第12話 魔の山の頂上に待ち受ける最強の妖怪(3)
「ぼくみたいな小さい子供だったら、お布団におねしょを大失敗したって当たり前だもん!」
「ふはははは! おめえのお布団はおねしょでこんなにベチョベチョになっているけど、どうしてなのかなあ?」
柿五郎はフーライの目の前で、おねしょでの大失敗は子供なら当たり前と大きな声で言いました。しかし、フーライはおねしょの証拠を柿五郎に突きつけながら、おねしょをしたのはどうしてなのかと柿五郎に迫るように言いました。
「だって、昨日の夜にヤマンバのおっぱいをたくさん飲んだもん!」
「やっぱりそうか。おめえのおねしょのにおいは、おしっこのにおいの中におっぱいのお乳のにおいがほのかに混ざっていたなあ。おめえは5歳になっても、赤ちゃんみたいにおっぱいを飲む癖がまだ治ってないようだし」
柿五郎は、昨日夜にヤマンバのおっぱいをたくさん飲んだことをフーライに言いました。これを聞いたフーライは、柿五郎がおっぱいを飲む癖がまだ治っていないことや、おねしょのにおいの中におっぱいのお乳のにおいが混ざっていたことを冷徹な言葉で言い放ちました。
そして、フーライは柿五郎の夢の中の出来事まで聞き出そうとしています。
「これだけおねしょをするということは、夢の中で何かしたんじゃないかなあ?」
「ぼ、ぼくは……。夢の中で便所へ行ったときに恐ろしいヤマンバに出会ったんだ…。あまりの恐ろしさに腰を抜かしたままでヤマンバの顔におしっこを命中させちゃったの」
柿五郎は恐ろしいヤマンバに夢の中で出会うと、あまりの恐ろしさに腰を抜かしてしまいました。そして、便所でするはずだったおしっこはヤマンバの顔面に命中させてしまいました。
それを聞いた途端、フーライは左手で指パッチンをしました。すると、フーライの右隣に敬太を夢の中で震え上がらせたあの妖怪が現れました。
「フォフォフォフォ……。ここでおめえと再び会うとは奇遇だなあ」
「もしかして、夢の中で出会ったヤマンバ?」
「そうじゃ。毎日のように、おねしょもおもらしも繰り返し大失敗している子はこの場で始末しないといけないなあ」
フーライの横に現れたのは、同じヤマンバでも白髪で鬼の形相をした老婆の姿をしている妖怪のほうです。ヤマンバも、フーライと同様に大失敗を繰り返す柿五郎に不気味な声で追い詰めています。
「おっと、おめえにはもう1人のヤマンバにも会わせてやろうかな」
「もう1人のヤマンバって、もしかして……」
フーライは、もう一度左手で指パッチンをしました。すると、そこには縄で手足が縛られているヤマンバの姿が現れました。これを見た柿五郎は、手足を縛られてヤマンバのあまりにも苦しそうな表情に驚きを隠せません。




