表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した世界はまるでRPG  作者: 葉月 悠羽
3/8

1、2 試験

大分期間空けてしまった…。ルーズリーフ2枚くらい無駄にしました。まる。


「レイ様ぁ〜準備出来ましたか〜」

そういってうちで働いてるメイドさんがノック無しで部屋に入って来た。

「メルさんノックはしようよ…」

支度をしてた私はそのメイドさん──メルに苦笑いを返す。


「すっすみません・・・あっ、レイ様そろそろお時間的に急がないと」

「ありがと!いってきまーす」

精霊達と小テストもどきをした日から一週間が経過した。

今日はルビア暦37年五ノ月5日、魔法試験当日。

外に出ると辺りは試験を受ける子、その親、見物する人、そんな人達で溢れていた。

・・・この町って意外と人いたんだね。

学校には通ってなかったし遊ぶにしても精霊達とばっかり遊んでたし知らないのも無理ないよね、うん。


───ぼっちじゃないよ!!幼馴染はいるし!!!



「レイ、おはよう。とうとう今日だね、試験」


心の中で叫んでいると噂をすればなんとやら。人混みを押しのけ一人の少女がこちらにやってきた。幼馴染のサインだ。


「サインおはよう〜」


サインは青い髪に桃色の瞳をしている。短めの青髪の中にところどころレモン色っぽいメッシュ?が入っている。綺麗だけどどういう原理なんだろうね。染めた訳では無いらしい。


「景気づけに魔法薬飲む?試作品だけど」

「大丈夫!!」


即答しておく。


──サインの趣味、魔法薬作り。やばいやつしか見た事がないし、たまに爆発する。怖い。


「おっ!レイやっと来たか!」

世間話しているとサインの来たのと同じ方角から足音を立てて大きな図体の男がやってきた。私のお父さんであるルクトス=ダイ=リーヴスだ。


「おじさんおはようございます。町長のお仕事いいんですか?」


この図体しておいて町長である。ちなみに今日の仕事はほかの役員の人と試験の審査をすること。


「ああ、他の奴らにおしつけてきた。大丈夫だろ、町役所の奴ら全員いるし、試験の審査はちゃんと出るからよ」


はっはと笑う町長(笑)。よくこれで町長できるね。


「審査席からの応援は禁止だから先に言っとくがレイなら大丈夫だ、頑張れよ!」

「ルクトス様見つけましたのよー!」


「げっ!ウォレア!?」

お父さんの驚いた声に見上げていた視線を少し下に下げるとお父さんの服の裾を引っ張る金髪をツインにした青い瞳の少女がいた。


「誰?この人」


「副町長の娘・・・だったっけかな」


副町長って何?お父さんの尻拭い?可哀想…。


「ルクトス様がいなくなったらお父様のお仕事が増えますの!一応、町長なのですから早く戻ってくださいですの!」


そういってお父さんの腕をぐっと掴むと思い出したかのようにぐりっと私の方を見て


「あ、レイさん!本年度の試験のトップは私(わたくし)、ウォレアがいただきますの!負けませんのよ!」


そう言い放って金髪ツイン──ウォレアはお父さんをズルズルと引きずっていった。…あれを引きずるって凄くない?


「試験直前に身体強化魔法使うって余裕があるんだねぇ」


サインの呟きに素早く反応。


「身体強化魔法?何それ」

「うん、属性が関係ない無属性の魔法。一魔力ある人は皆使えるんだけど・・・習ってない?」


・・・習ってないね、うん。

というか頻繁に抜け出してた・・・。

精霊達もそんな話してなかったはず。あとで聞いてみようっと。

私の表情から察したのかサインは


「まあ大丈夫でしょ。いつでも練習できるし」


「そうだねぇ…ってそういえば試験まであとどれ位?」


時間の基準は何故か前世と同じで助かるんだけど、試験をクリアしないと時計がわりのアイテムが貰えない。時間が知りたければ持ってる人に聞くしかない。

ちなみにサインは去年試験をクリアしたから胸元のタイに丸っこいそのアイテムが下がっている。

サインはタイを少し浮かせてそこにあるレモン色の丸い石を見つめて


「試験まで…あと15分くらい?」

「嘘っ!?急がなきゃ!」


私は全速力で会場の広場へと向かった。



「これより、試験を開始する!」


なんとか開始前には着いた。少しくらい練習したかったなぁ・・・。


「最初の試験内容は魔法を使用し属性と魔力値を確認するものだ。それを一次試験とする」


ぞろぞろと試験を受ける人が並んでいく。とりあえず最後尾に並ぼうとしたらそこにさきほどお父さんを引きずっていったウォレアがいた。


「あら、レイさん。さっきぶりですの」


と彼女はにこっと笑顔を見せた。

さっき強気に勝利宣言されたけど友達になりたくて空回りタイプかな。悪役令嬢タイプかと思ったら違うらしい。ツンデレ娘かな?


「そういえばレイさんはあの魔道具見たことありませんよね?家庭教師を雇っていらっしゃいましたし」


ウォレアは試験を受ける男の子の前に置いてある水晶玉のような物を指差す。

私、他人の試験とか見に行こうとも思わなかったからね。

魔道具っていうのは魔力を込めてある道具のこと。それでコンロや懐中電灯みたいな働きをするものも増えている。そういう物は主に魔力が足りない人や属性適正がない人が使うらしい。適正とかあるのね。


「あれに魔法を使った人の最大魔力値、適正属性などが表示されるんですの。学校にあったレプリカは光るだけでしたけど」


男の子が水球を作って水晶玉を覆い、風で霧散させた。水晶玉の色は無色透明から青と黄緑と赤のマーブル模様になった。


「あの子が使ったのは二属性でしたけど、適正は水、風、炎の三つですの」


なるほどねー。


それからしばらくウォレアと喋ってると彼女の番になった。


「それでは行ってきますの!」


とウォレアは水晶玉の前に走っていき、前に立って詠唱を始めた。


「我が魔力は水に通ず。顕現せよ、水の防壁(ウォーターシェルター)


薄い水の層がドームのような形をとり、水晶玉を覆った。


「我が魔力と共に蒼空より下りし(いかづち)と混じり合え!」


突き出した指先から稲妻が飛び、水層と混じりあって大きく波打った。


魔法を解除させ、水晶玉を覗き込んだ先生は「4600!」と告げた。他の子供が2000~3000くらいが平均だったからダントツ一位。色は赤と橙と黄緑を中心に、その周りに他の属性の色も飛んでいる。絵の具を振りまいた感じ。

次は私かな、と準備しようとしたら

『レイ』と頭の中にチャット風な文字が表示された。私のスキルのひとつ、「心話」だ。まあそれ利用して送ってきてるのはヨイだけどね。


『次でしょ?大丈夫そう?』

『そうだけど…なんでわかるの?どっかで見てる?』

『さぁね』


…どっかにいるねこれは。


『ま、いいか。これ、実験撃ちでいいよね?』


そう返すと『ちょっ…試験で実験ってお馬鹿なの?ダメに決まってるでしょ!ねぇ返事しなさ…』と慌てたような文が来たから振り払うように心話を切断した。早く試験やっちゃおう。

所定の位置につき、先生の「始め!」という合図と同時に魔力を練る。

練り飴みたいに魔力をこねこねっと。これをすると魔力消費に対する効果が上がるんだよね。原理は知らないけど。


組み合わせは…適当でいいかな。練られたであろう魔力を3つに分けて、黄色、青色、黄緑色に染め上げる。雷、水、風の3つのシンボルカラーだからわかりやすい。

適当に出しちゃったからかな?必要な魔力以上に出してしまった。

いつの間にか私の周りにいた小さな精霊達が余った魔力を切り取り、色を抜いて持っていっちゃった。まあ大丈夫でしょ。


帯電雲(ボルトクラウド)


短く唱えた呪文に応じて先程配置した三色の魔力が積乱雲に変化する。規模は流石に犬や猫くらいの大きさだけど雲から落ちる雨、雲の下で吹き荒れる風、雲の中に電気を貯めて落としたりとできるだけ再現してみた。



雲を消したあとに先生が慌てて水晶玉を覗きに行く。雷雲は危なかったかな?

あっ、先生の背中で色が見えない…。


水晶玉を覗いた先生が「ん?」と首を傾げ審査員席の方を向いて手招き。それを見てお父さんを含めた審査員さんたちが集まってきた。何事?と思ってるいたら「レイさーん」とウォレアがこちらに歩いてきた。


「お疲れ様ですの。短縮詠唱はビックリしましたの。それで何故審査員の方々が集まっていらっしゃいますの?」

「なんだろうね、これ」


私もわかんない。てか結果が見たい。

2人で首をかしげているとお父さんがこちらに歩いてきて、突然私達を両脇に抱えた。


「見えるか?」

確かにこの高さなら水晶玉見えるかもしれない。

そう思って目を向けた先にあった水晶玉の色は

───()()()()()()()

「えっと…これって何属性の色?」

「わかりませんの。それ以前にレイさんは水、雷、風属性の魔法は使っていたはずなのでその色が無いのは変ですの」

確かに私は3属性分の魔法を使った。なんで他の人たちみたいにマーブル模様が出ないの?エラー?

「さて、レイの謎な結果も見たことだし、ちょっと来てもらうぞー」

と私達を抱えたまま歩き出す。

「ちょっ…私もですのーっ!?」

ウォレア巻き添え。南無三。



しばらく歩いた後お父さんは私達をドサッと地面に下ろした。

受け身取れなかったから痛い…。

「うー…痛いですのー」

呻くウォレアを確認してから顔を上げるとそこには一軒の小屋があった。

「この小屋の中で待っとけ。俺は帰る、じゃあなっ!」

「雑っ!」

詳しい要件も言わずお父さんが帰ってしまった。あの髭燃やしたろか。

仕方ないから言われた通り小屋に入る。もちろんノックをしてから。

部屋の中は木製の床で奥には引き戸。

「…そういえばこの小屋ってこの町を護ってる精霊様のお家だったはず…ここでなにかするのでしょうか?」

「なんでこういう説明省いて行っちゃうかなぁ…というか偉い人のお家なら無断で入っちゃダメなんじゃ…?」

どうしたらいいかわからず2人でキョロキョロしていたら引き戸の向こうから声が響いた。


「──この時期にお客さんは珍しいわね。そんなところにいないでこちらの部屋に来なさいな」

サインをもう少し出したかったんですけどもほとんどの出番がウォレアちゃんのものになりました!ドンマイ!

精霊様ってどんな人なんでしょうね〜(雑)

次回、始まりの町ことジマリの町を守護する精霊様とのおしゃべりになる予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ