第1話 お布団に大失敗しちゃった(7)
「かあちゃ、いつもありがとう!」
「ふふふ、そんなにかしこまらなくてもいいのよ」
柿五郎とお母さんは、家の目の前にある畑へいっしょに行きました。お母さんの右手に持っている木ぐわには、柿五郎がさっきおもらししちゃった元気なうんちを載せて運んでいます。
「さてと、まずは柿五郎くんのうんちをこの上でいっしょに耕すとするかな」
お母さんは、すでに収穫が終わった畑に柿五郎のうんちを土といっしょに木くわで耕し始めました。すると、柿五郎の元気な黄色いうんちはあっという間に土に混ざって消えていきました。
「うんちは肥やしとして耕すと、いつも食べるいろんな野菜がよく育つんだよ。柿五郎が大好きなスイカやおイモも、ちゃんと肥やしをやっているおかげでおいしく食べることができるんだよ」
肥やしを定期的にやっているおかげで、いつも食べる野菜が育つことをお母さんから柿五郎に教えています。柿五郎は、いつもお母さんが作った食事を残すようなことはしません。
「かあちゃ、ぼくはいつも好き嫌いしないで何でも食べているよ!」
「ふふふ、柿五郎くんが何でも食べてくれるし、私も畑仕事に精を出すことにするかな」
柿五郎が好き嫌いせずに食べていることに、お母さんもやさしい表情で笑顔を見せています。そして、お母さんは収穫し終わったところを再び耕しています。その間、柿五郎も別の畑へ行って何やら掘り出そうとしています。
「よいしょ! よいしょ! よいしょっと、おっととっとっと!」
柿五郎は、大きな作物を自分の力で必死に掘り出そうとしています。そして、掘り出した瞬間に柿五郎は尻餅をついて思わずこけてしまいました。しかし、柿五郎は自分の大好きなスイカを掘り出したのを見て大喜びしています。
「かあちゃ、見て見て! こんなに大きなスイカを掘り出したぞ!」
「柿五郎くん、えらいね! 自分でスイカを掘り出したんだね」
柿五郎は、自分で掘り出したスイカを両手で持ちながらお母さんに見せました。柿五郎がうれしそうにスイカを持っている姿に、お母さんも喜びを隠せません。
「家へ帰ったら、いっしょにスイカを食べるとするかな」
「わ~い! わ~い! スイカ! スイカ!」
柿五郎は、いつも大好きなお母さんのために何でもお手伝いをしてくれるので、お母さんも本当に大助かりしています。こうして、いつもいっしょに暮らす2人の日常はにぎやかそのものです。
そう、あの出来事が起こるまでは……。