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一章ー19 Aランク依頼〜その2〜

〜宿〜

 大きな街なので、宿は沢山あったが、その良し悪しはサッパリ分からないのでギルドから割りと近いところを選んだ。


 勘で選んだようなものなのだが、入ってみるとかなりキレイで雰囲気も良く、落ち着く感じであったので、ゆうもすぐにこの場所を気に入った。


「いらっしゃい!」


 受付で出迎えてくれたのは、所謂近所のおばちゃんみたいな人物だった。


(絶対二、三人は見たことあるタイプの人だ。なんか謎に安心するな・・・。)


 どこにでもいそうな、それでいて優しそうな人なので、つい安心感を覚えた。


「あっ、こんにちは。」

「こんにちは。身分証かなんか、持ってるかい?」

「あっ、ここでも使うんですね。」

「冒険者さんとかには、割引したりしてるから。まぁ、必須ではないけど。」


 ゆうは成る程と頷き、そしてギルドのライセンスを見せる。


「そっ、それは・・・!」



 

 現在ゆうは、部屋でくつろいでいる。

 ゴールドライセンスを見せた後、かなり驚いた表情で見つめられ、しばらくして、この宿で一番いい部屋というものを用意してくれた。因みに割引すると言われたが、特に金を使う予定はないからと言って断った。

 その後も色々とサービスをすると言われ、神であるかのように崇められている。

 なんでも、「若いのにスゴイわね〜」だそうだ。


「しかし、このライセンスって凄く便利だな!」


 そんなことをしみじみと感じていると、ゆうはふと、前のギルドでの日々を思い出した。

 日数的にはそれほど長くいたわけではないのだが、毎日が濃密だったため、ゆうの中ではもう一年くらいはあそこで過ごしていたと思っている。


「みんな元気かな・・・。セツさんに会いたいな・・・。ミテラさん、元気にしてるかな・・・。ミテラさ・・・ん?」


 ここで、彼は自分の大失態に気付く。


「あっ!そういえば、お別れの挨拶してない!」


 セツはもう既に本部へと移動していたため、挨拶することは叶わなかったが、ミテラさんはそういった事情があるわけでもない。

 もっといえば、宿の部屋の引き払いなど、かなり大事なこともすっぽかしてきたのである。


(これはマズイな・・・。)


 あれこれ悩んだ結果、いつかの自分に任せることにして、その日は早めに就寝した。



〜ギルド〜

 翌朝、ゆうは割と早く起きてギルドに来ていた。

 悪い夢でも見たのだろうか、少々眠そうに歩いている。


「おはようございます。」


 テレスは今日も明るく、元気に挨拶をする。


「あっ、おはようございます・・・。」

「どうかしましたか?あまり眠れませんでしたか?」

「まぁ、そんなとこです。」


 そんな他愛もない会話をした後、いよいよ依頼の受注へと移る。


「では、これで受注完了です。」


 テレスは流石の仕事さばきで、ものの数分で受注が完了した。

 ゆうはいざ、依頼へと思った矢先、あることを思い出す。


(そういえば・・・山削っちゃったの大丈夫だったかな?この前テレスさんが上に報告すると言っていたけど・・・)


 そう思いつつテレスを見つめる。

 

(うん、大丈夫そうだ。)


 これと言ってテレスに変化はないので、恐らく何もなかったと思うことにした。


「説明は以上です・・・って、聞いてました?」


 テレスがゆうを怪訝な顔で見つめる。


「・・・大丈夫です。」

「何ですか?今の間は?・・・まぁ、無事に帰ってきてくれればいいですけど・・・。」


 そんなこんなで、ゆうはギルドを出た。




〜東の洞窟〜

 ゆうは現在、洞窟に来ている。

 

(なんかちょっと暗いな・・・。)


 洞窟は地下にあるため、日差しは全く入ってこない。

 辛うじて、長い年月をかけて作り上げられたであろう鉱石のようなものが、ほのかに光っている。


 さて、依頼内容は、エレキスネークなる魔物の討伐だ。

 特徴は、名前から分かる通り、雷属性の魔術を操り、例えるならば、チョウチンアンコウのような手口で餌をおびき寄せているらしい。

 説明だけでは何故Aランクなのか分からないかもしれないが、魔術を操る魔物はかなりレアで、そういった魔物は大体の場合、ある程度の知能を備えている可能性が高く、個体個体で危険性が変わってくるため、簡単に言うと、Aランク冒険者に任せておけば、無駄な犠牲がでなくて済むということだ。 


 というような説明を全く聞いていなかったゆうは、どんどん洞窟の奥へと突き進む。

 しかも何やら嬉しそうな様子で。

 その理由は、”試してみたい事”を早く試してみたくてしょうがないからだ。


「なかなかヘビ居ないな・・・ていうかホントに暗いな!」


 奥地に向かうほど、どんどんと暗くなってきており、視界は最悪だ。

 普通の場合、魔力で感知しながら進んだり、魔術で視力を強化するなど、対策を講じるのだが、何か意図があってか、はたまた只々無知なだけなのか、ゆうはそれをしない。


 しばらくして、遠くにほのかに光る何かを発見した。


「おっ!光だ!」


 その光はよく考えれば不自然なことが多く、恐らくは罠であるが、ゆうは光を見つけるなり光の元へと駆け出した。

 どうやらただ無知なだけなようだ。

〜宿〜 

 今は夜中、皆が寝静まった頃、ゆうはうなされていた。


「ねぇゆうくん・・・なんで私から離れていったの・・・?毎日泊まりに来るって約束、忘れちゃったの?ねぇ・・・」

「ごめんなさい!ごめんなさい!・・・」

「ねぇ・・・ねぇ・・・」


 どうやら罪悪感からか、はたまた正夢か、ミテラの夢を見ているようだ。

 そしてこの悪夢は朝まで続き、ゆうは結局熟睡できず、早めに起床してしまった。

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