第14話 最強の妖怪フーライとの最後の戦い(2)
「どんなに大失敗をしても、それは子供だったら当たり前のことだい!」
「まだ言うのか! 5歳にもなって大失敗を繰り返しているようなら、おめえにはこうでもしないといけないようだな!」
柿五郎は、おねしょやおもらしの大失敗は元気のシンボルであると大声で言いました。しかし、フーライは大失敗を繰り返す柿五郎の声に耳を傾けることはありません。
「どりゃあっ! どりゃあっ! どりゃあっ!」
「うわわっ! んぐぐぐぐっ、んぐぐぐぐっ……」
フーライは柿五郎を逆さまに持ち上げたままで、何回もジャンプを繰り返しています。柿五郎は、フーライによるジャンプの振動でかなり苦しそうです。
しかし、柿五郎はこの状況から逃れるために、お腹に力を入れていたそのときのことです。
「プウップウップププウウウウ~ッ! プップッププウウウウウウ~ッ!」
「うわっ! わわわっ! よくもおれの顔にくさいおならを……」
柿五郎は、でっかい音の元気なおならをフーライの顔面に2回続けて見事に命中させました。これには、さすがのフーライも鼻をつまむほどのくさいにおいということもあり、柿五郎を逆さまに持ち上げていた両手を思わず放してしまいました。
「いてててっ……。でも、これから立ち向かって行けば勝てるかもしれないぞ」
「よくもくさいおならをしてくれたな! 絶対に許さないぞ!」
柿五郎は、床の上にそのまま落ちてしまったので少し痛そうですが、フーライによる逆さ吊りから何とか逃れることができました。これで、柿五郎は真正面にいるフーライと再び対峙することになりました。
「行くぞ! ええ~いっ! ええ~いっ! えええ~いっ!」
「ぐふふふふ! どんなことをしても、おめえの力でおれを持ち上げることなんか……」
柿五郎はフーライに向かって行くと、そのままフーライの胴体を持ち上げようと試みています。これを見ているフーライは、強大となった今の自分をそのまま持ち上げることなどできるはずが無いとたかをくくっています。
しかし、柿五郎は何度もあきらめずに試み続けると、ついにフーライを両手で力強く持ち上げることができました。
「ど、どうしてこのおれを持ち上げることが……」
「ぼくはかあちゃを助けるためにも、どんなに強い妖怪だろうと絶対にやっつけるぞ!」
フーライは、最強の妖怪である自分が持ち上げられていることがまだ信じられません。柿五郎は、フーライの人質となっているお母さんを助けるためにも、絶対にフーライをやっつけてみせると強い決意を見せています。




