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神のカード化!?

《モンスターをカード化しますか。》


俺の思考は一時中断された。テトのことか? あたりを見渡すが、それらしきモンスターは見当たらない。おそらく、テトのことだろう。この声が聞こえるということはテトは死んでしまったのか。受け止めたくはない事実だが、そういうことだろう。


今は落ち着け。落ち着いて、物事を考えるんだ。テトを生き返らせることができるかもしれない。


モンスターをカード化だ。


《モンスターの解析中です。》


よし、順調に進んでる。


《カード化により、 称号「神への冒涜」 が付与されます。それでも行いますか。》


なんだよそれ、そんなもんどうだっていい。今は生き返らせることが一番大事なんだよ。


《モンスターをカード化します。》


この声と共にテトの体は光を発していく。いつもと光の色が違う。通常は青色のはずなんだが、今回は黄色だ。考えるのは後回しにしよう。今はどうなるか、祈るだけだ。


一点に光が集中する。そして、、、


《モンスターのカード化に成功しました。 称号「神への冒涜」を獲得しました。》


あった。俺はそのカードを拾う。



種族:バステト

ランク:A+

レベル:1


筋力E 防御力E 敏捷D 魔量B 魔力B 運気C スキルA+


スキル:禁忌(生命又は魂を代償とし、絶大な力を使用可能。魔法の種類により代償のレベルが異なる。)


神域(神のオーラを身にまとう。特定種に有効。)


大地魔法(自然の力に呼びかけ、力を使用可能。魔法の種類により、使用魔量が異なる。)


召喚継続時間:∞

再度召喚のためのクール時間:∞



とりあえず、うまくいったみたいだ。おそらく、スキルの禁忌でここまでダメージを受けていたんだろう。やはり危険すぎるスキルだ。はやく戻してやりたいのはやまやまなんだが気になることがある。それは召喚継続時間と再度召喚のためのクール時間だ。



これは永遠を意味するんだろう。ほかのカードにこんなことが書かれていることはなかったからこれは異例だ。そしてこのカードはひとたび召喚し、帰還を行うと一生召喚できないことを意味するのだろう。それでも、俺はすぐに考えをまとめた。


「こんなのずっと一緒にいれば問題ない話じゃないか。」


俺は唱える。


「召喚。」


カードから光があふれだす。ちっぽけなカードからは想像もできないほどの量の光がとめどなく流れ出る。


その光はやがて集まりだし、形を形成していく。


「ん。あれ、僕はたしか、禁忌をつかって、、、どうしたの、ダイル? なんで泣いてるの。」


「心配かけさせやがって。そんな危ない魔法を使うなんて聞いてなかったぞ。でも、よかった。ほんとに、ほんとによかった。」


「ちょっと待って、整理が追い付いてないよ。結局、オークキングは倒せたんだよね。」


「ああ。テトのおかげだ。いまからあのあとどうなったか、いちから説明してやる。」




俺はテトが禁忌を使った後からのことをすべて話した。テトが倒れてから俺が行ったこと、時間が遅くなった時の出来事、テトが俺のスキルによってカード化されたこと、召喚できるが帰還はできないこと。これらの話を聞くとテトはひどく驚いていた。


「そんなことになってたんだね。まさか神の僕が人間のダイルに助けられるなんてね。驚いちゃった。しかも、あの時間感覚のときに意識がはっきりとあったなんて。信じられないけど聞いてる限り嘘じゃなさそうだね。ちょっと恥ずかしいこといってたっけな。。。」


「テト、真剣に聞いてほしい。君の禁忌の術はとてつもなく強い。だが、危険すぎる。今回は俺のスキルがあったから助けることができた。でも次はないんだ。カード化されたモンスターたちは倒されると戻ってこない。つまり、テト、君が次に倒れるようなことがおこると本当に終わりなんだ。だから、使わないでくれ。自分を犠牲にしてまで使ってほしくないんだ。」


「僕も好きで使いたかったわけじゃないよ。ただあの状況じゃ使わざる終えなかったんだよ。でもダイルからそこまで言われたから、使うのは避けることにするよ。僕もまだまだってことだね。」


「危険なことになってすまない。そして、助けてくれてありがとう。」


「助けてもらったのは僕のほうだよ。まだまだ未熟ものだけどこれからもよろしくね。ダイル! あ、ゴブリンたちが来たよ。騒がしいね。あははは。」


テトが見せてくれた笑顔は、俺の不安を吹き飛ばすような純情な笑顔で、俺は自然とつられて笑っていた。


駆けつけてきたゴブリン村長とそのゴブリン仲間たちは俺たちを村に歓迎し、戦の勝利を、喜びをみなで分かち合っていた。


村を襲ってきていたゴブリンたちはどうなったのかを聞くと、一瞬の間に体が崩壊していったそうだ。これはテトのおかげだな。オークキングだけじゃなく、手下のゴブリンまでも術にかけていたのか。まったく、無茶をするやつだ。


「我らの戦いが終わったぞ。お前たち、救世主様の手当を急ぐのじゃ。」


俺達はゴブリンたちのヒーローとなっていた。村長に聞いた伝承通りになっちまった。まあ喜ばしいものだ。


この戦いで失ったものはある。ただ、得たものも大きい。


幸い、宿は今のところゴブリン達が貸してくれている。急ぐことはないんだ。ぐっすり休んでから考えることにしよう。ただ気になるのはあの称号 「神への冒涜」 だ。ただ今のところなんの実害もない。これについても考えないとな。テトはもう寝ているな。おきたら聞くことにするか。


これから、ゴブリンたちと話をしてどうするかまた決めなくてはならない。人を探しに出かけるのか、それともモンスターを倒して戦力を補強するのか、あてもなくどこかにいくのか。


まだ、俺達の旅は始まったばかりだ。


お読みいただきありがとうございます。ブクマ、評価、レビューがモチベーションになっておりますので片手間にしていただけると作者が喜びます。

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