一章ー30 恋赤魔術
ドサリと、何かが地面に落ちてきた。
見ると、先程までとは違い、明らかに消耗しているクラヤミの姿があった。
「まだ生きてるよ・・・てかなんか、僕がいじめているみたいだな・・・。」
しかし、相手は今までとは打って変わって、どうやらそれなりにダメージを負ったようだ。
(やっぱり弱ってる。・・・けどなんで今回はダメージが入ったんだ?・・・・・・もしかして・・・・・・少し時間がほしいな。)
少し考えた末、ゆうは一つの案を実行する。
クラスレッド・ブラスト
「キミに、魔力を進呈しよう・・・< 赤魔術・疾雷 >」
ゆうが発音し終わると同時に、短く、低い音が響いた。
すると、クラヤミはまたも変色する。
今度は濃い黄色へと変わった。
心做しか少し元気になり、体の厚さも少しだけ、厚みが増した気がする。
(よし!元気になったみたいだな。そして、元気になったら次にすることは一つ・・・。)
すると相手は、雷属性の魔力を纏い始め、魔力を収束し始めた。
どうやら先程のゆうの真似をしているらしい。
収束していく魔力はみるみるうちに膨れ上がり、巨大な魔力塊へと変貌した。
クラヤミはまたも意味の分からない、声のようなものを発し、そしてそれをゆうへ放出した。
(なんで敵って、魔力をこう、大きくして飛ばしてくるんだろうか・・・。)
そんな事を考えながら、ゆうは全く避ける素振りを見せない。
そして次の瞬間、無防備なゆうに、正面から衝突した。
普通の人間なら、とっくに即死しているがーー
ピロン!
”< 電撃耐性 >が発動しました”
”称号:霹靂ノ変態の効果により、雷属性の魔力を< 帯電 >で纏うことが可能です”
ゆうは、ピンピンしている。
完全に被弾したものの、全くと言っていいほどダメージを受けていない。
「やっぱり・・・!相手の属性が変わるなら、自分が有利な属性に変えればいいんだ!」
称号:霹靂ノ変態にダメージを軽減する効果はない。
これはただ、受けた雷属性の魔力を力に変えるだけの能力である。
かなり破格な能力であるが、ネックは先程述べたとおり、ダメージはそのまま入るという点である。
しかしゆうの場合、< 電撃耐性 >は勿論、卓越した魔力保有量等々の、本人のかなりのハイスペックさにより、今回の場合は特に、被ダメージを完全に無効化してしまっている。
(しかしまさか、ダメージがはいらないなんて・・・ちょっとピリッとくるかと思って少し怖かったけど、全然心配いらなかったな。)
クラヤミは、困惑しながらも、他に考えがあるわけでもないので、ゆうに攻撃を打ち込み続ける。
「なんか・・・この前を思い出すな・・・。」
そうやって、クラヤミが苦労している中、ゆうはただボーッと攻撃を受け続けていた。
しばらくしてーー
「さてと・・・そろそろだな・・・。さぁ、無双の時間だ!< 魔力変換 >」
雰囲気を出すためか、少し勿体つけている。
しかし、そうするだけあって、やることはやっているようだ。
魔力変換によっていただいた魔力を全て、性質を少々変化させて、密かに構築していた術式へと流す。
クラスレッド・テセラ トリスト
「< 赤魔術・四融砲弾 >< 魔力相乗・三+>!!」
ゆうは、最高規模の術式を構築し、さらに普段の3.5乗倍もの魔力を消費した。
すると、体中の魔力が一気に抜け落ちていく。
(うっ・・・少しクラットするな・・・流石に魔力が無くなりそうだ・・・。)
少しよろけてしまうも、それ以上の興奮により必死に踏ん張る。
「ここは、慎重に行かないとな。・・・・・・出力正常・・・視界良好・・・対象、確認。・・・魔力、問題なし。・・・魔力経路確認、異常なし。・・・ーcompleteー」
ゆうは普段とは比較にいならないほど冷静に、そして慎重に術式を構築する。
その姿には何か鬼気迫るようなものがあり、クラヤミはその変化に、少し萎縮している。
時間は刻々と進み、魔術もだんだんと構築され、完成へと近づいていく。
そして、ゆうは不敵な笑みを浮かべる。
「喰らってみろよ・・・これが・・・・・・異世界無双だ!!
レッドスター・テセラ=ブロス
< 恋赤魔術・四宝灼雷波旋 >」
その瞬間、ゆうから恐ろしいほどの魔力が発せられた。
そのうちの一瞬、ほんの一瞬だけ、時間が、世界の流れがゆっくりになった。
そんな異質な時間を、クラヤミはどう感じただろうか。
その一瞬、燃え盛る炎が、空を割くような雷が、全てを呑み込んでしまうような水が、そして激しく吹き荒れる風が、クラヤミに襲いかかった。
そしてクラヤミは、その一瞬の時間の中に、取り残されたーー。
ゆうの眼の前には、もう何も無い。
[雑談]魔術の名前とかを考えるのって、結構大変・・・。
あと、後書きのレイアウト?を変えてみました。
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[予告]次回の更新は、17日を予定しています。




