06
目が覚めるとベットで寝ていた。
どうやら、あの一撃で失神コースに送られたようだ。世界は広いことを改めて実感する。
自分と近い年齢のなかではそこそこ強いと実感はしていたが、ここでは一つ二つ年齢が違うだけで次元が変わるようだ。
「目が覚めたか」
となりに座っていた男が話しかける。レイシン先輩だ。
「どれくらい寝てました?」
「1時間ちょいだ。ちなみにツバキは説教中だ。お前を寮まで案内するはずが、勝手に模擬戦を始めちまったからなぁ」
笑いながらレイシンは語る。
人のことは言えないが、ここの人達って相手が楽しそうな相手だったら勝手に勝負したがる人ばっかなのかなぁ・・・?
そして、左肩を指さしレイシンが尋ねる。
「ところでだ。お前、その肩の傷どこで付けられたんだ?治療はしてあったが、痛みはかなりあったと思うが?」
「この大陸に着いて、この都市に来る途中の山道でグリフォンって魔物と対峙して、その時に」
「まさか、ここに来る前に大立ち回りしてるとはな」
新十郎はため息交じりに、
「途中で現れた助っ人が居なければ死んでいたでしょうね。空飛んでる相手に対しての攻撃手段が自分はカウンターくらいしかないですし」
「助っ人?」
「はい。金色の長い髪と碧い瞳、両肩に紅い増幅器付きの肩当に青い法衣を纏った女性です。見た感じ、同世代くらいだとは思うのですが・・・・・」
一瞬にして、レイシンの顔が強張る。
「ひょっとして、お知り合いの方ですか?」
新十郎が尋ねると
「多分だが、その助っ人と関わらないことをお勧めする」
「金銭を請求されましたけどね・・・・・。金額は言いたくありませんが」
「・・・・・・・」
二人が黙っていると、医務室の扉が開き、鎧を着たの男が入ってくる。
「新十郎だな。寮まで案内する。身支度を整え着いてこい」
「はい」
新十郎はベットから出て脇に置いてある刀やカバンを取り整え、横に座るレイシンに挨拶をし、医務室から出ていく。
使い込まれた鎧に兜で顔が見えないが鋭い眼だけが新十郎を見つめる。