3.聖王国からの追放
※本日3回目の投稿です。
城下街の裏通りで、大神官は自らがクビになった経緯を説明し始めた。
「今回の件は、王族らの陰謀だ。ヴェロニカとやらのために異例の聖女試験を行ったうえ冤罪を企てるなど、まさに愚行の極みよ。公正に審議するよう陛下に不服を申し立てたが、気に食わないなら国を出ていけとお怒りを買ってしまってな」
「そんなことが……。すみません、私のせいで」
「何を謝る。そなたのせいではない。王族のこれまでの聖女への仕打ち、腹に据えかねておったのだ。私は言いたい事を言えて清々したから、気にするな」
しょんぼりしてる聖女の頭に、大神官がぽんと手を置く。
聖女ちゃん、なんだか嬉しそう。こんなうさん臭い優男のどこがいいの。
それはそうと、勝手に聖女に触らないでよ。
邪悪がうつる。しっしっ!
どうやらわたしの守護魔法は、聖女が許した相手には効かないみたい。ぐぬぬ。
「私は今から故郷に帰ろうと思う。行くあてがないのならば、共に行かぬか?」
「……はい。行きます」
あーー! 聖女ちゃんがあっさり騙された!!
いくら王様がアホでも、神殿の最高位の大神官を簡単に追放するわけないでしょ。
まあアホだから実際やりかねないけど・・・
しかも、この追放劇ってたぶん大神官が仕組んだのよね。なにか裏があるわ。
それから二人は馬車に乗って、聖王国を出て行ってしまった。
大神官の身分のおかげで、国境でも特に怪しまれなかったみたい。
聖女ちゃんをどこに連れ去るつもりかしら。悪い事しないように見張らなきゃ。
きっと今頃、お城は大騒ぎよね! 重要な人物が二人も消えたんだもの。
聖女という聖力の源を失い、聖王国の結界がどんどんほころんできてる。
このまま放置したら、魔物や敵国が侵入してきてすぐに国が滅ぶはず。
大切に守らなきゃならない存在を粗末に扱った天罰よ。いい気味だわ!
◇ ◇ ◇
え? 守護妖精なのに全然聖女を守ってないって?
ちゃんと守護してるわよ、聖女ちゃんの心身ともに。
毒にも魔法にも物理にも屈しない強靭な肉体、そして、くじけない心。
他人の悪意から守るため、精神にも防御の魔法を重ねがけしているの。
過保護にしすぎたせいで、少し感情が薄い子になっちゃってるぐらいよ。
悪い出来事からも守ってあげたいけど、妖精は聖女以外には干渉できないの。
馬鹿王子や偽聖女や色ボケ国王や邪悪大神官を、ぶん殴ってやりたいけどね!
◇ ◇ ◇
長旅の道中、ずっと見張ってたけど大神官は予想外に紳士的だった。
宿屋に泊まる時はきちんと別室だし、適度な距離感を保って会話してるし。
いいえ、これは罠なのよ。聖女ちゃん、絶対に騙されちゃダメだからね。
色んな街や村を経由して、馬車は最果ての砂漠にたどり着いた。
昔は緑あふれる大地だったらしいけど、国が滅んだ後は廃墟と砂ばかり。
こんな何もない所が大神官の故郷だっていうの? 嘘くさいわ。
「ようこそお戻り下さいました。大神官様、並びに聖女様」
「聖女様のお越しを、我ら一同首を長くしてお待ちしておりました!」
廃墟のお城のような建物で、数人の信徒たちに出迎えられたわ。
聖王国の白い神官服じゃなくて、漆黒の衣装よ。まるで葬列の服ね。
いきなりの歓待を受けて、聖女ちゃん戸惑ってるみたい。
「大神官さま……?」
「実は、私はこの地でも大神官を務めておってな。見ての通り不便な所だが、いずれ復興させたいと思っている。良ければ、そなたも手伝ってはくれぬだろうか」
「……はい。私にできることなら」
ひどい。聖女に他の選択肢がないと知ってて、そんな事を頼むなんて。
砂漠のど真ん中で放り出されたって、今さら逃げられるわけないじゃない。
聖女の力を使って一体何を企んでいるのかしら・・・?
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