第十六話 アーサー第一王子殿下side①
僕が初めてマリアンヌと出会ったのは14歳の時、母上主催のお茶会だった。
一際目を引く金髪碧眼の美少年と、艶やかなピンクブロンドの美少女。二人は初めて社交の場に出たようだ。これ程までに美しい兄妹は今まで見たことがない‥‥目が釘付けとなった。
兄はあっという間に令嬢達に囲まれていた。初めての場とは思えないようなスマートな対応をしていて驚かされた。
妹は緊張しているようで、ソワソワしていた。しかし緊張しながらも王宮のお菓子を見て目を輝かせ、選んでいる様子はとても可愛らしいと思った。僕の周りにいる令嬢達とは雰囲気が異なっていて、話をしてみたいと興味をひかれた。
「失礼‥‥果実水でもいかがですか?」
僕が声を掛けると驚いていたが、果実水を一口飲むと「美味しい!」と言って、花がパッと咲いたような明るい笑顔を見せてくれた。
その瞬間、僕は恋に落ちたんだと思う。
彼女と話している間、彼女の一挙一動が輝いて見えた。とてもドキドキして、いつまでも二人で話していたいし、触れたいとさえ思った。
こんな気持ちは初めてだった。
彼女の話は両親や祖母、義兄弟のことが主だった。家族がとても好きなんだなと思った。だけど、それと同時に血の繋がりのない義兄弟が3人もいることに不安を覚えた。しかもその中の一人はあの金髪碧眼の美少年だ。令嬢達とスマートに会話している様子から見て、かなりの切れ者だと思われる。
大丈夫なんだろうか‥‥?
不安は尽きないが、それにしても一生懸命話す彼女はとても可愛い!僕の話も目を輝かせて聞いてくれる。そして侯爵令嬢だけあって礼儀作法も完璧だ。そして彼女の髪は、本当に美しかった‥‥。
「それにしても綺麗な髪だね‥‥。触ってもいい?」
僕はとうとう我慢できなくなり、彼女の髪に触れ、衝動的にキスをしてしまった。
彼女はその後慌てふためき、しどろもどろになった。僕を恐怖が混じったかのような瞳で見つめるようになり、キスをしたことをひどく後悔した。
しかし、その後悔はその後消え失せることとなる。
その後すぐに金髪碧眼の兄が彼女を探しにやって来て、嫉妬と憎悪を含む瞳で僕を見つめてきた。
すぐに彼が彼女に好意を持っていることが分かった。僕に彼女がとられるんじゃないかという不安と嫉妬、憎悪が混在した瞳で僕を見つめ、僕から彼女をすぐに引き離してきた。
‥‥そしてその後見てしまった。彼が彼女にキスしているところを‥‥。
このままでは彼に彼女をとられる。
彼女に僕の存在を植え付ける為にもキスして良かったんだ‥‥!否、しなければならなかった‥‥。
何とかして彼女を自分のものにしたい‥‥!
読んで下さり、ありがとうございました!