第12話 魔の山の頂上に待ち受ける最強の妖怪(1)
新たな力を得た柿五郎は、座敷童子とともに魔の山の頂上へ向かう坂道を上り続けています。魔の山という名の通り、先へ進めば進むほど白いもやが薄くかかるようになりました。
「ヤマンバは、山のてっぺんにものすごく恐ろしいお化けがいると聞いているけど大丈夫かなあ?」
「柿五郎くん、ヤマンバから得た力は日が暮れたら使えなくなるから急がないといけないよ」
柿五郎は、ヤマンバから得た力が本物であると分かっていても、目の前にかなり恐ろしい妖怪が現れたときの不安がよぎります。
これまで、柿五郎は様々な妖怪や幽霊を見ては逃げ出すほど恐がっていましたが、最後には自分の力でやっつけることができました。しかし、柿五郎は最後に妖怪たちにとどめを刺した瞬間、必ずと言っていいほどおしっこやうんちの大失敗をしてしまったことを覚えています。
「妖怪と戦っている途中におしっこやうんちのおもらしをしても、それこそが柿五郎くんの元気さを示すものだから大丈夫だよ!」
「えへへ、どんなに恐ろしい妖怪であっても、ぼくはこの力が使えるうちにやっつけて見せるからね!」
座敷童子は、一抹の不安が残っている柿五郎に元気を出そうと強く励ましました。柿五郎も座敷童子の励ましを受けると、右腕を曲げながら力こぶを入れました。力こぶを入れることで、柿五郎はこれから現れるであろう最強の妖怪をやっつける決意を示しました。
2人がさらに進むと、魔の山の頂上がかすかに見えてきました。そして、柿五郎の前に最強の妖怪が待ち受けるであろう最後の戦いが間もなく始まろうとしています。




