・・・< 弾道制御 >」
すると、その大砲から巨大な砲弾が、轟音とともに発射された。
それは物凄いスピードで、ものの数秒でティタンの目の前まで到達した。
「っ!速っ!」
ゆうも思わず感嘆の声が出てしまう。
それはその後も速度を落とすことなく進み、そのままティタンへと突っ込むかと思われた、が、そうではなかった。
シフト・シンメトリー
「< 命令:対称移動 >」
すると、クルースの声に呼応して、まるでゆうの炎の弾丸と同じように、超絶巨大なその砲弾は突如として軌道を変え、ティタンを軸として、対称的な座標へと瞬間的に移動した。
そしてーー
シフト・アクセラレーション
「< 命令:加速 >」
クルースは淡々と指示を出す。
砲弾は、クルースのその淡白さと対象的に、更に魔力出力を上昇させて、急速に加速した。
そして、エネルギー過多になったその砲弾は、一縷の躊躇いもなく、ティタンの背部を穿ちぬいた。
ティタンの恐ろしいうめき声が、一帯を駆け巡る。
「もう少し削れると思ったのですが・・・まだまだですね。」
「・・・凄すぎる・・・。」
ゆうは、大技を決め込んだ後でも尚クールであるクルースを見て、感動を覚えた。
[雑談]なんかこの前、一日だけめっちゃPV増えた・・・嬉しい。
作者はどうやら単純なようで、モチベが上がりました。
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何なら評価だけでもいいのでお願いします。
[予告]次回の更新は、23日を予定しています。




