第五十一話
読んで下さり、ありがとうございます。
まだドキドキがおさまらない。胸に手を当てて落ち着くように深呼吸をした。まだ怖くて身体が震える。
‥‥あんな不審者が学園に入ってきているなんて!!
息を整えながら、隣に立つ係員に先程のことを伝えようと話しかけた。しかし、その会話に割って入られた令嬢がいた。
「あら?マリアンヌ様、こんなところでどうされたのですか?‥‥お顔色が悪いですわよ。」
そこには扇子で口元を隠しながらも、驚くような表情でこちらを見つめるマクゴガナル公爵令嬢がいた。
「‥‥?あのっ!実は‥‥「さあ、こちらにいらして」」
「開けて下さるかしら」
「‥‥っ!?ダメです!そちらは危ないですわ!」
「えっ!?何‥」
理由をお伝えしようとしたが、何故だか躱され続け、結局、マクゴガナル様とお付きの方に強引に会場の外に出てしまった!
「!?不審者がいるんですっ!!危ないですわ!」
取り乱す私を冷たい視線で見つめるマクゴガナル様。
と、そうこうしている内に‥‥
「そこにいやがったか!!」
先程の二人がこちらに向かって走って来た!‥‥五人!?何で増えているのー!?
「イヤー!!マクゴガナル様!お逃げになって!!こっちに来ないでー!」
剣や棍棒を振り回しながら突進してくる男達。
こんな時、ルーカスだったら結界魔法が使えるのにっ!私は治癒魔法と最近覚えた解毒魔法‥‥
そして、攻撃魔法は水と氷しか使えないのよー!!しかも兄弟に比べたら威力が弱すぎるしー!
ーー無我夢中で閉眼したまま両手を振り回したーー
「ギャーーーーー!!」
「痛ーー!助けてくれーー!」
辺りに男達の悲鳴が響き渡る。
そっと目を開けると、氷の槍にやられたり、追い回されている男達が目に入った。
「このままで済むと思うなよーー!!」
男達は逃げ、その場からいなくなった。
‥‥こっ、怖かった‥‥。
ヘナヘナと座り込み、しかし、マクゴガナル様のことを思い出し、探した。
マクゴガナル様は少し離れた所からこちらを凝視されている。
「マクゴガナル様、ご無事ですか?!」
慌てて駆け寄ったが、マクゴガナル様は
「ひいっっっ!!!」
青褪めた顔でこちらを見て、従者に庇われながら会場へ戻られてしまった‥‥。
「‥‥よほど不審者が怖かったのね。お可哀想に‥‥。私も怖かったもの‥‥。」
これからは治癒魔法ばかり訓練せず、私も皆に混じって攻撃魔法も訓練しよう。今回は助かったけど、次はないものね‥‥。
心の中で決心し、次はノアを守るのよ!と意気込み会場に戻った。