第13話 おねしょで大失敗しちゃった柿五郎くんの受難(5)
「よくも、ぼくのお尻や背中を何回も叩いてくれたな! 絶対に許さないぞ!」
「うわっ! いきなり何をするんだ!」
自らの力で鎖を砕いた柿五郎は、フーライたちに対する怒りを抑えることができません。柿五郎は、まず目の前にいるキザンの胴体をいきなり持ち上げました。
「お、おれはただフーライからの命令に従っただけ……。本当だ! フーライに逆らえなかったから……」
「ぼくはお尻を強く叩かれて本当に痛かったぞ! これがぼくからの仕返しだ!」
柿五郎によって持ち上げられたキザンは、あまりにも自己中心的な言い訳がましい発言を何回も繰り返しました。しかし、どんなに言い訳をしても、怒りが収まらない柿五郎には通用しません。
「えいっ! えいえ~いっ!」
「うわっ! いてててててっ、いてててててっ……」
柿五郎は、持ち上げていたキザンを床へ思い切り投げつけました。キザンは、いきなり投げ強く投げ落とされると、あまりにも激しい痛みで立ち上がることができません。
ムスイは、床の上をのたうち回っているキザンの姿を見ると、柿五郎への怒りが沸き立ってきました。
「おれたちの仲間に痛い目を遭わせやがって……。おめえには、この場で死んでもらうからな!」
「何だと、拷問で痛い目に遭ったのはこのぼくだ! とりゃあっ!」
ムスイは、キザンに痛い目を遭わせた柿五郎に死の宣告を言い放ちました。しかし、拷問を受けたことによる怒りが収まらない柿五郎は、ムスイの言葉を聞くことなくそのまま突進して行きました。
「えいっ! えいえいっ! え~いっ! とりゃあっ!」
「いてっ、いてててっ! いきなり殴りやがって!」
柿五郎は、ムスイの腹部に左右から強烈な拳が次々と命中し続けています。あまりの強い拳に、ムスイはかなり痛がっています。
そして、柿五郎はムスイがひるんだすきを見つけると、そのままムスイを持ち上げました。
「おい! はやくここから降ろせ! 早く降ろせ!」
「えいえ~いっ! えいえ~いっ!」
ムスイは必死に抵抗を試みますが、柿五郎の耳にその言葉が入ることはありません。そして、柿五郎はヤマンバから得た新しい力で、キザンと同様にムスイも床の上に強く叩きつけました。
「いてててててててっ! いてててててててっ! よくも……。よくもこのおれを……」
ムスイは、床に叩きつけられた衝撃でそのまま倒れ込みました。そして、柿五郎への恨みつらみを言おうにも、叩きつけられたときの激痛でなかなか言うことができません。




