一章ー16 初・A級任務
「ということで、Aランクの依頼はこちらで受注できます。」
現在ゆうは、Aランクの依頼の受注方法など、色々な説明を聞いている。
因みにお偉方は、ゆうと少し話した後すぐに仕事に戻っていった。
なんでも、期待の新人と話をしてみたかったとのことだ。
そして今話しているのはゆう専任の受付嬢であり、名前はテレスと言う。
動作がとても美しく、また顔もかなり整っているのだが、それ以上に声がとても可愛らしく、ゆうも一瞬で好きになってしまった。
(声が特にいい!・・・けどなんか、周りの男から殺気を向けられているような・・・。)
それもそのはず、テレスはギルド三代美女の一人であり、みんなの憧れの的なのだ。
そんな人のが、突然よく分からん奴の専任になってしまったのだから、納得できないのも無理はない。
しかしゆうは、そんな野郎のことを考えるよりも、目の前にいる美しい人のことを考えようと思い、次第に彼らを気にしなくなっていった。
「説明は以上になります。ゆう様、改めてよろしくお願いします。」
「あっ・・・よろしくお願いします。」
いつの間にか説明が終わってしまった。
そして、本題の依頼の受注へと移る。
「現在受注可能な依頼は、こちらの3つになります。」
そう言って、何やら分厚い資料とともに、三枚の依頼書を渡された。
どうやらどれも討伐系統の依頼のようだ。
「Aランクの依頼は高難易度で、危険なものばかりです。なので無理をせず、自分にあったものを選んでくださいね。」
ゆうはなるほどと頷きながら、三枚の依頼書を眺める。
(どれにしようか・・・って、どれも同じ・・・ん?これいいかも!)
どうやらお気に召したものが見つかったようだ。
ゆうは速攻でその依頼書を手渡す。
「これにします!」
「はい。これは・・・アイアンベアの討伐ですね。アイアンベアは、全身が鋼鉄のように固く、生半可な攻撃ではダメージを与えられないと聞きます。危険な相手なので気をつけてください。」
(テレスさん、凄いな!名前を聞いただけである程度説明してくれるなんて・・・凄い!)
ゆうは、テレスの仕事っぷりに、密かに感動を覚えた。
「これで受注完了です。ではゆうさん、無理せず無事に帰ってきてくださいね!」
こうして受注は無事完了し、テレスさんに激励されて、ギルドを出た。
(あんな美女に応援されて・・・負ける要素ないだろ!)
こうしてゆうは、Aランクとして初めての仕事へと向かった。
〜鋼の森〜
「なんか、毎回歩いて移動するのめんどくさいな・・・。電車とか通ってればいいのに・・・。」
ゆうはそんな、夢もないようなことを言いながら、なんとか目的地と思われる場所へと到着した。
あたりを見回す。
方向感覚等については、まったく自信がないので、念のため本当にあっているか確認する。
(あっ、絶対ここであってるわ。間違いない。)
ゆうがそう考えるのには理由がある。
それは、この森らしきところのいたるところに、木の代わりに金属らしきものが地面から生えているからである。
「さて、確認も済んだし、早速アイアンベアってやつを探すか!」
そしてゆうは、いつかの薬草採取のときと同じように、魔力を用いて対象を探す。
するとすぐに何かが魔力レーダーに引っかかった。
「おっ、釣れた釣れた!」
ゆうは直ぐ様にそこへと向かう。
「なんか居る!」
森の中に、二体のかなり大きな熊が居るのを発見した。
ゆうは、それを確認すると、近くの茂みにこっそり隠れる。
「よし、やっとアレを試せる!」
そう言って、なにやら嬉しそうに取り出したのは、いつかの戦いで手に入れた両手剣、その名も”炎竜の両手剣”である。
ゆうは今まで機会に恵まれず、この凄そうな剣をずっと放置していたが、あるとき、「もしかして、宝の持ち腐れなのでは?」と思い、その頃から使いたくてウズウズしていたのだ。
そして先程、依頼を選ぶ際に、アイアンベアという名前を見つけ、この剣と相性抜群だと思ったのだ。
「やっとお前を使ってやれるな。」
ゆうはその両手剣を、左の腰辺りに据え、好機を伺っている。
本来ならその大きな鞘を背中に背負って戦いたかったのだが、抜刀の動作に慣れていないため、手で持つことにしたのだ。
しばらくして、熊が地面から生えている金属塊のようなものを食べだした。
(えっ、あれ食べるの?)
少々絵面に驚きつつも、そこは異世界だからと割り切った。
そして、周囲への警戒が散漫になったところで、ゆうが仕掛ける。
クラスホワイト・フィジカルブースト
「< 白魔法・身体強化 >」
ゆうは飛び出すと同時に魔術を行使し、自分にバフをかける。
これにより、両手剣を自在に扱うだけの力を補い、相当な重量をものともせずに、瞬時に手前にいた熊の懐に入り込んだ。
「いくぜ、竜炎!」
取り敢えず、その剣の名前を叫びながら抜刀した。
鞘から開放されると同時に、解き放たれた剣が恐ろしいほどの熱量を発し、周囲の空気が揺らいだ。
そしてゆうは、静かにそれを振り抜き、静かに納刀する。
ゆう自身、斬ったという感覚はなかったが、気付くと、熊の体は真っ二つになっていた。
「・・・凄いな。」
その抜群の斬れ味に、言葉を失う。
先程も述べたが、斬ったという感覚はなく、強いて言えば、溶かしたと表現するほうが正しいかもしれない。
(そういえば、もう一体はどこだ?)
一瞬斬れ味に気を取られたが、もう一体いたのを思い出し、素早くグリップに手をかける。
しかし、周囲にその姿はない。
「どこ行った?」
ふと足元を見ると、そこには既に息絶えた熊がいた。
「え・・・いつ斬った?」




