第12話 魔の山の頂上に待ち受ける最強の妖怪(7)
柿五郎は白髪の老婆を持ち上げながら、必死におしっこやうんちのガマンを続けています。しかし、そのガマンも限界に近づいているのか、柿五郎の息づかいも次第に苦しくなってきました。
「でも、ここでくじけるわけには……。くじけるわけにはいかないぞ……」
「ほれほれ、あたしを持ち上げたままでどうするのかな? フォフォフォフォ……」
柿五郎の苦しそうな息づかいを聞いて、白髪の老婆は柿五郎があまりの恐怖でおじけついたのではと不気味な笑い声を上げています。
すると、柿五郎は苦しそうな表情を見せながらも、両手を使って白髪の老婆をそのまま真上へ思い切り投げました。
「これでどうだ! え~いっ!」
「わっ、わわわっ! 落ちる、落ちる……」
真上へ投げられた白髪の老婆は、そのまま落下すると地面の上に叩きつけられました。地面に叩きつけられた白髪の老婆は、あまりの痛さに仰向けに倒れ込んだままです。
一方、柿五郎のほうもおしっことうんちのガマンを続けるたびに、体から汗がにじみ出てきました。
「ギュルルゴロゴロゴロッ、ギュルギュルギュル、ギュルギュルルルゴロゴロゴロッ……」
「も、もうガマンが……。もうガマンができない……」
柿五郎はとどめを刺すために、地面に倒れたままの白髪の老婆の上に飛び乗ることにしました。左足を軽く踏み込んだ柿五郎は、そのまま白髪の老婆の上にお尻から飛び乗りました。
しかし、そのときのことです。柿五郎は、飛び乗った瞬間におしっことうんちのガマンが限界に達しました。
「ギュルルゴロゴロゴロッ……。ブッ! ブブッ! ブブウウウウッ! ブブウウウウッ!」
「ジョパジョパジョパパ~ッ、ジョパジョパジョジョジョ~ッ」
「うわうわっ! あたしの着物の上でよくもおしっことうんちをおもらししやがって……」
柿五郎は、白髪の老婆の上でおしっことうんちをおもらしするという大失敗をしてしまいました。白髪の老婆は、柿五郎のおしっことうんちのにおいがあまりにもくさくてたまらない様子です。
「あたしは、あまりにも強烈なにおいを吸い込んだらそのまま砂になって消えてしまう……。うわっ、うわあああっ……」
白髪の老婆は、柿五郎が大失敗したことに伴う強烈なにおいを吸い込んでしまいました。そして、白髪の老婆はそのまま砂になって消えて行きました。
「やったぞ! おしっこやうんちのおもらし大失敗をしちゃったけど、まずは白髪の老婆をこの手でやっつけたぞ!」
「柿五郎くん、よくがんばったね。お尻が真っ赤になるまで叩かれたけど、大丈夫だった?」
「えへへ、お尻を叩かれてもガマンすることができたよ」
白髪の老婆の残骸である大量の砂の上には、柿五郎がやってしまったおしっこやうんちの大失敗の立派な証拠が残っています。それでも、柿五郎は白髪の老婆であるヤマンバを見事にやっつけることができました。
柿五郎のお尻は、白髪の老婆に叩かれて赤く腫れ上がっています。心配そうに見ている座敷童子を横目に、柿五郎は逃げ出さずにガマンできたのでうれしそうです。




