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異世界チートは標準装備〜ピンチでも、ピンチじゃなくても起死回生〜  作者: 悠悠ー自適
二章 二等世:プロドシア篇
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二章ー53 姫と魔王

 各区で戦闘がなされているのと時を同じくして、世界が光に包まれた、その直後のことーー。


〜玉座の間〜

「・・・はっ!」


 今、ようやくマブロが飛び起きた。

 恐らくいつの間にか意識が飛んでいたことに驚いたのだろう、カッと目を見開いて、暫しフリーズする。

 

「私は、一体・・・?」


 すると部屋の端に、ゆうとハイユウとが立っているのが見え、起きたての体を素早く動かしバックジャンプする。

 そんな彼の様子を見て、ゆうもまたかなり衝撃的だという感じで目を見開き、そして二人はお互いの顔をじっと見つめ、微動だにしない。


 と、そこへ、玉座の間唯一の扉が開き、アフォスが軽やかに入ってきた。

 ここでマブロの注意がアフォスへと向き、ようやくゆうとの見つめあいタイムは終りを迎えた。

 そうしてマブロはアフォスの行動を全てを警戒するが、しかしアフォスは彼になど目もくれず、まっすぐゆうの元へと向かった。


「陛下、お飲み物です。お熱いので、お気おつけください」

「・・・え? あっ、うん、ありがとう」

「いえ、これくらい」


 そうしてゆうはアフォスから紅茶を受け取り、そして忠告どおりまだ少し熱かったのか、軽く息を吹きかけ冷ましている。

 するとそれを見たアフォスが「その役目、是非、私にお任せください!」と興奮気味に迫るが、ゆうは「大丈夫だよ」とやんわり断り、アフォスは少し悲しそうな目をして、だが同時に嬉しそうに、紅茶を飲むゆうをじっと見つめている。

 その光景に圧倒され、マブロはなかなか話を切り出せずにいたが、今ようやく好機がやってきた。


「どうして・・・俺を殺さなかった? 光に包まえて、その後すぐに、俺は意識を失った。そんな隙を、なぜ見逃した?」

「・・・? 別に、そうする必要がなかったから、かな? うん・・・僕の狙いは、貴方ではなくて、そこにいる彼女たちなので」


 そう言って、ゆうは玉座にもたれかかって、ぐっすりと寝ている女の子二人を指さした。

 

「魔王様・・・と、もう一人は誰だ?」


 一人は正真正銘、見知った顔の姫様(若しくは魔王様)であった。

 しかしもう一人、一緒にいるもう一人はまるで知らない。

 わずかに発される魔力は一流そのものだが、身長的には恐らく姫様よりは小さく、だが彼女と同様に顔立ちは整っており、加えてどちらかといえば子供っぽい、可愛らしいような雰囲気である。

 マブロはそれについて少し考えていると、ゆうが補足説明する。


「彼女は正真正銘、あなたの上司(?)でもある魔王様ですよ」

「・・・は? いや、それはーー」

「ですから、そちらが姫様で、あなたが知らないと言っている方が、魔王様なんですよ」


 あまりにも嘘くさい上に、敵であるため自分を騙そうとしていると警戒し、ゆうの声に耳を貸さずにいる。


「・・・私、いつから・・・!?」


 起きてすぐは、未だ姫様を操っていたことのそれを彷彿とさせるような反応であったが、彼女はすぐに違和感に気づいた。

 そうして自分の真横ですやすやと寝ている姫様の姿を見て、一瞬で顔が青ざめた。


「これは何故? どうして? 確かに私は魔力の波長を完璧に合わせ、完全に彼女と同化したはずなのに・・・っ」


 分かりやすく、若干オーバー気味に取り乱す。

 そうして暫し、心の中の葛藤の末、魔王は姫様に近づいて、もう一度同化を試みたがしかしそれは失敗に終わる。


「彼女の魔力が・・・何か、おかしい・・・」

「えっと、それは僕から説明しますよ。そうですね、凄く端的に言うと、今彼女が保有している魔力は全て、僕の魔力でもあるんですよ。だからといって、あなたのように僕が彼女を操ったり出来るわけではないんですけど、ただあなたの魔力が入る隙間がない、だから結果として、あなたは彼女を操ることができない、ってことです・・・と、かなり端折ってしましましたが・・・そんなところです」


 魔王はそれを聞いて尚、未だに信じないといった様子で、ありえないといった表情で、しかし同時に悔しそうに、ゆうと姫様とを見る。

 またアフォスは、ゆうの横で何故か得意げな表情で、静かに、嬉しそうに頷いている。


「そんな芸当・・・一体どうやって?」

「ずっと、ずっと、僕がこの世界に来てから殆どずっと、彼女にほんの少しずつ僕の魔力を流して、親和させていったんですよ」

「そんなこと・・・でもそういえば、空間に存在するの魔力の様子がおかしかったような・・・」

「あっ、それも僕ですね。えっと・・・あなたを追い出せるまでの支配力を獲得するためには、相当繊細でかつ継続的な魔力操作が必要だったので、その際周囲で大きな魔力の変動でも起きて、魔力操作が狂ってしまわないよう、国家単位の大規模な、それでいて確実的に魔力を制限する結界を展開していました」


 そんなことをさらりと、爽やかに言ってのけるので、魔王ももうため息をつくよりほかない。


「って言っても、おおよそすべての人には効果的面だったんですけど、あなたには結構好き勝ってやられてしまって・・・正直かなりヒヤヒヤしましたが、その分あなたの意識もそちらに向いていたので、逆に大胆に色々できたので、まぁ・・・はい」

「・・・なら、あのまばゆい光は、その強制的に空間に貯められていた魔力を上手く使って、高度な技を繰り出したってところかしら?」

「そうですね。あなたを姫様から排斥すると同時に、すべての魔力の制限をときました。その際、今まで抑えられ、行き場のなかった分の魔力が一斉に解き放たれ、言わば魔力バブルの状態になったので、それを上手く使いました。国全体で魔力が飽和状態だったので、すべての地域にまで範囲を広げることができて・・・こうして皆さんに、リベンジマッチ・・・とは違うかもですけれど、アディショナルチャンスを与えることができて・・・良かったです」


 そして最後に一つだけ、ゆうに確認を取る。


「・・・つまり、すべて貴方の思惑通りだったってことね?」

「まぁ・・・そうなりますね」


 そう言って、ゆうは無邪気な笑顔をカマす。

 すると魔王は敵ながら、ゆうがイケメンであることを改めて認識する形となり、少したじろぐ。

 またアフォスは、胸を抑えて苦しそうにしている。

 これには流石にハイユウも心配して声をかけるが、アフォスは「唯、尊イ」とだけ返すので、ハイユウは心配して損したといった具合にため息をつく。


「・・・聞きたいことはいくつもあるんだけどーー」

「奇遇ですね、僕もです」

「ふあぁぁぁ・・・あぁ・・・」

 

 ここで、マブロのすぐ後ろから大きなあくびが聞こえてきた。

 そして同時に、何者かの気配を感じた。


「!?」

「エヴィリオ・・・やっぱり生きていたのね」

「・・・お前さん誰じゃ? ってのは冗談じゃ。引きこもりが、ようやく外に出てきたようじゃな。というよりは、とうとう追い出された、といった具合かの?」

[雑談]今回も結構説明チックになりましたが・・・必要な話です・・・。

[ブクマしましょう!!]

[予告]次回の更新は、14日を予定しています。

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