第二十二話 ノアside①
僕がマリアンヌと初めて出会ったのは8歳の時。家族と別れ、レミニール侯爵家に養子としてやって来た際に義妹として紹介された。不安で一杯で、食欲のない僕と違って、彼女は丸々と太り、口の周りにクッキーの屑までつけていた‥。
‥‥到底、好きになれそうにないな‥‥。
彼女に対して嫌悪の感情しか湧かなかった。
しかし一緒に過ごすうちに嫌悪の感情は薄れていった。
彼女はいつも笑っていて、どんなに冷たい態度をとっても、いつも優しかった。養子に出された怒りや苛々を彼女にぶつけてしまうこともあったが、彼女は優しく受け止めてくれた(時々、憎々しげに睨まれることはあったが‥‥)。また彼女の周りにいる侯爵家の皆は両親を筆頭に使用人達もとても優しく、次第にここに迎えられたことを感謝するようになっていった。
彼女は意外にも太っていることをとても気にしていて、痩せようと努力をしていた。毎朝ジョギングしている姿は子豚がヒーヒー歩いている様にしか見えなかったが、ずっと見ていると少し可愛らしく見えてきたりもした。そして僕は興味本位で一緒にジョギングをするようになり、いつの間にか毎日のルーティンとなっていた。
彼女を好意的に見られるようになってきたある日、4歳年下の養子がやって来た。
彼女は年下のルーカスを「可愛い、可愛い」と言い、とても可愛がった。ルーカスも彼女に懐き、仲良くしていたのだが‥‥何だか面白くない。そしてある時、気が付いた。ルーカスは一般の4歳ではないと。彼女の前では幼いふりをしているが、ふとした時に見せる表情や行動は決して4歳ではない。精神年齢がかなり上だ。彼女に甘えたふりして抱きついたりしているが、絶対に下心がある。それなのに彼女は何も気付かずルーカスを甘やかす。
‥‥なんで気付かないんだ!?とんでもない鈍感だな!?
‥‥凄く苛々する‥‥。
別に2人が仲良くなろうと自分には関係はないのだが、何故か無性に腹が立つ。
‥‥マリアンヌは僕よりルーカスが好きなのか!?
同じ年頃の女子は皆、僕に好意を抱いてくれるのに彼女は違う。
僕にいつも優しくしてくれるが、男女の好きではなく‥‥兄妹としてしか思っていない様だ。同じ年頃の女子が僕に恋心を抱かないなんて‥‥初めてだった。そして、絶対振り向かせたいと思った。
そんな時、また別の養子がやって来た。彼の名前はショーン。僕より3つ年下だが、背が僕より高い。彼とマリアンヌとの出会いは彼の「デブ」発言から、彼女にとっては最悪のものだったろうと思う。
しかしそんな2人も日が経つにつれ仲良くなり、そんな2人の様子を見ていてもやはり苛立つようになった。
そして、僕が10歳になった時、湖の近くの別荘へと行くことになった。
読んで下さり、ありがとうございました。




