いざ!!新天地へ!!
良く寝た。一言でこれに尽きる。俺達は村長に聞くところ丸1日寝ていたらしい。
「おいおい、まじかよ、初めてこんなに寝たぞ」
少し驚いた、声が大きかったのか、テトが隣でもぞもぞ動き出した
「ふぁー、うるさいなぁ、やっと起きたの。君が寝ている間大変なことにあったよ。ゴブリン達とは人間の姿で初めて会うわけだから、説明がややこしかったんだから。ダイルの仲間で通したけどね。」
猫の姿でテトは言う。
「オークキング、強敵だったね。でもどうして滅多にいないのに遭遇したのかな。」
そうか、俺たちはオークキングを倒したんだ。でもなんでいたのか。考えていると、ゴブリン達が部屋に殺到してきた。どうやら、村長が村の者に俺達が目覚めたことを伝えたらしい。
「wbbvbwvbuwhimt!niusbvuivbh!」
恐らくみな感謝の言葉を述べていると思うのだが、わからない言語と一斉に話しているのでなにをいっているのかがわからない。俺は後から来た村長にもう十分だと伝えてくれと話し、ゴブリン達に帰ってもらった。
「ダイル様、今回の件は本当にありがとうございました。私たちのできることであればなんでも仰られてください。」
「そうだな、5つ要求がある。まず、俺が今度立ち寄ることがあればここを宿として使わせてくれ。次に、俺達はここを出ていくつもりだ。だが、当初話したように食料がない。そこで、何日か分の食料を欲しい。3つ目にモンスター判別ができる魔道具をもらいたい。これからの旅に使いたいと考えているんだ。4つ目に簡易のテントのようなものを展開できるものがあればそれも頼む。最後に、俺と一緒にいた人がいたとおもうんだが、その人物に関しては詮索しないでくれ。説明が複雑でうまく話せないと思う。」
「わかりました。私たちは是非名前も知らないもう一人の方もダイル様とともに歓迎させていただきたかったのですが。食料に関しては準備ができ次第すぐにご用意致します。残りの要求に関しても全て了承させていただきます。また、我らゴブリンの群れはダイル様の従属となりますゆえ、どのような要求でも都度仰られてください。」
そう言うと、村長は出ていった。
「凄いことになったね、従属だってさ、ダイル。」
ニヤニヤしながらテトが話しかけてくる。
「別にそこまでじゃなくてもいいんだけどな、なってくれるならありがたくなってもらうよ。そういえば、聞きたいことがあるんだ。」
「ん、なに。」
「テトをカード化した時に「神への冒涜」っていう称号を手に入れたんだけど、何か知ってる事はあるか。明らかにやばそうな称号っぽいんだよな。」
テトは少し考えたように、眉間にしわを寄せる。
「んんー、わからないな。僕の知っている限りではそんなもの知らないんだけど、神の世界には称号やスキルが詳細に記録されている書物があるからそこでわかるかもね。まあ、普通いけないし、迷宮入りだろうね。」
「そうか、今はなにも起こってないから大丈夫か。なにもできないしな。」
「それより、今後はどうするの。」
テトは興味津々に目を輝かせて聞いてくる。
「そうだな、とりあえずは、オークキング戦で失った戦力の補強が最優先課題だな。手持ちのカードはスライムファング1枚だけだ。乏しい戦力じゃこの先どうなるか不安だからな。この周辺でスライムとスケルトンをカード化してから新しい場所に新モンスターを求めていこうとおもってるよ。」
「いいね、やっぱり新しいことするのは楽しいよ。今まで退屈だったからね。そうと決まれば準備だ準備だ。」
「よし、まずは、ここいらのスライムとスケルトンを集めるか。」
村長に出かけることを伝え、数時間経過し、スライムとスケルトンを以前のようにスライムファングを使って倒し、カード化することができた。
「これくらいで大丈夫だろ。ある程度の戦力は補強できたな。」
テトも頷きながら
「そうだね、ところでせっかく僕はカード化して使えるのに使わないの。」
「俺はテトをモンスターだと考えてないんだ。だから俺が命令することはないし、自分の意志で動いてほしい。俺達はもう友達だろ。」
テトは、照れながらも嬉しそうだ。
「友達か、ダイル、みんなに自慢してもいいよ。神様の最初の友達に慣れたってね。」
耳をぴょこぴょこしていて嬉しさを隠しきれてないとこが、可愛いな。正直に嬉しいと言えないところがまるで猫のツンデレのようだ。
そうこうして、ゴブリン達の場所に戻ると食料がふんだんに入った袋が用意されていた。
「ダイル様、お待ちしておりました。食料も用意でき、こちらの準備は全て終えました。」
「なんか、食料が多くないか。」
「なんかおっきな袋だね。」
「希望通りの数を皆に募ったのですが、皆がせめてとたくさんの食料を差し出したので、予想以上になりましたが、少しくらい多い方がよいのかと思い、そのまま準備させていただきました。」
ありがたいんだが、明らかに量が多いんだよな。それより、食料不足にはなっていなかったのか。
「それはありがたいことだが、食料不足にはなっていないのか、抗争の原因になっていたんじゃないのか。」
「はい、正直に言うと確かに食料不足ではあります。ですが、その状況でもあっても助けてくれた恩返しがしたいと、皆が差し出したのでこのようになっています。」
ゴブリン達がこんなにも義理堅いなんてな、全然予想していなかったことだ。さすがにすべてもらうことは悪いから、ある程度返そう。多すぎると旅の邪魔にもなるしな。
「ありがたいことだが、この量はかえって旅には邪魔になる。3日間分に減らしてくれ。みんなありがとう。」
それから、量を減らしてもらっている間に村長とは次の行き先について話をした。村長いわく、周辺ではそこまで強い魔物はいないものの、北の方に上がるとだんだんと強くなるらしい。また、オークキングの出現要因については全くわからないとのことだ。仮に生態系に異常が起こっているのであれば安全な場所であっても危険になりうることがあるとのことだ。北はまだやめておこう。
準備が終わったようだ。
「みんな、元気でな。」
別れの挨拶をする時に泣いているもの、叫んでいるもの、笑顔で手を振ってくるもの、それぞれいたがゴブリン達との出会いはとてもよかったものだ。これから出会う種族も友好的であることを期待しよう。
「みんな、良いゴブリン達だったね。僕もウルウルはこなかったよ。」
いや、こんかったんかい。ツッコもうと思ったけど、心の中で止めておこう。寂しそうに見えたからテトなりのツンデレなのかもしれない。
これからは、拠点はテントだ。前よりも居心地は悪いかもしれないが十分な簡易拠点にはなるだろう。これからの旅が楽しみだ、どんなモンスターがいるのか、融合すれば何が生まれるのかワクワクしかない。
結構な時間を歩いた気がする。
「テト、ここを簡易拠点にしよう。湖が近くにあって、水に困らないことと、大きな木があるから風よけにもなる。」
「いいね。僕も気に入ったよ。この場所、空気も綺麗だよ。これからの予定はどうするの。」
「やっぱり、まずは周囲を偵察してからモンスターを見つけて倒したいな。新しい戦力が欲しい。」
そうゆうと近くの草むらが揺れたような気がした。
近くにいって確認してみると、、、
おもしろいとレビューを書いてくださった方、ありがとうございます。非常に嬉しく、逆立ち倒立して辛子明太子を目に入れることができそうなくらい嬉しかったです。