第八話 義兄弟と私
早朝から父とノアは視察の準備をしている。ノアはこの侯爵家の跡取りとなるので、時々父と共に視察にも出掛けているのだ。覚えの早いノアはまだ学院にも行っていないが、父の側で執務の手伝いもこなしている。その上、家庭教師から学ぶ学問も私より優秀だ。‥‥どういうこと!?私って自分で思うより馬鹿なのかな‥‥?
「2人とも気を付けて行って来てね。」
「ああ、マリアンヌも良い子で待っているんだよ!」
‥‥ノアはすごいなぁ‥‥。
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「ルーカスは今日魔導士様と魔法訓練に行くの?」
「うん。今日はマゾリッド山の麓に浄化に行くんだ。」
可愛い顔でにこにこしながら言っているけど、あそこって瘴気が漂う危険な場所よね?もうルーカスとは次元が違いすぎるわ‥‥。
「そんな危険な場所に行くのね。でもかなり遠いわよね?泊まりで行くの?」
「ううん。魔導士様の転移魔法で行くんだよ?僕も今転移魔法練習してるんだ。」
‥‥‥転移魔法‥‥‥。私まだ解毒魔法も出来ないんだけど‥‥‥。
「‥‥そうなんだ。気を付けて行って来てね。」
「うん。ありがとう。マリアンヌも家で大人しくしていてね。街へ一人で行ったりしたら駄目だよ?」
そう言ってルーカスは私を抱きしめる。もうどっちが姉か弟か分からなくなってきたわ‥‥。
‥‥私は一人で街も行けないのね。情けない‥‥。
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「ショーンは今日は何するの?」
「俺は午後から王宮騎士団に行って、訓練に入れてもらうよ。マリアンヌは今日の予定は?」
「‥‥私は何もないわ‥‥。今日は誰もいないのね。図書館にでも行こうかしら?」
「一人で行くの?」
「護衛のアランかジョンについて行ってもらうわ。」
‥‥3人ともどんどん成長していって、私だけ何やってるんだろう‥‥?
「それじゃあ、俺と王宮へ行くのはどう?訓練を見学してみない?迫力があって面白いかもしれないよ?」
「え!?いいの!?」
「いいよ。一人で寂しかったんだろ?」
そう言うとショーンは私の頭をクシャッと撫でた。
‥‥嬉しい!一度見てみたかったのよね!
「それじゃあ、私差し入れのお菓子を作ってくるわ!ありがとう、ショーン!」
‥‥騎士団の訓練が見れる!楽しみ!
‥‥早めにお菓子を作って、余った時間で解毒魔法の練習もしよう!私も頑張らなくては!
読んで下さり、ありがとうございました!