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ギルメン、転職という言葉が頭を過る

「ん?カナッタ支部でテイマー兼ハンターの臨時募集がかかってるな。ベータさん何か知ってますか?」


 回覧されている書類をみていると、その中に臨時メンバー募集のチラシが入っていた。この時期に募集がかかるのは、採用予定者が何らかの理由で採用されなくなったというケースがほとんどだ。例えば学校卒業が採用の条件となっていた場合、卒業ができないとわかると内定取消になる。当人にとって悲劇であるのは間違いないが、突如として欠員が生じた部署の人間にも不幸が訪れるのである。


 テイマーはどのギルドでも人材が不足していて、我がギルドも例外ではない。大切な人材であるがゆえにもっと好待遇でも良いはずなのだが、なぜか我がギルドではテイマー専任ではなく、ハンターとテイマーの兼任という扱いを受けていた。


 ベータさんは俺の先輩に当たり、このイナッカ支部で捕獲したモンスターの管理を担当していた熟練のテイマーである。テイマーのことはテイマーに聞くのが早いのだ。


 ちなみに、ベータさんは東部魔物牧場(モンスターファーム)への転勤が決まっている。家畜モンスターをモフりながらスローライフが送れる職場として、テイマーには人気の職場らしい。しかも、近くの森にはケットシーも住んでいるそうで、運が良ければ肉球をプニれるというおまけまでついてくるという話だ。羨ましい限りである。


「ほら、前にあの支部で失踪したハンターがおったやろ?あいつはテイマーでもあったんや。これはその欠員補充やな」


「それって確か1年も前の話ですよね」


 1年もあれば臨時募集ではなくて、新たに採用した正式なメンバーを配属することもできるはずだ。それをしないなんて誰も得することなどないはずなのだが。


「それが人事のやり方や。不手際で欠員を出した責任を2年以上に渡って取らされとるわけやな」


 なんと、人事部の無意味な制裁は、執拗に継続されていたのだ。


「あの支部の知り合いに聞いたんやが、新採用で配属された子はよく泣いとるらしいわ。聞いとるこっちまで胸が痛うなる。可哀そうやのう」


 後から入ってきたメンバーまで仕打ちを受けるのは明らかにおかしな話だ。

 そんな奴らに指図されていいように扱われているかもしれないと考えると、なんとも情けなく感じる。


 次の転勤先が満足できるものでなければ転職を考えてみるか。その時、俺もふとそんなことを考えるようになったのである。


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