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一章ー32 大峡谷

「どうかしましたか?」

「えっと・・・どうやらやり残したことがあったみたいです。」


 クルースに奇怪な目で見られてしまったが、今はそれどころではないので、ゆうは気にせず会話を続ける。


「そうですか・・・では私は、そこの木陰で休んでいますので、終わったら声をかけてください。」


 そう言って、クルースは静かに木陰へと向かった。

 ゆうはそれを目で追い、クルースが小陰で目を閉じたのを確認してから、いよいよそれに取り掛かる。


「さて・・・今回は、何をもらえるのかな。」


 ゆうは、わくわくしながら報酬を確認する。


 達成報酬(Lv60)

 ・黒魔術(上級)


「・・・・・・えっ、当たりじゃん・・・。」


 一瞬の沈黙の後、ゆうは満面の笑みを浮かべる。


「こんなの・・・当たりじゃん。一度は使ってみたかった!それが今この手に!!嬉しすぎ。」


 そしてゆうは、頭が中学生のそれへと退行し、興奮に身を任せて喜んだ。




 しばらくして、ようやく冷静になり、さっきまでの行動が恥ずかしくて死にたくなってきたので、木陰に居るクルースの元へと向かう。


「あの・・・終わりました。」

「そうですか・・・さて、帰宅しましょうか。」

「はい。ありがとうございました。」

「まぁ、今回の反省ですが、センスはありますね。なかなかいいものを見させていただきました。」


 突然、クルースに褒められた。

 ゆうは、不意打ちの褒め褒め&普段とのギャップにより、意識を失いそうになるも、なんとか堪えた。


(まさか・・・褒められるなんて。・・・てかクルースさんって、実はイケメンじゃん。異世界行ったら絶対モテるタイプのひとじゃん。*) *ここも異世界です


 ゆうは、密かに感動を覚えた。


「これで、心置きなく帰宅ができるというわけd・・・!」


 クルースは、帰宅モードから一転、周囲への警戒をし、ゆうを守るような動作を見せる。

 木々がざわめき、地面は揺れ、辺りは何とも言えない不気味さに包まれている。


 しばらくして、それは収まり、突然の静寂に包まれた。


「なんだ?」


 すると、地面の揺れと取って代わって、ズシリとした、重々しい音が、一定のリズムで聞こえてくる。


「これは・・・足音?」


 それは徐々に徐々に大きくなり、そしてまた、地面が揺れ始めた。


「まさか・・・」


 クルースは、なにか事情を知っているのだろうか、表情が曇る。

 突然、音が止まった。

 ゆうは、周囲を警戒しているが、何も変化はない。


「今のところは何も起きてないな・・・クルースさん?」


 クルースの様子がおかしい。

 彼はただただ、ぼんやりと遠くを眺めている。

 ゆうは不思議に思いつつも、周囲があまりにも静かだったため、声を発することを憚られた。

 そんな奇怪な雰囲気が漂う中、クルースは突如、何処かへと駆け出した。


「クルースさん!?」


 ゆうも慌ててその後をついて行く。




 〜ヴィサス大峡谷〜

 森を抜けると、突然景色が変わった。

 突如として視界がひらけ、そしてその一帯には木々はおろか、草の一本も生えておらず、ごくごく稀に見るような殺風景が広がっていた。


「凄いな・・・、なんというか、圧巻だ・・・。」


 ゆうの視線の先には、大きな、とても大きな峡谷が広がっていた。

 横幅は、それほど大きいわけではなく、どちらかといえばスリムなのだが、途中霧のようなものが発生しており、その全容を掴むことができない。

 そこでゆうは、近くにあった石に魔力を少々纏わせて、そこへ落としてみた。

 途中までは順調に進み、魔力もしっかり感知できていたが、一向に着地する気配がない。

 そして、あるタイミングを境に、それの反応は忽然となくなった。


(怖・・・。なんか不気味・・・。)


 ゆうは、なんとなく怖くなったので、急いでクルースの元へと向かった。


 先程の地点から少し歩いた先に、クルースはいた。

 彼もまた、峡谷へと視線を向けている。


「あの・・・」

「・・・ヴィサス大峡谷・・・。」

「?」

「ヴィサス大峡谷、神代の時代から存在したとされる、超自然的力の産物。謎が多く、呼び名も沢山ある。ーー迷宮、地獄の入口、奈落、そして冥府の門ーー」


 クルースは、ただ真剣な表情で、大峡谷を見つめながら、ぼんやりと語り始める。

 ゆうはその、厳かな雰囲気に呑み込まれ、そしてまた、その話に聞き入る。


「そしてまた、色々な伝説も存在する。例えば、遥か昔、大きな罪を犯した罪人がいた。この罪人は罰として、この峡谷へと突き落とされた。それから99日が過ぎ、この峡谷から突如、龍が這い上がってきた。」

「・・・」

「他にも、神代の時代、起源の神を裏切った、反逆した神を収監している・・・そしてそれは、強ち間違えではないかもしれません。」

「それはどういう・・・」


 クルースが何やら意味深な発言をしたので、ゆうがその意図を探ろうとした矢先、またも大きな地震が起きた。


「また地震だ。・・・結構揺れるな。震源地近いのか?」

「・・・」

「クルースさん?」


 ゆうが地震について考察を深めているなか、クルースはただ、ある一点を見つめている。

 ゆうは不思議に思って、同じようにそちらへと目をやる。


「・・・?何も無い。」


 視界には、特段変なものは映らなかった。

 しかし、徐々に何かが見えてきた。


「なんだ・・・・・・あれ・・・?」

[雑談]最近PVが少なすぎて、死にそう・・・。

[いちばん大事]ブクマ及び評価をお願いします。(切実)

       数字を作者にください・・・。

[予告]次回の更新は、21日を予定しています。

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