05
ツバキの後をついて到着した場所。そこでは演習用の武器を持った生徒たちが模擬戦を行っていた。
そして、周りの生徒たちがこちらに気が付き騒ぎ出す。
「さて、はじめようか」
ツバキは側にあった演習用の木刀を新十郎に投げ渡す。それを受け取り、ツバキに尋ねる。
「え?なにを・・・・・」
ツバキの方を見ると木刀を持ち、構えている。
あ、そういうことですか・・・・・。新十郎も木刀を構える。
次の瞬間、ツバキは一気に間合いを詰め、新十郎の喉めがけて突きを放つ。それを新十郎は寸前で受け止める。
「避けるかと思ったら、受け止めるか。ちょっと意外だったな」
「ちょっと、考え事をしてまして・・・・」
「敵を前にして、たいした余裕だな。それとも周りの視線が気になったか?」
実際、ここに入ってきてから他の生徒たちの視線は自分達に向いていた。あれだけ目立った以上は仕方ないと思ったが。
新十郎は受け止めていた木刀を弾き返し、ツバキとの間合いをとる。
「気を抜くなよ。怪我ぞ」
いや、さっき喉めがけて突きを放った人の台詞ですか、それ? 怪我でなく明らかに殺しにきてるかと思いましたが・・・・。と、心の中でつっこむ。
「因みにここにあるは武器はどんなに強い攻撃も痣程度で済むようになってるから安心しろ。ただし、痛みは本物だから、失神する奴もいるがな」
目とかでも問題ないのか?と聞こうと思ったが止めた。
とりあえずは目の前の相手に集中しよう。
「なるほど、本気でやっても死にはしないと・・・・」
「そろそろ口ではなく、体を動かそうか」
新十郎は構え、ツバキに集中する。次に気を抜けば、間違いなく失神確定。
新十郎の目つきが変わる。
そして、新十郎の左の首すじ目掛けて木刀が振り下ろされる。
一歩下がり、紙一重でかわす。
そして、新十郎はツバキの左脇腹めがけて打ち込む。
それを読んでいたかのように、ツバキは即座に木刀を切り返し止める。
あのタイミングで対応できるなんて。次はもっと早く打ち込まなければ。
すかさず、新十郎はツバキとの間合いを取る。
周囲から一気に声が上がる。
「いいぞ、新入生。一撃当てろ」
「ツバキ、手加減しすぎ。さっさと決めろ」
そして、一部の女子生徒からツバキに黄色い歓声が上がる。
だが、二人はそんな声も気にせず相手に集中している。
そして、しばらくにらみ合いが続いたが、新十郎が一気に間合いを詰めツバキの足元に斬りつける。
が、ツバキは木刀を立て攻撃を止める。
それと同時に新十郎の木刀にそって斬撃を走らせ、顎めがけて切り上げる。
新十郎はその攻撃を紙一重でかわす。
次の瞬間、新十郎の体に強い衝撃を受け後方に飛ばされる。
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