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抗争 (1)

敵のおおよその数は200。この作戦の要は俺たちだ。失敗はあの村のゴブリン達の死を意味する。絶対に成功させなければ。ここ一帯は幸運にも木々が生い茂っている。


隠れる場所を探すことは特別難しくない。ただ、不安な点は俺たちが奇襲をかけるタイミングだ。俺にはモンスターの召喚が可能だ。


だが、召喚継続時間という欠点がある。この戦いでの一番の不安点だ。いざ戦いになり、長引いた戦いをしてしまうと俺たちの勝ち目はなくなるだろう。


そのことを頭に入れながら俺は移動をし始めた。この戦いの最中でのカード化は戦いに集中したいこともあるから終わってからにしよう。


やはり多いな。200体という数を目の当たりにした俺の最初の感想だ。この数を過小評価していたわけではない。十分に想像していたはずだ。


しかし、実際に見ることと想像することはやはり違う。だがここで怖気ずくわけにはいかない。


ゴブリン達に借りた恩はしっかり返さないとな。みたところ、ゴブリン達の隊列は急いでいるわけではなく、比較的遅めのペースで進んでいるみたいだ。


「テト、戦闘中は俺のそばから離れるんじゃないぞ。」


「言われなくても離れる気はないよ。僕のお気に入りのこの肩の上からはね。」


ちなみに、テトには俺と二人の時には気にせず喋っていいということを伝えている。俺がどのように戦おうか考えていると、いきなりゴブリン達の進行ペースが速くなった。


「おいおい、いきなり走りだしたぞ。とうとうあいつらが村を見つけたということか。」


こちら側としては意識が村に集中することは好都合だ。最後尾のゴブリンが俺たちの前を過ぎたら隠れながら追いかけることにしよう。


「よし、追いかけるぞ。テト。」


ゴブリン達が村に着くまであと50メートルほどだ。ここからは気を張り詰めて好機を逃すわけにはいかない。ゴブリン達は村にたどり着いたようだ。


村の入り口が1つになっているため一斉に侵入することはできていない。そして上からの投石で相手の戦力を削っている。どうやら考えた作戦はうまく機能しているようだ。


だが、塀がもつのも時間の問題か、圧倒的な数量の差で押されてきている。ただ、敵のゴブリンを密集することができた。


敵のゴブリンをできるだけ引き付ける。この第一関門はうまくできた、あの村は少ない戦力ながらよく頑張った。ここからは俺たちの出番だ。失敗は許されない。絶対にこの軍勢を倒す。


俺は隠れていた木々から飛び出し、叫ぶ。


「召喚!!」


その言葉とともに合計7体のモンスターが現れる。ファングスライム、スラルトン4体、ビッグスライム1体、ビッグスケルトン1体だ。


ゴブリン達も突然のモンスターの出現に驚く。だが、村のゴブリン達と比べると少し驚きが浅い。これはなぜだ。しかし、そんなことを考えている暇はない。このチャンスを逃すことはできない!


「みんな行くぞ! 最速全力であいつらを倒す!」


その掛け声とともにモンスターたちが戦闘を始める。ファングスライムはその俊敏さを活かし、真っ先に敵に突っ込む。それに続いて、他のモンスターも敵の群れに突き進む。


やはり、FランクモンスターはHランクとは一線を画すものを感じる。なんたって、スライムファングの突進にゴブリン達は対応できていないのだ。


突進を止めようと、正面から受けようとするものもいるがそんなことはもろともしない。突進の衝撃で吹き飛ばして終わりだ。かといって、横からなど止めることはできない。スピードに追い付けていないので横から捕まえることは不可能だろう。


だが、ゴブリン達はとうとう束になって正面から受け止めることに成功した。そこに戦闘中のスラルトンが助けに入る。これで捕まえることは振り出しからだ。


そう、戦力差は均衡していると思われていた戦いだったがFランクのモンスターが協力して戦闘することによってそれはランク以上の力を発揮できるモンスターたちになっていたのだ。


それからはこちらのペースだった。適切なコンビネーションで相手を翻弄し、蹴散らしていく。蹂躙ともよべる戦いになりつつあった。ゴブリン達の総数が半分以下になろうとしたときだった。



 ゴブリンとは異なる姿をしたものが忽然と現れる。そのモンスターが現れた地面は空間がえぐれたようにへこんでいた。そのモンスターの威圧感、存在感、圧倒的だった。俺は急いで村長から借りた魔道具を使う。


種族:オークキング


「嘘だろ。よりによってなんでこいつなんだよ。」


村長からこのような話を聞いていた。


「ゴブリン達の中には進化をし、オークになる個体がいる場合もあります。そうそうなることもないのですが。オークの力は私たちゴブリンとは比べ物になりません。ですが、単体ならばダイル様の所有のモンスターで退治できるかと。オークのランクはGなので。しかし、危惧するべきことは次のことであります。


オークの進化個体 “ハイオーク” です。このオークは種類も多くそれぞれある能力に特化していることもあるうえ、ランクはFなので苦戦を強いられるでしょう。ここから先に話すモンスターについては私も目にしたことがなく、詳しく話すことはできないのですが知っている情報だけでもお伝えしようと思います。


オークのレア進化種である “オークジェネラル” とそのオークジェネラルの特別編異種である、 “オークキング” についてです。まず、オークジェネラルですがそのランクはE。このオークはゴブリンやオーク達を指揮することができるそうです。


そして、オークキングですが噂によるとオークやゴブリンを支配することができ、自分の群れがピンチになったときに突如忽然と現れ、敵対者を蹂躙し、その後また姿をくらますなどの噂があります。そして知能も高いと。推定ランクはCからBだそうです。


おそらく出会うことはこの一帯ではないでしょうから気にすることはないのですが、もしものために頭の片隅にでも入れておく方が安全でしょう。


オークキングは各場所に群れを持つ傾向にあるとの噂もあるので。私のこの魔道具、モンスターの判別ができますゆえお貸しします。」


一番来てほしくないやつが来ちまった。こいつが来ることなんて全く考慮にしてなかった。そもそもなんでこんなところにこんなやつが来るんだよ。


「フハハハハ、ミナイマモノタチダ。タダウンガワルカッタナ。オレノコブンヲコレダケコロシテクレタンダ。ニガスワケニハイカナイゾ。」


そういうとスラルトンに向けて拳を放つ。距離はあり、当たっていない。そうだというのに、スラルトンは吹き飛び、青い粒子となり消えた。俺のカードにもなっていない。倒されたのだ。たった一突きの拳の衝撃波に。


「カワッタキエカタダナ。コノアオイヒカリハナンダ。タダノマモノデハナイノカ。」


まずい、絶体絶命のピンチだ。こいつをどうにかする手段はないのか。考えてもあの圧倒的な力の前では全てうまくいく気がしない。くそっ! 


「ダイル! 僕に考えがあるよ。どのくらい効果があるかはわからない。でも、倒すことができるかもしれない。」


 俺はテトを信じ、その作戦にかけることにした。


その作戦とは、、、


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