一章ー15 新天地
〜ギルド〜
朝早く、ゆうがやって来る少し前のこと、セツは既にギルドに来ていた。
当人はAランクのため、再び他のギルドへ移動するので、その前にお別れの挨拶をしに来たのだ。
「あの・・・」
と、一人の受付嬢に話しかける。すると・・・
「セツ様です!セツ様が降臨されました!・・・」
「なんだって?」「みんな集まれ!」「お前も早く来いよ!」
受付嬢が騒ぎ始めると同時に、ガイさんらが集まってきた。
「セツく、いや、セツ殿・・・Sランク昇格おめでとうございます!」
「「おめでとうございます!」」
「あ・・・ありがとうございます!」
こうしてセツは、Sランク昇格を沢山の人に祝ってもらい、幸せを胸に本部へと移動していった。
そしてそれからおよそ一時間後、ゆうも同じ目に合うことになる・・・。
〜ギルド(東部支部)〜
ゆうはあれから、それなりの距離を歩き、ギルドに到着した。
道中、何か起きないかと期待していたが・・・そう上手くは行かなかった。
しかしギルドに入るやいなや、ゆうの望み通り問題が発生した
ーー現在、絶賛ガラの悪い輩に絡まれ中である。
「何だお前?見ない顔だなぁ。」
「あっ、すいません。」
ゆうは、こういうタイプの人間が甚だしく苦手なので、目を合わせないよう下を向いて、取り敢えず謝っている。
「お前、冒険者に成りたいのか?」
「あっ、すいません。」
反射的にまた謝ってしまった。
すると、ガラの悪い男が笑い出した。
そして、「お前すぐに死ぬぜ。」と笑いながら
「まぁ安心しろ、俺が稽古つけてやるよ!」
そう言って、男は突然持っていたハンマーを振り上げて、ゆうに攻撃を仕掛けた。
周りがザワつく。しかし、誰も止めには入らない。
恐らくこの男に逆らったら自分も酷い目に合う、そう考えているのだろう。
そして、ハンマーは誰にも止められることもなく、勢いそのままにゆうの頭へと振り下ろされ・・・そして粉々に砕けた。
「あの・・・もういいですか?」
男は、色々と衝撃的なことを目の前にし、混乱しているのか、口をパクパクさせている。
そして被害者であるゆうは、これ以上この男と関わりたくなかったため、なんの報復もせずに、まるで何事もなかったかのように受付へと向かった。
「あ、依頼を受けたいんですけど・・・」
「・・・えっ、あっ、はい!えっと、まずは身分証を提示していただけますか?」
受付嬢も今の状況をうまく飲み込めず、というよりも、ハンマーが直撃したのになんともなさそうにしている少年を見て、驚いている。
「すいません・・・少し待ってください。」
そう言って、持っていた便利袋からライセンスを取り出す。
そして、それを袋から出すと同時に、黄金の光がほんのりとギルド内を照らした。
それを見て、周りがざわつく。
(あれ・・・なんか光ってる?)
受付嬢及びガラの悪い男は、それを見て顔色を変える。
一方のゆうは、なんで光っているのかを不思議に思っている。
「取り敢えず・・・< 諜報 >」
ここでこの前手に入れた便利スキルを発動する。
名称:ギルドライセンス(A級)
特徴:身分を証明できる!
複製・偽造不可の優れもの!
魔力に反応して、光る!鳴る!*
*ほのかに黄金に光ります。ただし、失明等の可能性がありますので、魔力の込めすぎに注意してください。
また、三分の一の確率で音声が出ます。音声:全12種
「・・・」
ゆうは絶句する。
(・・・なんで鑑定するもの全部変なものなんだ?てかなんでこんな機能つけたんだ?てかこのサイズでこの機能は凄いな!)
驚きを通り越して、最早技術の凄さに感動を覚えてしまった。
他にも色々と思うことがあるが、光る謎は解決できたので、取り敢えず良しとした。
そして、改めて受付嬢にライセンスを提出する。
「お願いしま・・・あれ?」
気づくと、先程まで眼の前にいたはずの受付嬢が、忽然と姿を消してしまった。
その代わりに、先程絡んできた輩が再び話しかけてきた。
ゆうは、また絡まれるのかと不安に思ったが、それは杞憂に終わった。
「あの・・・もしかして、ランクは・・・」
「?あっ、エーです・・・すいません。」
ゆうは何故か下手に出て話すが、それを聞いた相手は、いきなり土下座をしてきたのだ。
「す、すまなかった!あ、あなたがAランクだとは知らずに・・・本当に申し訳ございませんでした!」
どうやら、まさか自分よりも高ランクだとは思わず絡んできていたようだ。
「あっ、大丈夫です。ホント土下座とか全然しなくて良いで・・・。」
このように、ゆうが穏便に済まそうとすると、
「本当に強い人っていうのは、威張ったりしないのね〜。」
「ね〜!オトナな対応で、かっこいいし・・・てか普通にイケメン!」
「はぁ・・・はぁ・・・顔良くて・・・はぁ・・・死にそう・・・」
(ん?今なんか変なやつ居ったな。)
周りから、ゆうを称賛する声が聞こえてきた。
それを聞いて、男は改めて土下座をした。
「すいませんでした!」
「あの・・・いいですから・・・。」
(Aランクって・・・そんなにスゴイか?)
ゆうは、まだAランクの凄さについて分かっていないが、近年、S及びAランクの昇格試験の難易度が上昇したため、いまやSランクはランクは勿論だが、Aランクもかなり希少で、全員で20人に満たないのだ。
これは数年前の勇者の出現により影響され、その圧倒的な力と比べたとき、当時のAランク冒険者及び一部のSランク冒険者の実力は十分ではないと上層部が判断し、審査を厳しくしたのだ。
「すいませんでした!」
「ホントに大丈夫です!」
(なんか、異世界来てから人にすぐに謝られるようになったな・・・。)
その後もしばらく膠着状態が続いた。
そして、受付嬢がお偉方と共に降臨したことにより、一旦終結した。
ガラの悪そうな男の名前はアニキです。
ゆうは、これを知ったとき、笑いを堪えられませんでした。




