二章ー54 集結
「お前さんは・・・これからどうするんじゃ? 儂の目にはもう、詰んでるように見えるのじゃが・・・どうかの?」
寝起きの老人に、遠回しに降参しろ、諦めろ、そう言われているように感じた。
ゆうをちらりと見て、その後少しだけ考えて、ため息をついた。
「一応確認なのだけれど・・・アフォスとエヴィリオ、あなた達は敵ってことでいいいのね?」
「そりゃ〜そうーー」
「私はただ、陛下と共に」
エヴィリオを遮って、ものすごい勢いでアフォスは返答、それに圧倒されたエヴィリオはただ、セリフを途中で終わらせて、高速で頷きアフォスに同調していることを伝える。
また魔王は、それを聞いて「でしょうね」と特段驚くこともせず、薄い反応を見せる。
「でもマブロはーー」
「アフォス・・・ならばいよいよ、正真正銘敵になったということだ」
魔王はすぐ、マブロに話を振ろうとしたが、そうするまでもない。
彼は誰につくとかつかないとか、そんな事はどうでもいい。
ただアフォスとさえ戦えればそれで。
そんな彼を見て、魔王は僅かに笑みを浮かべた。
「アフォス・・・今日で決着をつけよう」
逸る気持ちを抑えて、マブロはアフォスに正面から向き合い、彼に決闘を申し込む。
「・・・陛下」
彼の曇りきった、それでいてまっすぐな瞳を正面から受けて、そのままゆうに目線を送る。
すると彼の気持ちを汲み取ったゆうはすぐ答えた。
「うん、行ってきていいよ。あっ、でも破壊し過ぎに注意! だからね」
「御意・・・では、行きましょう。少し行った先に、かなり広い部屋がありますので、そこで」
それぞれ主に見送られ、二人は揃ってゆっくりと部屋を出ていった。
ゆうはアフォスの背中へと、笑顔で手を振る。
するとそれを見て、魔王は思わず声を漏らして笑う。
「・・・どうしたんですか?」
「いえ・・・でもわざわざあんな巨大な戦力を、自分から進んで遠ざけてくれるなんて・・・彼がいないだけで、大分気が楽になったわ。心より、感謝を」
アフォスを相当警戒していたのだろう、だがそれが呆気なくいなくなり、途端に先程までの深刻そうな感じと違い、魔王は今、かなりハイになっている。
「ありゃ、もしかして・・・舐められてる?」
今の魔王の口ぶりから察するに、ゆうなどは対して脅威ではない、どうやらそう考えられているみたいだ。
「それにーー」
「DD・・・d・・・」
「ーーどうやら、来たようですね」
魔王の視線先、暗闇から、何かが這い上がってくる。
黒く、大きな剣を携えているのが見える。
そのままそれはみるみるうちに地上へと
そして気がつけば、ゆうに全員の身長を越していた。
「ありゃ、あいつじゃん・・・」
そう、奴こそまさに、先程ユウ(ハイユウ)を苦しませた、かなりの強さの魔物(?)だ。
その姿に、一瞬ハイユウの体が反応した。
「エヴィリオ・・・これを踏まえて、先程の言葉を今もう一度言えますか?」
「そうじゃの〜、まぁ・・・余裕じゃな」
「! そうですか・・・まぁいいでしょう。別に、ただ勝利を収めればそれでいいのですから」
欲しかった返答が得られず、つい不満をあらわにするが、しかしすぐに立ち直る。
「ddD!」
するとここで、Dが声を上げる、もちろん意味はわからない。
「えっと・・・」
クラスレッド・ブラスト
「< 赤魔術・疾雷 >」
と、そのタイミングで魔王は、未だすやすやと眠る姫へと標準を合わせ、魔術を行使した。
僅かにゆうの意識がDへと向いていた、その僅かな隙を見逃す魔王ではなかったということだ。
よって、ゆう達の反応は半歩で遅れ、更に魔王と姫との距離は殆ど無い、これはどう足掻いても、姫への直撃は免れないと、誰もがそう思い、そのカンマ数秒の時間の中で後悔を繰り返した。
だがーー寸前で、魔術が姫様に触れることは叶わなかった。
「!! 防御魔術・・・しかもこれ、魔を寄せ付けない・・・」
姫は、優しく薄っすら黄金に輝くバリアのようなものに包まれ、大事には至らなかった。
加えてそれの効果なのか、姫様の表情も比較的リラックスしている様子だ。
これには魔王も驚いたようで、しかし気持ちを切り替え更にもう一撃放とうとした、そのすんででようやくゆうが姫様のもとへ、目にも止まらぬスピードで駆け寄り、文字通り、お姫様抱っこした。
そしてそのカンマ数秒の後、姫様がつい今までいた座標へ、魔術が打ち込まれた。
「危ない危ない・・・」
「今・・・!? 何が?」
魔王は、ゆうの姿を目で追うことができなかったようで、姫が突然消えたので、かなり困惑している。
一方ゆうは、自分の腕の中の姫様を見て、優しく微笑み、優しくその髪を撫でる。
すると僅かに、姫様の口角も上がった気がした。
そうして優しさを姫様へとプレゼントしながら、「流石の仕事だね」と一言。
魔王はこれについても理解できなかったが、しかしすぐに、その真意を理解させられた。
「当たり前よ!」
入口付近から、これまた聞いたことのある声が。
魔王もどこかで聞いたことがあると、しかしそれは一体何なのか、なかなか思い出せずに居ると、いよいよ声の主が姿を見せた。
「やぁ、フィーネル」
「うん、ちょっとぶり・・・って、そんなことよりもあんた、もっと詳しく説明しなさいよ! まだ騙されてる感じがして、少し癪に障るんだけど!」
とやや不満気に、だが明らかに声のトーンが普段よりも高く、どうやらそれほど嫌というわけではなく、それどころか、ゆうと話せてーー。
「あなたは! ・・・なるほど、死んでいなかったのか・・・」
魔王はやはり、フィーネルを認知していたようで、ようやく合点がいったようだ。
「で、こいつどうするの?」
「うん、ちょっと聞きたいことがあるから・・・それよりフィーネルは、例のアレをお願い」
すると彼女の背後に何者かの影が。
それを何となく察して、咄嗟に振り返る。
するとーー
「デュ・・・デュフッ」
「きッショなにこのデブ!?」
デンジャーがどこからともなく降臨、その姿を見てすぐフィーネルは、実に反射的に、光にも勝るとも劣らぬような速さで、偏見に満ちた彼への悪口が彼へと特攻していった。
「あの・・・フィーネル?」
「あっ! ・・・えっと、ごめんなさい」
「いいデュフ、気にしてないデュフッ」
フィーネルからの無慈悲な攻撃に、まるで動じずデンジャーは普段のままでいる。
と、ここであちらから悲鳴が聞こえてきた。
「あのっ・・・僕、これ、どうしたら・・・」
こちらで色々とあり忘れていたが、先程カッコよく再登場を果たしたDは、どうやらハイユウと戯れているようだ。
よく見れば、あの携えていた大きな剣を振り下ろしたあとだったようで、それを何とかハイユウは、通常サイズの剣で何とか受け止めている。
更に良く見れば、それをちょうどいい立ち位置で、エヴィリオがぼーっと眺めている。
「あのっ・・・これ本当に・・・」
「じゃぁそっちはそのままお願い!」
ハイユウの思いは一歩届かず、ゆうはニコッと、Dを彼へ託した。
「そんな・・・流石に一人じゃ・・・・・・! あんた、エヴィリオ、さん・・・ちょっと手伝っていただけないでしょうか?」
「・・・ん? あぁ・・・まぁ、若者のチャンスを奪ってはいけないからの・・・一人で挑戦するのも大切なのじゃよ」
「えぇ・・・うわっ!」
どうやらエヴィリオは戦闘意欲がまるでないのか、それとも見捨てられたのか、どちらにせよ、協力は得られそうにない。
などとしていると、意識の外からやってくる、敵の重い一撃。
余所見などしていられない。
結局ハイユウは、死なないため、自分でなんとか切り抜けるより他にないようだ。
[雑談]とにかく眠い・・・忙殺されてる・・・
次回は何とか頑張ります・・・きっと。
[ブクマしましょう!!]
[予告]次回の更新は、17日を予定しています。




