一章ー23 誤解
いつの間にか、9月になっていた・・・。
〜エルフの里〜
「ここはパラダイスだ!」ゆうはそう思った。
彼は現在、エルフの里に来ている。
なぜならばゆうは、脅威であった竜をいとも容易く撃退したからである。
あの後ゆうは里へと案内された。
当初は警戒こそされていたものの、イケメンの性なのだろうか・・・今やすっかりと打ち解けて、言うなれば両手に華状態である。
エルフは殆どが女性であり、かなり男性に興味があるようだ。
一方のゆうは、あまりそういった免疫がなく、ほとんどその場のノリで話している。
「ゆう様、楽しんでいただけていますか?」
ユナが問いかける。
「うん!凄くスゴイよ!」
ゆうは、ほとんど考えずに返事をする。
「良かったです。」
するとゆうは、「勇者様・・・」と話しかけられた。
同時に、騒がしかったはずの空間が静まり、一人の、かなり歳をとったエルフがゆっくりとゆうへと近づく。
誰かが、「里長」と静かに呟いた。
「勇者様・・・またも我らをお守りくださり、誠にありがとうございました・・・。」
「いやっ、感謝されるようなことなんて・・・」
「いえいえ・・・。」
エルフとは、かなりの長寿らしいのだが、この里長は、他のエルフと比べて、圧倒的にお年を召しており、かなり長生きしているようだ。
(しかし、またもって・・・僕一回しか守ってないけど・・・。もしかして最初の竜も脅威だったのか?・・・そういえば!前にガイさんの話に出てきた勇者と間違えているのか?)
少々混乱しつつも、自分の中で解を見つけ、一人で納得した。
「・・・」
突如、周囲のエルフたちがザワつく。
見ると、里長の目には涙が浮かべられている。
「・・・すみません・・・。では、勇者様・・・引き続きお楽しみください・・・。それからノアとも仲良くしてあげてください・・・。」
里長は涙を浮かべつつも、そう一言ゆうへ伝えて、また何処かへと行ってしまった。
「里長が出てくるなんて・・・」
周りのエルフたちは未だに沈黙している。
すると、一人のエルフがその沈黙を破った。
「え〜じゃぁゆうさまは、ノアとけっこんするの〜?」
それをトリガーとして、再度場が沸き立つ。
「ナッ・・・そんなわけ・・・。」
ノアはそれを速攻で否定する、が
「あれ〜ノア、顔赤いよ。」
周りが煽り立てる。
それを見てゆうは、「これが女子ののりってやつか・・・」と思い、ぼーっとしている。
(でもなんか、いいな。仲良さそうで・・・。)
そんなことを考えるゆうと、ノアは一瞬目があった。
しかしノアは、すぐに視線をそらす。
それを見て更に周りが煽る。
それでも何となく、ノアは楽しそうに見える。
そんなほっこりと?した時間が流れていた。
なのでゆうも、少々、いや、かなり気が緩んでいた。
しばらくして、いよいよこのお祭り騒ぎも終わりだという時分に、それは起きた。
幸せを噛み締め、リラックスしているゆうへと、炎の矢が高速で接近した。
ゆうは、一瞬反応が遅れるが、それでもしっかりと対応する。
クラスレッド・ウォータスラッシュ
「< 赤魔術・水斬 >」
迫りくる炎へ向けて、高速で水の斬撃をぶつけ、相殺する。
ゆうは最早、炎属性の攻撃に対しては十二分に経験があり、瞬時に対応ができる。
「なんだ!?」
ゆうは振り返る。
すると、見知らぬエルフがそこには居た。
「あなたがユナを誑かした人間ね!容赦はしないわ!」
「えっ?どういうこと?」
クラスレッド・アネス
「< 赤魔術・荒風 >」
問答無用で攻撃を仕掛けられた。
そして、少女の魔術によりまるで台風のような、強い風が発生した。
ゆうは思わず目を瞑り、顔を守るように構える。
「っ・・・どこいった?」
クラスレッド・フォティア
「< 赤魔術・風火崩弾 >」
クラスホワイト・プレグマ
「後ろかっ!!< 白魔術・雷格子 >」
ゆうは咄嗟に魔術を発動した。
魔力を格子状に出力、そこに雷属性の魔力を流し込んだ。
しかし相手の魔術は発動しない。
「なん・・・っ・・いつの間に!」
少女はゆうの意識のそれた一瞬のすきを突いて、高速で接近する。
そして携えていた短剣で攻撃を仕掛ける。
ゆうはなんとか右腕で攻撃を受け、胴体への攻撃を防いだ。
(危なっ!)
間一髪で避けたが、右腕からは血が滴っている。
少女はその後速やかにゆうと距離を取る。
(なんて強さだ・・・っ、後ろに!)
少女の撤退と同時に、膨大な魔力の気配が。
「まじかよっ!」
辺りには、強い風が再び吹き始めた。
そしてゆうの背後には、巨大な魔力塊が控えていた。
「うん、ヤバイ。」




