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廃校になった小学校には危険がいっぱい

作者: 日下部良介

笑えるホラー企画『笑ホラ2017』作品

 夏休みに中学校の同じクラスの友達同士で肝試しをやる事になった。幽霊とかお化けがまるで苦手な私は参加したくなかった。だけど、秋月くんがやると言ったので私もつい手をあげてしまった。


 秋月くんとは3年生に進級してから同じクラスになった。席が隣だったこともあり、意識するようになった。

「浅井さんって可愛いね」

 彼のその一言が私の心を奪った。



 肝試しの場所は廃校になった小学校。心霊スポットとしてテレビでも取り上げられた。暴行事件が連発していると言う噂も耳にする。

「浅井さんと一緒でよかった」

 ペアを決めるくじ引きで私とペアになった秋月くんがそう言って微笑んだ。私は思わず赤面してしまった。


 校舎内は冷んやりとしてかび臭く、床にはゴミなどが散乱していた。私たちは順路を示す矢印に従って進んで行った。

「なあ、こっちへ行こう」

「えっ? でも、そっちは順路じゃないよ」

「こっちの方が早いから。浅井さんも早く外に出たいでしょう?」

 確かにこんな薄気味悪いところは早く出て行きたい。そんな思いで私は秋月くんについて行った。その頃から、私たち以外の何かの気配を私はずっと感じていた。肝試しは一組ずつしか校舎内に入らないはずなのに。

 けれど、もう出口はすぐそこだった。しかし、ここにきて秋月くんがトイレに行くと言った。私は一人で待つのが怖くて、秋月くんと一緒にトイレに入った。すると、秋月くんに腕を掴まれ、個室の中へ引きずり込まれた。

「静かにしろ! 見つかったらヤバいことになるからな」

 月明かりに照らされた秋月くんの顔が悪魔のように見えた。『助けて!』そう叫ぼうとしたけれど、恐怖のあまり声が出ない。秋月くんは私を羽交い絞めにして口をふさいだ。

 殺される!

 私はそう思って覚悟を決めた…。



 気が付くと私は自分の部屋のベッドで寝ていた。

「夢?」

 そう思ったのだけれど、肝試しの途中で気を失った私を友達が家まで送ってくれたのだと母に聞かされた。

 テレビのニュースを見て驚いた。


~心霊スポットの連続暴行犯が逮捕されました。犯人は犯行に使用していたクロロホルムを自分で嗅いでしまい昏睡しているところを…~


 

 次の日、秋月くんから電話があった。

 あの時、トイレに入った秋月くんは犯人が女性を連れ込んだところを偶然見てしまったのだと言う。それで、私と一緒に個室に隠れたのだそうだ。声を出したら見つかると思って私の口をふさいだということで、乱暴なことをしたと謝ってくれた。






笑えなかったかな(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] 企画運営お疲れ様です。 楽しい企画をありがとうございました。 読ませていただきました。 先ずは、中学生が、暴行事件が発生している心霊スポットになんか、行ってはいけません。(笑) 行かないと…
[良い点] 犯人のオチ、笑えました(*^▽^*) あるあるですけど、ストーリーにうまく溶け込んでいたと思います。 そして、本当のラスト、爽やかで、読後感良いですね♪ 二人の今後、気になります♪
[一言]  予測不能の展開や、キャラクターの行動はホラー的で興味深かったです。  ただ犯人と見せかけて救った展開をするには1000文字より多くの文字数で見たいネタでした。  もっと広がりが有りそうだっ…
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