一章ー5 日常
〜朝〜
あれからおよそ一週間が経過した朝のこと。
ゆうは、毎日それなりの依頼をこなし、めでたくBランクへと昇格した。
そして今は、日が昇ってもうすぐ1時間が経とうかという刻限。
ゆうは、まだ寝ている。
その後暫くして、冒険者としては、やや遅めの起床を果たした。
そして、まだ少し眠気の残っている体を動かし、支度をして、1階へ降りていく。
「おはよう御座います」
「あら、おはよう。ご飯できてますよ」
そう言ってミテラさんは、いつものように微笑む。
(朝から幸せすぎる・・・)
出てきたご飯もとても美味しく、お腹も心も満たされた。
「よしっ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
こうして宿を後にした。
〜ギルド〜
「おはよう御座います、ゆうさん」
「あ、おはよう御座います」
まだ幸せの余韻をかみしめるゆうの手の中には、3つの依頼書が握りしめられていた。
「依頼の受注ですか?」
「はい、これをお願いします!」
そして無事に受注が完了し、早くも依頼へと向かった。
〜郊外の森〜
ゆうは、そのまま都市を出て、郊外にある森まで来ていた。
距離はあったが、そこまで移動に時間がかからなかった。
こんなアクセスのいい森は初めてだと、そう思った。
よし、と気を入れ直し、1つ目の依頼に取り掛かる。
それは、冒険者の登竜門・薬草採取である。
どんな凄い人でも、絶対に一度は通る道、そう思い、張り切って取り組む。
あたりを見渡す。
うん、わからん。
今まで討伐系統しかやってこなかったので、草は沢山生い茂っているのだが、はっきり言って、どれが薬草でどれが雑草なのか、さっぱりわからん。
なので、早速魔力というものに縋ろう思う。
まず、魔力を練る。
その練った魔力を薄く伸ばすように、周囲に蔓延させる。
辺いっぱいに広がった魔力は、微弱な魔力にさえも反応する。
薬草と一概に言っても、ここは異世界、ただの草ではなく、多少なりとも魔力を持った草であると予想し、その性質を利用することにしたのだ。
すると、やはり予想が当たったのか、いくつかの反応を感じた。
そして、該当する薬草と思われる草を優しく採集した。
が、その表情は険しい。
「う〜ん・・・本当にこれでいいのだろうか?」
前述の通り、実際のところ本人は、どれが正解なのか分かっていないので、判断のしようがないのだ。
ただ、どうしようもないので、取り敢えず、周囲の反応のあった草は、全て丁寧に採集し、便利袋にしまった。
「よし、まずは1つ目達成!」
そうしてさっさと次の依頼へ向かう。
<依頼・害虫駆除>
次は、害虫駆除の依頼だ。
早速依頼主の話を聞きに行く。
先程の場所からそれほど遠くなく、思いの外すぐ着いた。
「こんにちは。依頼を受けた冒険者です!」
「あぁ、どうも」
声をかけると、優しそうな老婦人が出てきた。
どうやらこの人が依頼主のようだ。
話を簡潔にまとめると、最近作物が荒らされていて、とても困っているらしい。
更に詳しく話を聞く。
「本当に大変なんですよ・・・。柵が壊されたり、土が掘り返されたり、地面が削り取られていたり・・・絶対害虫のせいだと思うんですよね・・・」
それを聞いたゆうは、”害虫ってそんな万能な言葉だったっけ!?”と思った。
すると、突如、畑の方から轟音が。
「!! 急転直下すぎるだろ!」
「あら・・・また賑やかになったねわぇ」
”これ絶対に爆発音だから!普通畑で聞こえてこないから!”と突っ込みたいのを我慢して、現場へ急行する。
現場に向かって最初に目に入って来たのは・・・暴れている老人の姿だ。
もういよいよ訳がわからないが、取り敢えず落ち着かせて話を聞く。
「わしは、この畑を守ろうとしただけなんじゃ・・・」
「!? えっと・・・」
「作物に悪い虫がついとるのを発見してな、何回殺っても次の日には別のやつが来とるんじゃ。それに最近数も増えてきて・・・」
と、ここまではまぁ普通の話である。
なので余計に轟音の正体が気になるところではあったが、それもすぐ解決することになる。
「それでな・・・もう面倒じゃから、焼き払ってしまおうと思ってな!」
「!?!」
「ただ、もう歳のせいか、加減が上手くできなくてな・・・」
(ヤベえなこの人・・・)
ということで、現行犯です。
その後、依頼主である老婦人に詳細を伝えた。
「すまなかった・・・」
老人は、老婆へと、深々と頭を下げた。
「まったく、爺さんは・・・」
これでようやく終わったかと思ったらーー老婆はどうやら少々怒っているようだ。
老人はそれなりの制裁を受け、近年稀に見る怪事件は幕を閉じた。
唯一つ、この事件について言えることがあるとすれば、それは即ち意味不明ということだけである。
(お爺さん・・・強く生きてください・・・)
どうにも消化しきれないが、気持ちを切り替えて、最後の依頼へと向かう。
<依頼・討伐(上級案件)>
依頼主は・・・ギルドだ。




