第14話 最強の妖怪フーライとの最後の戦い(3)
「行くぞ! ええ~いっ!」
「うわっ、わわわっ!」
柿五郎は、両手で持ち上げたフーライを思い切り反対側の石壁に向かって投げつけました。すると、フーライはそのまま一直線に石壁にぶつかりました。
柿五郎は、フーライがどうなったか確かめるために石壁の方向へ行きました。しかし、そこにはフーライがかすり傷1つもない状態で待ち構えていました。
「んぐぐぐぐ……。石壁へ思い切り投げつけてやっつけたはずなのに、どうしてなの?」
「ぐふふふふ! さっきから何度も言っているだろ、おめえの攻撃なんか全然効かないとな!」
普通だったら、石壁に強くぶつかると痛々しい様子でそのまま倒れ込むはずです。しかし、鋼の体つきを持っているフーライは、まるで何事も無かったように堂々としています。
「それよりも、おめえの周りをよく見ることだな」
「周りを見るといっても……。うわっ、うわああっ!」
柿五郎が自分の周りを見渡すと、そこには青白い人魂がいくつも現れました。これを見た瞬間、柿五郎は思わず背筋が凍るように震えています。
「ぐふふふふ! おめえは人魂をよく恐がるようだし、それで毎日のようにおねしょをしているようだなあ」
「うわああああっ! こっちにこないで! こないで!」
フーライは、柿五郎が人魂を恐がっている様子を不気味な笑みを浮かべながら見ています。一方、柿五郎は追いかけてくる人魂から必死に逃げています。
しかし、柿五郎は人質になっているお母さんの前でぶざまな姿を見せるわけにはいきません。すると、柿五郎は閉まったままの引戸の前に立ち構えることにしました。
「おれに始末されるために、わざわざここへやってきたのか。いい度胸だなあ、ぐふふふふ!」
フーライは、柿五郎が自らの死に場所を選んだことに不気味な声で大笑いしています。しかし、柿五郎はここから反転攻勢に出るために、あえて閉まっている引戸の前へやってきました。




