第11話 お泊りする家の主はヤマンバ(8)
「ところで、柿五郎くんはどうして魔の山へやってきたの?」
「ぼくは、魔の山に入ったまま帰ってこないかあちゃを探しにきているの」
ヤマンバは、柿五郎が不気味さの漂う魔の山へなぜ入ったのか気になったので聞いてみました。すると、柿五郎はお母さんを探すために魔の山へやってきたと答えました。
これを聞いたヤマンバは、魔の山へやってきた小さい子供がもしかしたら柿五郎ではないかと再び言い出しました。
「なんだ、そうだったんだね。魔の山を歩いている小さい子供がいるという話を耳にしたことがあったけど、もしかしてそれが柿五郎くん?」
「それってどういうことなの?」
「小さい子供が魔の山を通るたびに、何度も恐い妖怪に出くわしたという話とか、妖怪をやっつけたときにおしっこやうんちのおもらしをしてしまったとか」
ヤマンバは、ものすごく恐い妖怪に出くわしたり、妖怪をやっつけたときにおもらしの大失敗をしちゃったといった小さい子供の特徴を口にしました。これを聞いた途端、柿五郎は思わず顔を赤らめながらも、ヤマンバにこう言い始めました。
「ぼくは魔の山に入ってから、何度も恐いお化けや幽霊に出会ったんだ……。最初は逃げてばかりだったけど、勇気を出して何とかお化けたちをやっつけることができたけど……」
「ふふふ、もしかしてそのときにおもらしを?」
「お化けや幽霊をやっつけたときに……。そのはずみでおしっこやうんちのおもらしを見事に大失敗してしまったの。えへへ」
柿五郎は照れながらも、妖怪や幽霊をやっつけたときにおもらしの大失敗をしちゃったことをヤマンバの前で言いました。
「柿五郎くんは、普段からおもらしの大失敗をしているし、お布団へのおねしょも毎日のようにしちゃうのかな?」
「えへへ、お布団への大失敗もいつものことだよ。真夜中に便所へ行ったときに、お化けや幽霊が恐くてそのままお布団の中に潜り込んじゃうの」
ヤマンバは、ついでにおねしょのことについても柿五郎に聞いてみました。これについても、柿五郎はお布団へのおねしょをするまでの一連の出来事についてすべて話しました。
すると、ヤマンバは笑顔を見せながら柿五郎を連れて外へ出ました。
「柿五郎くんがいつも元気なのも、お布団に元気いっぱいの大失敗をしちゃったのも、大好きなおっぱいをいつもたくさん飲んでいるおかげだね」
「えへへ、それじゃあ今日もおっぱいを飲んでもいい?」
「ふふふ、柿五郎くんはやっぱりおっぱいを飲むのが大好きなんだね。ちょっと今から、柿五郎くんにやってほしいことがあるの」
柿五郎にとっては、おねしょやおもらしの大失敗という短所がある一方で、いつも元気いっぱいに動き回るという長所も持っています。
そのとき、ヤマンバは柿五郎にしてほしいことがあるので何か探しに行きました。それは、柿五郎がいつも日課としていることに関連しています。




