第12話 魔の山の頂上に待ち受ける最強の妖怪(8)
「たかだか妖怪1人を倒したくらいで喜ぶようじゃ、このおれを倒すことなど夢のまた夢だな」
「どんなに大失敗したって、お化けをやっつけたことに変わりないぞ!」
フーライは、妖怪をやっつけた喜びを隠せない柿五郎に対して冷や水を浴びせました。それでも、柿五郎が白髪の老婆を自分の力でやっつけたことには変わりありません。
「ヤマンバのおっぱいを飲んだおかげで、こんなに力を出すことができるぞ! 行くぞ、それっ!」
「ぐふふふふ! いまから、おめえにおれの力を思い知らせてやるぞ!」
柿五郎は、フーライをやっつけるために真正面から向かって行きました。しかし、フーライは柿五郎の動きを見抜くと、すぐさまに両手で時計回りに何度も回し続けました。すると、そこから猛烈な暴風が発生すると、柿五郎はその暴風に直接命中しました。
「うわっ、風がものすごく吹いて歩けない……。うわっ、わわっ、うわあああっ……」
「どうだ、おれが繰り出す暴風の威力は!」
柿五郎はフーライが繰り出した暴風に命中すると、そのまま前へ進むどころか、逆にそのまま飛ばされて行きました。そして、柿五郎は巨大な岩石に背中から強くぶつかりました。
「いててて、いてててててっ……」
「フッ、たわいもない子供だな。これならすぐにとどめを刺しても……」
柿五郎は、背中を強打したときのかなりの痛みで地面に倒れ込んでいます。フーライは倒れ込んだままの柿五郎を見ながら、すぐにでもとどめを刺そうと試みています。
そのとき、柿五郎は痛みをこらえながら、右手でフーライの足首を握りました。
「どんなことがあっても、ここで死ぬわけにはいかないぞ……」
「おめえって、どうやったらどのような力が出るのか?」
フーライは、背中を強打してくたばったはずの柿五郎の執念深さに驚きを隠せません。柿五郎は手足を縛られているヤマンバを助けるとともに、自分のお母さんを早く見つけなければなしません。それ故に、柿五郎はここでフーライに負けるわけにはいきません。
「ぼくは、ヤマンバとかあちゃを助けるまで、絶対にあきらめないぞ! え~いっ! ええ~いっ!」
「わわっ、わわわっ! いきなり頭突きをしやがって!」
柿五郎は激痛に耐えながら立ち上がると、そのままフーライのお腹に強烈な頭突きを強く食らわしました。頭突きを食らったフーライは、いきなり不意を突かれたこともあり、そのまま頭から地面に倒れ込みました。




