第十三話 お友達が出来ました
「ご機嫌よう。私はレミニール侯爵家のマリアンヌです。ご一緒してもよろしいですか?」
私は静かにお菓子を召し上がられている御令嬢に声をかけた。
「こちらでよろしければ、どうぞお掛け下さい。私はブランデン伯爵家のカーラーでございます。」
ブランデン伯爵といえば、優秀な宰相閣下として有名なお方ですわ。この方がお嬢様でしたのね‥‥。
艶やかな黒髪に落ち着いたシルバーのドレスを纏った彼女はとても美しかった。
「私、お茶会は苦手なんですの‥‥。特に王宮のものは気負いしてしまって疲れますわ‥‥。」
カーラー様は溜息をつかれた。
「私もですわ。でも今日はカーラー様にお出会い出来たので嬉しいです。一緒にお菓子を食べてお喋りを楽しみましょう?」
「そうですわね!」
二人で顔を見合わせて笑った。
—————————————————-
———————————
「それではマリアンヌ様と私は学院で同級生になりますわね。嬉しいですわ!」
「私もです。学院へ行くのが楽しみになりましたわ!」
隅の目立たない席で二人で楽しい時間を過ごしていると、急に周囲が騒がしくなってきた。
「‥‥どうしたのかしら?‥‥あっ!?」
!! アーサー第一王子殿下がこちらに向かわれている!!
「カーラー様!この席を離れましょう!」
「えっ!?」
私はカーラー様の手を引き、木々や花壇に隠れながら、人気の少ない場所を探した。
「マリアンヌ様、どうされたのですか!?」
「王子殿下がこちらに向かわれていたのよ!?大勢の御令嬢を引き連れて!逃げなくちゃ!」
「そうでしたの!それは逃げましょう!うふふっ!」
私達は婚約者争いになんて巻き込まれたくない、自由に生きたいと散々語っていたので、今日は王子殿下と鼻息荒い御令嬢を避け続けようと画策したのだ。こんなに広い会場で、御令嬢も大勢いらっしゃるのだから、一度も会えなくてもおかしくはないもの。
「私こんなにドキドキしたの初めてよ!楽しいですわ!」
「私もよ。」
「‥‥さっきから何してるの?」
可愛い声がして振り向くと、アメジストの瞳を見開いてこちらを見ているヘンリー第二王子殿下がおられた。
‥‥しまった!!
王子殿下の周りにはちびっ子令嬢達もいた。皆、小さいながらも訝しげな表情でこちらを見ている。
「少し散策をしていただけですわ。ヘンリー王子殿下、ご機嫌麗しゅう存じます。」
私達は丁寧にカーテシーをして挨拶をした。
「‥‥そうなんだ。じゃあ、一緒に遊んでくれる?誰も遊んでくれないの‥‥。」
よく見ると泣いておられたのか、ヘンリー王子殿下の目元が腫れており、心なしか沈まれた様子だった。
「はい。喜んで。」
「嬉しい!」
ヘンリー王子殿下は満面の笑顔で飛び上がって喜ばれた。
‥‥かくして、私達は着飾った装いのまま、幼い王子殿下と一緒にかくれんぼをすることになったのだった。
「カーラー様、大丈夫ですか?」
「ええ、私は大丈夫よ。体を動かすのは好きですの。」
ちびっ子達は皆着飾った装いのまま、キャーキャー叫んで楽しんでいる。初めは止めに入っていた従者も、王妃殿下が「このまま様子をみましょう」と止められたので皆見守るだけとなった。
段々楽しくなってきて木陰で息を潜めていると、「見つけた!」と誰かに肩をたたかれた。振り向くと‥‥
「アッ、アーサー王子殿下!」
「ずっと、君を探していたんだ。なかなか見つからなくて‥‥こんな所にいたの?」
読んで下さり、ありがとうございました!




