一章ー24 マギナ
いつかのお詫びです。
ゆうは、異様な物体を見つめる。
(なんだあれ?風属性・・・、いや・・・)
本来風とは視認できない。
しかし、膨大な魔力と、織り交ぜられている火属性の魔力により、かなり鮮明にその姿を捉えることができる。
しかも、それは時々小さな爆発を起こしており、まるで超小型の太陽のようである。
ゆうも流石にこれはまずいと思い、なんとかこいつを収めてもらえないかと交渉する。
しかし、
「これをくらっても生きていたら、話を聞いてあげるわ。」
どうやら生きているうちは話を聞いてもらえないようだ。
フォームド メノス
「はぁ・・・途方に暮れていても仕方がない・・・。< 具象剣 >< 帯電 >!!」
ゆうは決心し、これを迎え撃つ準備を着々と進める。
しかし依然として、ゆうはあれを迎え打てるビジョンが思い浮かばない。
クラスホワイト・ブースト トリア
「これじゃ足りない・・・< 白魔術・性能上昇 >< 魔力相乗・三 >」
(何倍でも持ってけ!)
ホワイトスター・エスク
「< 清白魔術・性能増強+α >」
< 魔力相乗 >により通常の三乗倍の魔力を消費して、既存の白魔術を一時的に昇華させる。
そして、完成した魔術は、元の魔術を遥かに凌ぐ性能を誇る。
ゆうはそれを使用すると同時に、何とも不思議な感覚に包まれた。
(何だこれ・・・?)
見ると、剣は、蒼白く煌めく雷を帯びている。
他にも、感覚的な話なのだが、何となく今までとは異なる、卓越した力のようなものを感じる。
「・・・!!」
これに対し、少女は強く反応し、また動揺する。
「なるほど・・・中々の実力ですね。」
ゆうを称賛しつつも、やはり敵意は拭えない。
「ここで消えてしまうのは惜しいですね・・・・・・」
魔力塊は静かに放たれ、そしてゆうの元へと向かう。
だがゆうは、焦ることなく、進んでくるそれに歩み寄る。
「我、彼のものを断ち切らん。心ここにして、此処にあらず。迷いを断ち、欲望を捨て、己を制し、ただ剣を構える。・・・斯くして我は、魂を震わす・・・・・・」
僅かな沈黙・・・そして、
「”バースト”」
少女の言葉に反応し、それは膨張し始め、また急速にゆうへと近づく。
ゆうは未だに詠唱を完成させない。
「いいの?抗わなくて。」
そんな少女の言葉を聞いても尚微動だにしない。
しかし、それが間合いに入った瞬間にその、変貌を果たした剣を振り上げる。
地面にヒビが入る程強く踏み込み、そして
「< 剣技・絶魂 >」
おおよそ目で追うことが不可能なほど疾く、それを振りおろした。
すると一瞬で魔力が霧散し、それは虚空へと還った。
「まさか・・・剣であれを消滅させるなんて・・・。」
「なんとか・・・できた・・・。」
しかしそう安堵もしていられない。
「厄介ね!もう手加減しないわ!」
どうやら敵を怒らせてしまったようだ。
(・・・手加減してあれ?まじ?)
ゆうは絶望感に浸る。
ここまで来ると、もう笑うよりほかない。
そんなゆうをよそに、少女は魔力を収束し始める。
ゆうは一瞬で、自分がかなりピンチであると感じた。
少女の雰囲気が突如変質した。
ゆうも、本能的に危険を感じ、少しずつ距離を取る。
いよいよ収拾がつかなくなった、そのとき
「マギナお姉ちゃん、何してるの?その人が助けてくれたんだよ!里長だって認めてくれたんだよ!」
「えっ・・・」
少女は途端にもとに戻った。
「そうなの?」
そしてこちらに振ってくるので、ゆうは高速で頷いた。
「そうなんだ・・・ごめんなさいね。」
どうやら信じてもらえたらしく、敵意が消えた。
「なんか・・・死ぬとこだった・・・。」
ゆうはその場に倒れ込む。
「強すぎる・・・。」
「まぁお姉ちゃんはSランク冒険者だからね!」
「・・・えっ?す?」
「エッヘン!!」
そんなわけで、ユナのお陰で、意外にもあっけなく問題は解決した。
「・・・というわけで、ゆうさんはいい人ですよ。」
奇襲を仕掛けてきたSランク冒険者のエルフ、マギナに対して、ユナが諸々の説明をしている。
「いや〜そうだったのか〜!早く教えてよ〜!」
「そんなこと言われも・・・」
マギナは完全にゆうを信頼し、それなりに仲良くなった。
「しかし良かった〜。もしユナを誑かすような奴だったら・・・」
明るい調子でそんな事を言っているが、被害者からのゆうからしたら、とても恐ろしい。
(本当に、変な人だな・・・てか最後なんて言おうとしたの?怖い・・・。)
「そういえば、君の名前に聞き覚えがあるな。・・・・・・・確かこの前Sに上がった子がそんなようなことを話していたような?」
「もしかして、セツさんですか?」
「そうそうその子ね!」
その後、セツの話で盛り上がった。
ただ、大した会話はしておらず、要約するとセツは若いのにスゴイやつだ!ということと、戦闘中の彼女は、何とも言い尽くせない風格をまとっている、ということだけだ。
ゆうは、セツの話が久しぶりにでき、また元気そうだということを知り、安心した。
そして今度会いたいな、とも思った。
「しかし、キミも大概強いよ!Sになろうぜ〜!」
なんと、またも軽いノリでSになれと言われた。
(なんでみんなはこうも軽いノリで言ってくるんだ・・・。)
その後もしつこく(?)その話をされたので、ゆうは仕方なく、秘技・話題ずらしを使った。
「そういえば、」
ノリノリで話していた二人がこちらを向く。
どうやらゆうは、うまく話の流れを絶ち、自分のテリトリーに入れることに成功したようだ。
「なんで最初からマギナさんに依頼をしなかったんですか?そっちのほうが確実で早いと思うのですが・・・。」
「あーそれね!」
ここはマギナさんが懇切丁寧に教えてくれた。
「Sランクになるとね、本部から個別に依頼が来るの。で、そいつらは結構重要だから、詳細は誰にも言えないのよ。その関係で、私に連絡を取って、依頼を受けてもらうようにするのにはかなり時間がかかるから、それだったら他のAランクとかにお願いしたほうがいいってこと。」
「・・・なるほど。」
どうやらSランクにもなると、かなりハードそうだ、と、それだけは分かった。
本日も、こちらの作品をお読みいただきありがとうございます。
今回は、いつかのお詫びということで、昨日に続きあげさせていただきました。
ですが、やはり私も人間なので、毎日投稿は結構過労死ラインギリギリで・・・なのでこれからは、基本隔日投稿にさせていただきます。すいません!
改めまして、ご了承お願い致します。




