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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

2人で暮らす

作者: 朝川はやと

 ハンバーグの匂いがする。今日はフミの方が早かったらしい。せめて食器は僕が洗おう。


 金曜日、食後は二人で映画を観る。僕が好きなのはアドベンチャー。フミが好きなのはミステリー。最初はどちらも譲らない。僕は折れない。決して折れない。やがてフミはお兄ちゃんになる。王子になる。


 冒険がはじまる。知らない国の知らない街。知らない名前。わからないことが僕にはたくさんある。首をかしげるのが僕の癖だ。するとフミが教えてくれる。フミは頭が良い。


 並べた肩。僕より高い。手を伸ばす。髪を撫でる。柔らかくて茶色い毛。子犬みたいな毛。僕の好きな横顔。


 つまらない映画だった。二人してただぼんやりと画面を眺めた。エンドロールの途中で、フミはシャワーへ行ってしまった。


 髪を乾かし部屋に戻ると、ベッドでフミは眠っている。フミの唇にそっと触れる。指を重ねる。フミは目を閉じたまま、顔を背ける。白い壁を向く。フミの背中に顔を埋める。やさしい熱を僕は感じる。柔軟剤の匂い。フミの匂い。一緒に洗っているはずなのに、僕とは別のフミの匂い。体は今、ゆっくりと呼吸している。


 フミは何も言わず、僕の手を握る。僕を抱き寄せる。僕は身をゆだねる。フミが思うまま。


 未来のことはわからない。でも今は、こうして二人でいる。

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