第13話 おねしょで大失敗しちゃった柿五郎くんの受難(2)
「これから大きな引戸を開けた先には、おめえにとって本当の地獄が待っているからなあ。おめえは、そこで死ぬまで拷問が加えられることになるのさ、ぐふふふふ!」
フーライは、右手の親指と人差し指で指パッチンをすると、柿五郎の目の前にある大きな引戸が自動で開きました。その中は、柿五郎がこれまで見た中でも、かなり不気味な雰囲気が漂っています。
「うわあああっ、本当に恐いよう……。恐いよう……」
「おっと、ここから外へ出ることはできないぜ。なぜなら、おれが引戸を閉めて出られないようにしているからな」
柿五郎は、こんな恐ろしい場所で拷問を受けるのが恐くなって身震いし始めました。しかし、フーライによって外へ出るための引戸を閉められたので、柿五郎はここから逃れることは事実上不可能となりました。
「どうしてここから出してくれないの? どうしてなの?」
「ええい! さっさと行かんか!」
柿五郎は、外へ出られないようにしたフーライに大声で泣き叫びました。しかし、フーライは冷酷な顔つきで柿五郎を右手で強く突き飛ばしました。突き飛ばされた柿五郎は、開いたままの大きな引戸から大きな部屋の床に尻餅をつきながら倒れ込みました。
「いてててっ、よくも突き飛ばして……」
柿五郎は痛々しい表情を見せながらも、すぐに立ち上がろうとしました。すると、今までほとんど真っ暗だった大きな部屋が突如として明るくなりました。
「急に明るくなったということは……。まさか……」
「そのまさかさ。ここには数多くの人魂がいるからなあ、ぐふふふふ!」
これだけの広い部屋が明るく照らし出したのは、部屋の中に漂っている数十個の人魂によるものです。これを見た柿五郎は、背筋が凍るほどの身震いをしながら大声で叫びました。
「うわあああああっ、人魂だああっ! こっちにこないで! こないで!」
「おめえがどうわめこうと、この人魂におめえの声など聞こえるわけないからな」
柿五郎は、人魂が近寄ってくるたびに部屋の中を逃げ回っています。何とかして人魂から逃れようと、柿五郎は開いたままの引戸のところへ行こうとしました。
しかし、柿五郎の望みは無残にも砕かれることになりました。
「うわあっ、引戸が急に閉まった! えいっ! えいっ! ええ~いっ!」
「ぐふふふふ! 閉まっている引戸は二度と開けることはできないぜ!」
柿五郎は、目の前で閉まった引戸をどうにか開けようと何度も試みます。しかし、どんなことを試みても、引戸を開けることはできません。
すると、フーライは後ろから柿五郎の右肩を持ちながら、無理やり引きずって行きました。そして、石壁らしきところに柿五郎を強く押さえつけました。
「おめえか……。お布団におねしょの大失敗をした子というのは」
「こんな大失敗を繰り返すのなら、その分だけ拷問を加えないといけないな、ぐふふふふ!」
そこには、フーライに似たようなトラ柄のふんどし1枚だけつけている妖怪が2人もいます。フーライを加えた3人は不気味な笑みを浮かべながら、これから始まる柿五郎への拷問を行うのを楽しみにしています。




