一章ー28 クラヤミ
〜オークの森〜
クルースに連行されたゆうは、またも足腰を鍛えている。(長い道のりを歩いている。)
森の中を散策するのにはもうだいぶ慣れてきており、最早何も感じなくなった。
(空気は澄んでいて、雰囲気あるんだけど・・・なんか、少し剥げてるな、この森。)
どうやらあまり元気のない森のようだ。
「ここの名前って何ですか?ここあんまり特徴ないんですけど・・・。」
「ここはオークの森という名前だ。」
「オークの森?・・・なんか、嫌な名前ですね。」
「?なぜだ?」
「だって、オークですよ。」
「なるほど・・・では樫の森に改名すべきだと言いたいわけですか。」
(樫?・・・あっ、なるほど。オーク=樫ってことか!)
ゆうは、話が噛み合わないのは自分の知識不足だと理解し、ようやく納得した。
その後も二人は、ぎこちないながらも会話をし続けた。
「・・・なんだあれ?」
ゆうは前方に何かを発見した。
「あれはクラヤミです。」
「クラヤミ?知ってるんですか?」
「あれが今回のターゲットです。さぁ、行って来なさい。」
そしてクルースに背中を物理的に押された。
ゆうは状況が理解できず、振り返ってクルースと目を合わせる。
そして、必死に目で訴えかける。
(僕何にも知らないんですけど!!)
しかし、その思いは届かなかった。
「安心してください。あなたが死にそうになった時は、助けてあげます。」
「やっぱり・・・あっ!これ、もしかして・・・。」
(これ、多分昇格試験だ。そういえば、前にもこんなんあったわ。)
ゆうはようやく理解したようだ。
「まぁ、Sランク冒険者になるのが今の目標だし・・・やるか!」
いざ尋常にーー!
ゆうはまず、相手を観察する。
まずその様相は、まるでスライムのよう。
全体的に、とても粘り気のような何かを感じる。
しかも、体は全身が真っ黒である。
加えて、
(なんか、厚みがないな・・・。)
部分ごとに多少の違いはあれど、薄いところだと、厚さは地面と殆ど変わらない。
「まぁ、観察はこんなもんでいいだろう。攻撃してくる気配もないし・・・攻めるか。」
相手が攻撃しそうにないため、厄介な技を発動される前に吹き飛ばすことに決めた。
携えていた便利袋を取り出し、そして、封印していたあやつを取り出した。
「また出番だ、竜炎!っおっとと・・・流石に重いな。」
ゆうは、一瞬この両手剣に体が持ってかれそうになるも、なんとか踏ん張った。
「ふぅ・・・さて、一撃で決めようか。」
そしてゆうは、両手剣を構える。
以前とは違い、魔術による身体強化はしていないため、本来の重さがそのままゆうへと伝わっている。
「やっぱり、自然なままの方が、手に馴染むな。・・・通じ合ってる感じがする。」
そして、竜炎と意思疎通を図るかのようにグリップを強く握り、丁寧に丁寧に魔力を込める。
ブレード
「・・・行くよ。< 炎翔斬 >!」
ゆうは力強く振り抜き、その剣の纏う蒼白い炎が空を斬った。
その、山をも削る斬撃は、速度を増して翔んでゆく。
そしてゆうの狙い通り、クラヤミに完璧にヒットし、それと同時に轟音と砂煙が立ち込めた。
「ヤバっ・・・結構煙い・・・。」
ゆうは、自分で巻き起こした砂煙と格闘する。
山をも削るほどの威力のものを近場に着弾させれば、言うまでもなく甚大な被害が出る。
しばらくして、砂煙がはけたことと、森が更に剥げてしまったことで、視界がより良好になった。
そして正面を見ると、先程までクラヤミが存在していた場所にはとても巨大なクレータができていた。
「やっぱり凄いな、コイツ。ってかこのままじゃ、クレータ製造機に成ってしまう・・・。」
そう言って、竜炎を見つめる。
そして再度、クレーターに目をやる。
「・・・流石に倒せただろ。うん。」
あれをくらって生きていたら驚きだが、念の為生死を確認する。
「ん?まだ生きてるのか?」
ゆうの視線の先、クレーターの中には、恐らくクラヤミであろうものが蠢いている。
すると突如、動きが完全に停止した。
「これは、やった・・・のか?」
そういった矢先、それに顕著な変化が見られるようになった。
「いや、違う。・・・色が!」
なんと、体の色が変色し始めたのだ。
クラヤミの名に恥じないような黒から、まるで炎を彷彿とさせるような赤へと変化した。
ゆうは相手のその不気味さから、一旦退こうとした次の瞬間ーー
「ガッ・・・っ、・・・なんだ?」
肩を撃ち抜かれた。
それほど大きな傷ではなく、被害はほんの小さな穴が空いただけに留まった。
しかし、問題はそこではない。傷は既に< 自動治癒 >により癒えている。
今の問題は、ゆうが少しも反応できなかったことだ。
ゆうはおろか、< 見切り >も反応しなかった。
これは由々しき事態だ。
しかし、
「なるほど・・・体の一部を超高速で放出してるのか・・・。しかも、ご丁寧に炎属性まで付与して・・・。」
肩の被弾した部分を、炎により服が焼けてしまい、肌の見えてしまっている部分を気にするように考察する。
しっかりと冷静に分析し、自分の受けたものを”情報”として、戦いに活かそうとしている。
だがやはり、それほど悠長にはしていられないようだ。
「!なんかもぞもぞし始めたな・・・攻撃が来る!」
ゆうはいち早く攻撃の予兆を察知する。
そして、
クラスホワイト・ウォーターウォール
「< 白魔術・水強結界 >」
ようやっと、PVが四桁に・・・。
長かったような・・・もっと伸びてほしいような・・・。
第一章のクライマックスも着々と制作しているので、それでもうちょっと伸びるかな?なんて思ってます。
これからも、どうぞよろしくお願いします。




