表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最悪の予知夢を回避しようとした結果、溺愛が始まりました  作者: gold kiwi
第二章 ノアは絶対死なせない!
45/67

第三十三話


 王立学園は全寮制。入学式を明日に控え、先に入寮する為、侍女のアリアと共に学園へとやって来た。荷物は既に運び込まれ、荷解きもされている為、今日は手続きと見学をするだけだ。他にも沢山、新入生が学園へやって来ており、興奮した様子で皆キョロキョロと辺りを見回している。


 「それにしても、さすが王立学園の寮ですわね!立派ですわ‥‥!」


 アリアが感嘆の声をあげた。


 「そうね。‥‥でも不安と緊張で一杯だわ‥‥。」


 入寮や明日の入学式より、3日後に予定されている『入学記念パーティー』が気になって仕方がない。‥‥ノアは絶対に助けてみせるわ!


 「あっ、ノア様がおいでになられましたよ。」


 アリアの声で振り返ると、片手を上げて微笑みながら近づて来るノアが見えた。


 ‥‥あっ‥‥ノア‥‥。


 ‥‥少し気不味いな‥‥。


 「マリアンヌ、久し振り。元気そうだね。」


 「‥‥ええ。ノアも元気そうで良かったわ。」


 ‥‥どうしよう‥‥。ノア、あのこと何とも思っていないのかな‥‥?


 「お嬢様、ノア様もいらっしゃいましたので、私は手続きと準備に行かせて頂きますね。」


 !?‥‥‥アリア、行っちゃうの!?


 戸惑って俯いていると、さっとノアに手をとられた。


 「アリアありがとう。ここからは僕が学園を案内するよ。さぁ、マリアンヌおいで。」


 手を繋がれたままノアと歩く。


 ‥‥ノアと二人きり‥‥。


 ‥‥気不味い‥‥。


 「‥‥‥‥‥。」


 「‥‥‥マリアンヌ、この間は無理にあんなことして‥‥悪かった。」


 ノアが神妙な面持ちで顔を覗き込んでくる。


 !?‥‥‥いきなり、核心をつく話‥‥‥!?


 「‥‥あっ、うん、いいわ。気にしてないから‥‥。」


 恥ずかしさのあまり、ノアから視線を外し、素っ気なくこたえた。


 「‥‥‥そう。少しくらいは気にして欲しかったな‥‥。」


 悲しげに笑うノア。


 「‥‥‥‥。」


 ‥‥あー、どうしよう‥‥。それにしても、この繋いだ手を離したいわ。緊張して手汗かいてきちゃった‥‥。


 手を離そうとするが、その度にぎゅっと握り返される。


 

 「そっ、それにしても立派な建物ね。あら、ここは音楽室かしら?」


 その教室には立派なグランドピアノが置いてあり、奥の棚には管楽器も並んでいる。


 「そうだよ。今日は学園が休みだから使われていないけど、放課後にはいつもサークル活動している子達が演奏しているよ。‥‥‥入ってみようか。」


 「‥‥ええ。あっ、そうだ。ノア、もし良かったら久し振りにピアノ弾いて。」


 ノアは養子に来た当初からピアノが得意で時々弾いていた。暫く聴いていないので久し振りに聴きたいと思った。


 「いいけど、久し振りだから期待しないで。マリアンヌはここに座って。」


 そう言うとノアは自分の椅子の横にもう一つ椅子を置き、ポンポンと叩いて座るよう促してきた。


 言われるがままに大人しく座ると、ノアはピアノを弾き始めた。優しいような、悲しいような、そんな音色だった。滑らかに動くノアの指先と、真剣に弾く横顔をそっと見つめる。


 ‥‥綺麗な横顔‥‥。何でも器用にこなして、人気が出るのも当たり前だわ。


 ‥‥出会った頃は大嫌いだったけど、だんだん打ち解けて、今では仲の良い義兄妹‥‥と思っていたけれど、ノアはやっぱり違うのかな?本気で私のこと、好きなのかな‥‥‥?


 




 

 

読んで下さりありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ