表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

抗争(3)

 テト、、、だよな。俺は肩のほうに顔を向ける。人間ってのは死に直面したとき、世界がスローモーションに動くように感じると聞いたことがあったがどうやら俺は今その状況らしい。

テトは口を動かしていたが何を言っているのかわからない。テトはその口を閉じた。


その時だ、俺の感じていた時間の感覚が元に戻った。と思ったが時間の感覚は戻っていなかった。いや、正確にはテトを除いて全てが遅くなっていた。


どういうことだ。どうして、テトだけ普通に動けているんだ。どうして、オークキングの動きは止まっているんだ。いや待て、俺は何でこの時間の遅さでこんなことを考えられるんだ。いや、そうか、死に直面した時の感覚で世界がスローモーションに感じたおかげで動くことはできないけど考えることはできるのか。


ここまでは理解できた。そしておそらくこの現象を引き起こしたのもテトなんだろう。なんたって動けているのがテトしかいないんだからそれしか考えられない。


テトは俺の肩から地面に飛び降りた。人間の姿をしている。降りるときに変身したようだ。ひどく疲れ切っているようにも見えるが作戦はうまくいったようだ。この状態でテトはオークキングを倒すつもりなんだろう。まさか、テトがこんなすごいことできるなんて思ってなかったな。この戦いが終わった後はテトにご褒美をあげないとな。


「はぁ、はぁ。間一髪だったよ。なんであんな一瞬で目の前に現れるんだよ。ダイルがやられそうだったからとっさに禁忌の術を使っちゃった。あと少し時間があればこれより負担が少ない魔法を使えたのにな。」


ん、なんだよ禁忌の術って。そんなこときいてないぞ。


「やっぱりやばいね。命と引き換えの術なんてやるもんじゃないよ。3回使ったら死んじゃうって誰か言ってたっけな。でもこれ、1回だけでも疲れすぎるよ、いや、疲れるっていうより魂が抜けてるみたい。はやく、倒しにいかないと。うまく体に力がはいらない、でも、この間に倒さないと。またあいつが動いちゃう。また、、、使うしかないのかな。」


おい、なにいってんだよ。普通の術で倒せよ、そんな術使うな。絶対にもう使ったらだめだ!テト、使わないでくれ。なんで、なんで、俺の声が届かねえんだよ!


「だめだ、体がいうこときいてくれないや。このままじゃ、ダイルも僕もあいつに倒されて終わるだけだ。大丈夫、あと1回ならまだ使える。時間が切れる前にやるしかない。」


おい、やめろ。やめてくれ。そんな危険な術を使わないでくれ。くそ、俺が無力なだけに、俺が相手の瞬間移動に気づいていれば、こんなことには。あの時の第六感を信じていれば。


「禁忌・崩壊」


いい終えるや否や、オークキングの体は崩壊していった。そう、崩壊という文字通りに。形状を保てないほど崩壊していき、オークキングだったものはただの粒子になり、見えなくなった。


おい、テト。なんで倒れてんだよ。まだ二回目だろ。動けよ、なんで立ち上がらないんだよ!


「嘘でしょ。まだ二回目なのに、なんで動けなくなってるの。だめだ、意識が、朦朧としてきて、とびそう。せめて、最後にダイルと話したかったな。神様の僕にとっての初めての友達、短期間だったけど自由に過ごせたこの時間は、、、一番楽しかったよ。」


全部聞こえてるんだよ! なにこれで最後みたいなこと言ってんだよ! くそ、くそ、早く解けろよ!


そのとき、時間の経過は通常のスピードに戻った。


「テト! おい、しっかりしろ!」


「ダ、イル? 最後の願いが、叶ったよ。はぁ、僕は死んじゃうみたい。僕が助けて、あげたんだよ。来世でのご褒美、たっぷり期待してるね。ご褒美は、何に、しようかな。よく、考えられないや。幸せな時間をありがとう。ダイルと過ごせて、たのし、かった、、、よ。」


まて、まて、考えろ。後悔しないように全ての神経を集中して考えるんだ! まだ、テトはかろうじではあるが息をしているんだ。このまま死なしてたまるか。考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ。いや、考えるだけじゃ、だめだ。人工呼吸、心臓マッサージ、最低限度の治療法をしながら考えるんだ!


テトに考えられる限りのことを尽くした。だが、テトが起き上がることはなかった。しかし、幸運にも意識はなくなっているが、息はまだある。


「くそが! ふざけんな! なんなんだ、この有様は。俺が未熟なために、俺の知識不足のせいで、こんなこと。」


俺はテトの胸を力強く叩く。心臓マッサージだ。


ドン、ドン、ドン、ドン、ドン。


そう、そのとき、その声をきいて思い出した。俺だけができる、俺にしかできない、テトをこの窮地から救いだす方法を。


≪モンスターをカード化しますか。≫


前回、初めてのレビューをいただきました。感動で体の水分全てが気化してしまうかと思いました。ブックマークが25件を超えました。読者様の評価、ブクマ、レビュー、感想が作者のモチベーションとなっておりますゆえ、作品を読んだついでにしていただけると作者が喜びます。。。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ